テニスの予想を行う時、特にインプレーでは、ベッターは結果に対する勢いの影響をしっかりと考慮する必要があります。Jonathon Bryckiは最新の記事で、テニスの試合におけるセット間の勢いについて知り、値を付けるためのモデルを構築しています。
前回の記事では、選手のサーブ確率を使用したテニスの価格設定モデルを構築する方法について説明しました。このモデルを使用して、どのようにゲーム、セット、試合の価格を設定するのかを示しました。このモデルは、試合中の勢いを考慮に入れていないという点で限界があり、トータルやハンディキャップの価格を付けることはできませんでした。
第1セットと第2セット間よりも第2セットと第3セット間の方が勢いの影響が少ない
この記事では、テニスの試合におけるセット間の勢いを知り、価格を付けるために、前回のモデルをさらに掘り下げていきます。このモデルのベースとして、再びサーブ確率を使用します。
セットの勢い
勢いは、テニスの試合中の重要な要素です。テニスのセットベットのオッズと統計という記事で、1セット目を取った選手が2セット目を取る可能性が高いことを示しました(試合前のオッズを考慮に入れています)。2010年以降のATPの全試合では、そのようなパフォーマンスは平均して16%でした。以下の図は、その関係を表しています。
選手の暗示的確率が上がるほど、その影響は下がっています。つまり、大穴は本命よりも上手く2セット目に勢いを持っていける傾向があります。
インプライドオッズでこの図を表すと、この関係が明確に見て取れます。例えば、試合の勝率が11-20%であることを暗示しているオッズの選手は、平均すると、第2セットのフェアオッズは4.78になります。しかし、第1セットを取った場合、第2セットのフェアインプライドオッズは実際には平均で3.0になります。
同様に、第2セットを取って相手に追いついた選手の方が第3セットを取る可能性が高くなります。第1セットと第2セット間よりも第2セットと第3セット間の方が勢いの影響が少なくなります。影響の大きさは平均でたったの1.4%です。
私たちのテニスの価格設定モデルにとって、セット間の勢いはどんな意味があるかというと、ベースラインの確率(とサーブの確率)を更新し、試合で起こりうることを考慮に入れる必要があるということです。まず、第1セットと第2セット間の勢いの影響を分析しましょう。
第1セットと第2セット間の勢い
前回の分析では、選手のサーブ確率の差を使用して、試合とセットの勝率をモデル化しました。以下の図は、サーブの確率の差をセットの勝率に変換しています。例えば、相手よりもサーブで4%多く得点している選手はセットの勝率が64%になります。
この関係を使用して、第1セットに勝ちサーブ確率がそれに伴って増えるという条件で、第2セットの勝率を表すことができます。これは以下の図に示されています。例えば、試合前の暗示的確率が65%(インプライドオッズ1.54)の選手が第1セットを取った場合、第2セットのサーブ確率は2.3%増えます。
第2セットと第3セット間の勢い
暗示的確率の範囲ではっきりとわかる傾向がない場合、第3セットでは、第2セットの勝者に対して1.4%のアドバンテージを想定します。これは、試合前のサーブ確率から0.45%調整したものと等しくなります。
このモデルはどのようになるでしょうか?
選手のサーブ確率を変動させ、150,000試合でモデルのシミュレーションを行いました。以下の図は、モデルの試合とセットの勝率の関係を表しています。2010年以降のATPの全試合を使用しており、ATPにおけるこの関係も示されています。モデルは、実際のセットの結果を正確に推測しているようです。
次に、第1セットと第2セットそれぞれで勝った場合の第2セットと第3セットの条件付き関係を考えてみましょう。以下の図は、モデルと2010年以降のATPの全試合を比較しています。
モデルは上手く較正されているようです。次の手順では、このモデルがトータルおよびハンディキャップの価格をどれくらい正確につけられているかを確認します。私が分析に使用したデータセットには各試合のトータルオッズとハンディキャップオッズは含まれていませんが、実際の試合の結果とモデルのシミュレーションを比較することができます。
まずは価格が近い試合を見ていきましょう。選手の暗示的確率は40-60%です。私は30,000試合(ATPの長期的な平均サーブ確率は約64%)のシミュレーションを行い、トータルとハンディキャップを記録しました。以下の図では、これらを、この暗示的確率範囲に該当する2010年以降のATPの6,000以上の試合と比較しています。
モデルは適度に較正されているようですが、12から18ゲームの間(6ゲーム以下を取った敗者)のトータルを少なく見積もり、30以上でトータルを多く見積もっています。
他の大きな相違は、トータル22と23の過大評価とトータル26の過小評価でした。それに応じて、モデルは低いハンディキャップを過大評価し、高いハンディキャップを過小評価していました。
もっと価格がばらついていた試合はどうでしょうか? 以下の図は、60-80%の暗示的確率のゲームトータル(相手は20-40%)を示しています。
モデルの欠点は変わっていないようです。一体、どういうことでしょうか? 一見したところ、この相違は、各セットの最後にサーブ確率(と可能性)を更新するだけでは十分でないことを示しています。理想的には、サーブ確率は各ゲーム後、そうでなければ各ポイント後に常に調整する必要があります。
選手が第1セットで3-0でリードしている場合、選手のサーブ確率は第2セットに対して更新するだけではなく、第1セットの残りに対しても更新する必要があります。例えば、第1セットが6-2だと、7-5のセットよりも第2セットのオッズへの影響が大きくなります。
これらの要素を定量化して取り入れるには、このモデルと実際のATPの試合の相違を取り除く必要があります。これにより、モデルがテニスの試合の主要マーケットの価格をより正確につけられるようになります。この記事のパート2では、その分析を取り上げます。
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