ベッティングリソースには、サッカーゲームでの Pinnacle のゲームベッティングオッズの仕組みや、当社のオッズがベストバリューである理由、またオンラインスポーツベッティング市場で 最も有効である ことなどに関する多くの記事が含まれています。
オッズが 1.50 のチームは約 67% の確率で勝ちます。これを知っていれば、「チームのオッズが 1.50 であるなら勝つ確率は 67% であろう」と言うことができます。
この知識をもとに、これらの試合のオッズを使用してチームの過去の運をチェックし、シーズン末の最終成績を予測することができます。
2015/16 年プレミア リーグで Leicester City が勝つ見込みが低いことについても、過去にこの方法で検討しました。本記事では前シーズンの成績をより総括的な視点から見直し、 2017/18 年新シーズンを予測してみます。
Pinnacle のクロージングラインを使用して結果の確率を予測する
1 対 2 のサッカーゲームベット市場での Pinnacle のクロージングラインはおそらく、特定の結果が起こる「正当な」確率を計る優れた尺度と言えるでしょう。もちろん結果の正当な確率は試合前にはわかりませんが、同様のオッズの何百、何千もの試合を基にすれば、チームの予測結果はオッズが示唆する確率に酷似するものになります。
これは実際には、オッズが 1.50 のチームは 67% の確率で勝つことを意味します。これを知っていれば、チームのオッズが 1.50 なら勝つ確率はおよそ 67% であろう、と言えます。オッズが 5.00 なら勝つ確率は約 20% となります。
マージンを排除して「正当な」オッズを見極める
もちろん、試合のオッズから結果の確率について本当に信頼性のある尺度を得るには、まず最初に Pinnacle のマージン を排除する必要があります。「正当な」あるいは有望な一連のオッズに対し Pinnacle がどのようにマージンを適用しているかは、当然ながら企業秘密ではあります。
ですが、ロングショットバイアス (本命に比例してずっと低い確率のロングショット (大穴) に賭ける傾向) を考慮した、直観的で理にかなったソリューションを生み出す方法となり得るものもいくつかあります。
プレミアリーグベッティング市場では、Ferguson 時代の後も未だに Manchester United が支配的な存在として過大評価されている可能性があります。
その中のひとつでは対数関数が使用されています。対数とは、ある数を別の数の累乗として表した場合の冪指数をさします。例えば、底を 10 とする 100 の対数は 2 です (10 の 2 乗 = 100 であるため、「log10100 = 2」と書き表されます)。
いくつかの「正当な」オッズにマージンを適用する場合の対数関数では、1 対 2 のオッズの AME 値にそれぞれ同じ冪指数を適用することになっています。例を挙げて説明するのが最もわかりやすいでしょう。
1 対 2 のオッズでの 2.00、3.00、6.00 の公正なブックと仮定しましょう。 ここでそれぞれの数値を 0.95 乗し、マージンを適用します。その結果は、1 対 2 のオッズでの 1.93、2.84、5.49 のブック、そしてマージン (オーバーラウンド) は 5.2% となります (情況に基づく結果確率の合計が 105.2% であるため)。低いホーム戦のオッズ (3.5%) より、差の大きいアウェイ戦のオッズがずっと下げられている (9.4%) ことがわかります。
1 対 2 のオッズで公開されているブックから一連の「正当な」オッズを探すのは、この逆のプロセスです。「対数関数」モデルは、リスクとメリットに関する通常の経済理論の大部分に一致する点で直観的です。
ベッターは、リスクに対する対数の反応性を理解した上で、 2.00 と 1.93 の差は 6.00 と 5.49 の差に等しいとみなすことができます。前者の差より後者の差の方が大きいものの、確率が低めのイベントに対しベッターはさほど敏感ではないため、比較的価値の低いオッズに騒ぎ立てることはそれほどありません。
サッカー の結果やリーグ得点をモンテカルロでシミュレートする
結果の正当な確率を計算したら、試合の結果を判断する必要があります。結果はもちろん、現実には試合が終わればわかりますが、ここでは前もって予測する必要があります。
試合のオッズを用いたモデルに基づく予測では、4 つより多く順位がずれた結果のチームはなく、6 チームでは予測とまったく一致していました。
これは期待値や予想ゴール数と同じく、予測モデルのパラメーター (この場合は Pinnacle のクロージングオッズから推定される予想結果の確率) に基づいて起こると予想される結果を判断するための方法にすぎません。
予想結果をシミュレートする方法のひとつに、モンテカルロシミュレーションを用いて何千もの試合結果を無作為化するやり方があります。生成された値が結果の確率よりも低い場合、その結果を試合に割り当てます (即ち実際に起こったとします)。値が結果の確率よりも大きい場合は、ヌルの結果を割り当てます (つまり実際には起こらなかったとします)。
このプロセスをシーズン全体にわたり各チームにつき 38 試合より多く繰り返すことで、予想得点をシミュレートすることができます。モンテカルロ法では各チームの予想得点の正規分布を判断できます。Pinnacle の 2016/17 年シーズンのクロージングオッズを使用して、優勝した Chelsea、以前に優勝した Leicester City、および降格した Sunderland に関する正規分布を以下に示します。
このモデルによれば Chelsea の平均予想得点合計は 77.7 です。実際の最終得点はご存知のように 93 でした。これは 2 つのことを意味する可能性があります。
