全仏オープンが目前に迫ってきました。来週のドローに先駆けて、女子シングルスをチェックしていきましょう。最大の疑問は、果たしてシフィオンテクを超えられる選手はいるのか、ということです。Dan WestonがPinnacleのマーケットを徹底調査し、お値打ち候補を選りすぐります。
今週行われたイタリア国際の前までは、イガ・シフィオンテクが今グランドスラム大会の大本命といわれていました。2020年と2022年に優勝しているシフィオンテクのシーズンデータ(サーブとリターンを合わせた獲得ポイント率が約116%)は、WTAツアーで群を抜いています。クレーが得意なシフィオンテクは、直近1か月のクレーコートでの試合でも、リターンポイント率が50%を超えており、4年間で3度目の優勝を飾る可能性は非常に濃厚となっていました。
しかし、イタリア国際でのエレーナ・リバキナ戦で、脚の負傷により棄権を余儀なくされたことが、全仏オープンを前にして一抹の懸念を生んでいるのは確かです。本記事執筆時点では、怪我がどれほど深刻なものなのかわかっていません。大事をとっているだけの可能性もありますが、少なくともマーケットでは過剰な反応は見られません。シフィオンテクは*1.840で、現在Pinnacleの本命選手としてトレードされています。
全仏オープン2023女子シングルス:シフィオンテクに挑む選手たち
ライバルとして圧倒的な存在感を見せているのは、やはり*6.890のアリーナ・サバレンカです。最近ではマドリード・オープンの決勝戦でシフィオンテクを破っています。この勝利はサバレンカにとってプラス要素となることは明らかですが、全仏オープンの準備期間中に行われたマドリード・オープンでの成績を重要視しすぎるのは考えものです。高地に位置するスペインの首都マドリードでは、非常に球足が速くなり、来週から2週間にわたり行われるパリでの大会とはまったく異なる条件と言えます。また、サバレンカがイタリア国際の初戦でソフィア・ケニンに敗れたことも、全仏オープンを前にポジティブな要素とはいえないものでした。その一方で、最近の記録によれば、1位から大きく引き離されてはいるものの、サバレンカがツアー第2位の選手であることは明らかになっており、シフィオンテク最大のライバルという地位を確立しています。
また、サバレンカがイタリア国際の初戦でソフィア・ケニンに敗れたことも、全仏オープンを前にポジティブな要素とはいえないものでした。その一方で、最近の記録によれば、1位から大きく引き離されてはいるものの、サバレンカがツアー第2位の選手であることは明らかになっており、シフィオンテク最大のライバルという地位を確立しています。
1桁のプライスがついているのはこの2人だけですが、本記事執筆時点で10.000から50.000の間に15名の選手が入っています。つまり理論上は、あっと驚く結果を出してトーナメントを勝ち進んでいく可能性のある選手が多くいるということになります。とはいえ、マーケットからは、シフィオンテクあるいはサバレンカが優勝する確率は70%前後であることが読み取れます。そして、多くの有力選手がパリで実力を発揮できない理由があるのです。
マーケットが示すシフィオンテク最大のライバルはサバレンカ
*13.520のエレーナ・リバキナは、特に最近シフィオンテクに勝利したこともあり、一定の支持を得るでしょう。ただしリバキナが勝ったのは、両選手の実力が拮抗するハードコートでの試合でした。先週のイタリア国際で優勝を飾ったものの、クレーコートでのこれまでの戦績は、さすがリバキナとはとても言えないものです。また、最近行われたマドリード・オープンとシュトゥットガルト・オープンでは、本命と見られながらも手痛い負けを喫しています。リバキナのマーケットプライスが低めに見えるのももっともです。
全仏オープン2023女子シングルス:要注意の選手たち
他に支持を集めるであろう選手としては、2021年の優勝者バルボラ・クレイチコバが挙げられます。*18.640のクレイチコバはこのところ成績不振で、2試合連続で勝利することすら難しくなっています。エレナ・オスタペンコは*20.760となっており、ちょうどイタリア国際で準決勝進出を果たした後ということで、クレーコートで好結果を残す可能性があります。
コリ・ガウフ、パウラ・バドサ、オンス・ジャバーらはいずれも*22.800前後となっています。今シーズン、クレーコートで立て続けに負けている米国出身のガウフが、全仏でのタイトル争奪戦に食い込んでくるとは思えません。ガウフに関しては、ここ数年の勝敗記録が彼女の基礎的データを上回るものとなっていますが、どうやら過去にも経験した厄介な不調に、再び悩まされているようです。ジャバーは怪我が疑われており、バドサはおそらくトップ選手と戦えるほど好調とは言えない状態だと思われます。ただ、最近のバドサは同レベルの選手の中でも抜きん出て素晴らしいプレイを見せています。
キャロリン・ガルシア、ダリア・カサトキナ、アマンダ・アニシモバはいずれも、今季クレーコートで好成績を残せていません。ビアンカ・アンドレースクとベリンダ・ベンチッチはジャバーと同じく怪我が疑われています。なぜ今大会のアウトライトマーケットがこれほど不安定なのか、その理由については引き続き分析を進めています。
最後に、大穴を狙うのであれば*37.920のベロニカ・クデルメトバが手堅いでしょう。マドリードで準決勝に進出し(その試合でシフィオンテクに敗退)、イタリア国際でも同じく準決勝まで進んだ選手で、全仏オープンを前に調子がうなぎ上りという印象です。シフィオンテクの連覇を阻むのは誰か、Danの予想を支持しますか? TwitterでDan (@tennisratings)をフォローしましょう。男子シングルスのプレビューはこちらでご覧ください。