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5 4, 2023
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リーグ・オブ・レジェンド | レッドサイドとブルーサイドの比較

サイドの選択は、ゲームにどのような影響を与えるのでしょうか?

レッドサイドとブルーサイドで勝率に差はあるのでしょうか?

ファーストピックを獲得できるのは、レッドサイドとブルーサイドのどちらでしょうか?

リーグ・オブ・レジェンド | レッドサイドとブルーサイドの比較

リーグ・オブ・レジェンドにはサイドの選択という要素があります。この選択がゲームに与える影響を対戦という観点から考えてみると、非常に興味深い要素であることが分かります。ゲームバランスに関する一般的な議論の中では時々取り上げられていますが、ここ最近では重要な試合で負けたチームだけが触れることの多いトピックです。しかし、どちらのサイドを選択するかによってドラフトの順番が決まるため、ゲームの結果を大きく左右する可能性もあります。サイドの優位性は多くの場合、現在のメタによって決まります。

サイドの選択が物議を醸したのが、MSI 2022のT1とRoyal Never Give Up (RNG)による決勝戦です。状況としては、ランブルステージでRNGが第1シードを獲得し、8勝2敗を記録したところでした。7勝3敗の成績で2位につけていたT1を、ゲーム差1で上回っていました。これを踏まえて、RNGは準決勝の対戦相手にEvil Geniuses (EG)を選び、勝利しました。そして決勝戦の初戦で、サイドを選ぶチャンスに恵まれたのです。

レギュラーシーズン以外でもリーグ・オブ・レジェンドの「x本先取」の試合が行われていますが、現在、ほぼすべてのRiotトーナメントで、シード上位のサイドが初戦のサイドを選択できるようになっています。続く各ゲームでは、前のゲームの敗者が優先的にサイドを選択できることになっています。MSI 2022決勝戦では、各ゲームで負けたチームは、次の試合でブルーサイドを選択していました。これが5ゲーム続き、ブルーサイドは100%の勝率を達成したのです。過酷な5連戦後の記者会見で、T1の当時のヘッドコーチであるChoi "Polt" Seong-hunは、 「敗因はさきほど言ったとおり、3ゲームをブルーサイドでプレイできなかったことでしょう」と述べました。

実際、トーナメント全体を通して、ブルーサイドの勝率は53.2%を記録しました。つまり、77試合中41試合で、マップのブルーサイドを獲得したサイドが勝ったことになります。少なくともこの結果を見る限り、全面的にPoltの認識が正しかったようです。しかし、決勝戦での5勝を除けば、ブルーサイドの勝利は72ゲーム中36ゲームとなります。五分五分です。しかし、Nick "LS" De Cesareも述べていたように、それでは結果ベースの分析にあまりにも重きを置きすぎでしょう。データの統計的分析をするならば、たったの72試合であり、たとえ77試合であっても、その程度のサンプルサイズではまったくもって不十分です。

それでは、どのようにしてさらなるデータを入手すればよいのでしょうか? 過去5年間のソロキューに関するデータを見ると、ブルーサイドが1.2%優勢で勝率50.6%となっています。一方、同じ期間のランクフレックスでは、レッドサイドの勝率が51.7%となっています。しかし、ソロキューにはコミュニケーションという概念がないに等しく、ランクフレックスも似たようなものであるため、プロのプレイと比較することはできないと言えます。コーチや、場合によってはアナリストなどの付いているチームの方がはるかに強く、ドラフトのアドバンテージを活用できると考えて間違いないでしょう。改善や共同作業へのコミットメントにおいても、はるかにクリエイティブなはずです。

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メタは非常に幅広く主観的なトピックです。元プロプレイヤーでありアナリスト、キャスターのMarc Robert "Caedrel" Lamontと、元コーチでありアナリスト、ストリーマーの“LS”には、チャンピオンであるレネクトンについて、そしてプロがプレイするレネクトンという存在について、意見の相違がありました。感情的な部分を除いて考えれば、これは説明に最適な例です。それぞれのメリットがある2つのポイントによって、チャンピオンの有用性に対する捉え方が大きく変わるのです。プロプレイヤーとしてかなり長い間活躍した“Caedrel”は、プロの目でレネクトンのメリットを実感していました。レネクトンは長いこと、強力なウェーブクリアを持ち、トップレーンで序盤のプレッシャーにさらされ、フロントラインとして行動し、ポイント&クリックのスタンを持ち、大きなプレッシャーを吸収できるチャンピオンでした。優先するレーンを決めておくことで、ジャングラーが移動するスペースが増え、ゴールドや経験値を失うことなくそのレーンを優先的に素早く動けるようになり、スタックしたウェーブに対してダイブを仕掛けられるようになります。相手が優勢であれば、強力なウェーブクリアによって、相手のレーナーがこちらにダイブするためにウェーブをスタックするのを阻めます。最後に、ポイント&クリックによる確定スタンを受けたターゲットには攻撃を当てやすいため、スキルショットに依存しながらも高いダメージを与えるチャンピオンとの相性は抜群です。このため、LCKでは以前からレネクトンとニダリーのペアが使用されているのです。ライズなどのチャンピオンと比較した場合のレネクトンのメリットは、ADを使えることです。つまり、トップレーナーとジャングラーにADとAPダメージを担当させたうえでダイブすれば、相手は反撃するのが困難になるのです。

一方"LS "は、ドラフトフェイズでレネクトンを優先することにさほど意味はないと主張するでしょう。ブルーサイドのトップレーンにレネクトンをブラインドピックしてカウンターピックを受けるチームは、珍しくありませんでした。理由としては、レネクトンの強力なウェーブクリアは、優先順位の低いレーンで生き残るのには十分なものだったからです。相性の悪いマッチアップを乗り切ることができたのです。しかし、レネクトンの強さはレーニングフェイズで発揮されるため、その強みを活かせず、リードできないままゲーム中盤に突入してしまうと、活躍させるのが少し難しくなります。レネクトンはタンクよりもブルーザーに近く、フロントラインには向いていません。プロは、生き残ることを目的としてプローラークロウよりもゴアドリンカーをビルドすることが多いのですが、そうなるとバーストができません。ゲーム中盤から終盤にかけての集団戦では、流行りのメタのピックによって痛めつけられていました。ADキャリーがアイテムによるスパイクに達すると、レネクトンはエンゲージしてチームのためにスタンを使用する前にキルされてしまいます。しかしこれは、レネクトンが弱いのではなく、かといって最強でもないということです。また、ブラインドピックとして完全無欠というわけでもありません。例えば、レッドサイドの5番手が、ブラインドピックされたレネクトンの相手にオーンをピックしていれば、よりスケールに優れたタンキーなフロントラインになり、より多くのユーティリティを得られたでしょう。最終的には、より多くのダメージを与え、ゾーニングのコントロールもできるようになっていたはずです。

つまり、あるチャンピオンを別の視点から見ることで、ドラフトでの有益性やピックのしどころに対する考え方がまったく変わってくるのです。そのことが、ブルーサイドとレッドサイドの比較に、どう関係しているのでしょうか? ご存知の通り、ブルーサイドは必ず最初にピックをします。レッドサイドは、必ず最後のカウンターピックをします。そのため、レネクトンのように「ブラインドピックできる」「パワーに優れる」とされるチャンピオンが3人を超えるメタでは、レッドサイドは最初の3つのバンでそれらすべてをブロックできません。つまり、ブルーサイドはカウンターピックされる可能性のある数人をバンし、レネクトン以外のパワーに優れるチャンピオンに対し優位性を得られるのです。ただし、最近のパッチの恩恵を明確に受けるチャンピオンがいない、またはたくさんいてその中の何人かが最初のバンフェイズを通過するメタでは、カウンターピックを利用して、勝てるレーンのマッチアップをより多く獲得することが、ゲーム序盤の勝利をつかむ鍵となるようです。その流れに乗ればスノーボールもしやすくなり、最終的な勝利を得られるのです。

議論が分かれるところではありますが、プロプレイヤーの間では、ブルーサイドの方が優先的にレーンでプレイできる確率が高いという意見が一般的です。つまり、強いピックで、ゲームを支配できると考えられています。一方で、MMORPGやトレーディングカードゲームの世界に馴染みがあれば、ミニマックスの考え方に慣れているはずです。そのためドラフトでは2番手になった方が、発生したイベントに対処しやすく有利であると考えるでしょう。

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筆者について

Jacob Crick

A Computer Scientist who’s been following CSGO since 2015 and League since 2019. Jacob has a passion for the continued growth of the Esports scene, looking for ways to facilitate connections between fans and players.

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