まず、このモデルはプレミアリーグの順位表を正確に予測するには適していない可能性があります。実に、試合の実際のオッズによれば前シーズンには Manchester City が予想得点合計 81.3 でタイトルを獲得するはずでした。もちろん、完全に正確なモデルは存在しませんが、 中には他のモデルより優れたものがあります。
ベッターは、リスクに対する対数の反応性を理解した上で、 2.00 と 1.93 の差は 6.00 と 5.49 の差に等しいとみなすことができます。
次に、モデル予想は通常、現実の場合よりも僅差であり、全チームにわたる予想得点合計の範囲が実際よりも狭いことがわかっています。得点 24 で降格された Sunderland の予想得点は、32.1 というシーズンの自己の試合オッズに基づくものでした。これは Chelsea が予想より幸運だったのに対し、Sunderland はより不運だったことを表します。
トゥルースコア理論によれば、観察された結果は技能 (における分散) と運 (における分散) を加えたものに等しいとされています。予測モデルでは運ではなく技能の部分のみを考慮します。
このような注意点にかかわらず、試合のオッズを用いて最終的な順位表を予想することは、少なくとも順位の点ではかなり正確であることが証明されました。最終的な順位が予測から 4 つより多くずれていたチームはなかった一方、6 チームでは予測とまったく一致、また別の 5 チームではずれが 1 順位以内でした。
チーム
|
実際の勝ち点
|
予想得点
|
実際の順位
|
予想順位
|
差
|
Chelsea
|
93
|
77.7
|
1
|
2
|
1
|
Tottenham
|
86
|
72.8
|
2
|
5
|
3
|
Man City
|
78
|
81.3
|
3
|
1
|
-2
|
Liverpool
|
76
|
74.2
|
4
|
4
|
0
|
Arsenal
|
75
|
74.3
|
5
|
3
|
-2
|
Man United
|
69
|
72.7
|
6
|
6
|
0
|
Everton
|
61
|
55.7
|
7
|
8
|
1
|
Southampton
|
46
|
57.5
|
8
|
7
|
-1
|
Bournemouth
|
46
|
43.5
|
9
|
12
|
3
|
West Ham
|
45
|
43.6
|
10
|
11
|
1
|
West Brom
|
45
|
40.8
|
11
|
14
|
3
|
Leicester
|
44
|
50.0
|
12
|
9
|
-3
|
Stoke
|
44
|
43.1
|
13
|
13
|
0
|
Crystal Palace
|
41
|
44.8
|
14
|
10
|
-4
|
Swansea
|
41
|
40.0
|
15
|
15
|
0
|
Watford
|
40
|
38.0
|
16
|
17
|
1
|
Burnley
|
40
|
33.2
|
17
|
19
|
2
|
Hull
|
34
|
34.7
|
18
|
18
|
0
|
Middlesbrough
|
28
|
38.2
|
19
|
16
|
-3
|
Sunderland
|
24
|
32.1
|
20
|
20
|
0
|
プレミアリーグ予想:オッズを直接使用する
結果や得点をシミュレートする別の方法として、モンテカルロ法のプロセスをまったくスキップするやり方があります。ホームチームの有望なオッズがホーム、ドロー、アウェーにつきそれぞれ 2.0、3.0、6.0 の場合、これは、試合の予想得点合計が (50% x 3 点) + (33.33% x 1 点) + (16.67% x 0 点) = 1.833 点であることを意味します。これに対し、アウェーチームの試合予想得点は 0.833 です。
2017/18 年プレミアリーグの順位表予想においては、未来への鍵が過去にあると仮定するのが最も簡単なモデルとなります。
モンテカルロ法を用いて必要とされる大量の値を繰り返しプロセスし予測した場合でも同じ答えに到達しますが、この方法はより簡単な近道です。同値であることを実証するため、二つの方法でのリーグ予想得点合計を以下に示します。ただしこの方法は、モンテカルロ法と比べると、エラーや変分を判断できないという欠点があります。そのため各リーグの最終的な順位の確率を予測することはできません。
チーム
|
実際の勝ち点
|
予想得点 (モンテカルロ法)
|
予想得点 (直接計算)
|
Chelsea
|
93
|
77.7
|
77.7
|
Tottenham
|
86
|
72.8
|
72.8
|
Man City
|
78
|
81.3
|
81.3
|
Liverpool
|
76
|
74.2
|
74.1
|
Arsenal
|
75
|
74.3
|
74.4
|
Man United
|
69
|
72.7
|
72.8
|
Everton
|
61
|
55.7
|
55.7
|
Southampton
|
46
|
57.5
|
57.5
|
Bournemouth
|
46
|
43.5
|
43.5
|
West Ham
|
45
|
43.6
|
43.6
|
West Brom
|
45
|
40.8
|
40.8
|
Leicester
|
44
|
50.0
|
50.0
|
Stoke
|
44
|
43.1
|
43.1
|
Crystal Palace
|
41
|
44.8
|
44.8
|
Swansea
|
41
|
40.0
|
40.0
|
Watford
|
40
|
38.0
|
37.9
|
Burnley
|
40
|
33.2
|
33.3
|
Hull
|
34
|
34.7
|
34.7
|
Middlesbrough
|
28
|
38.2
|
38.2
|
Sunderland
|
24
|
32.1
|
32.1
|
2017/18 年プレミアリーグシーズン予想
2017/18 年プレミアリーグの順位表予想においては、未来への鍵が過去にあると仮定するのが最も簡単なモデルとなります。新選手移籍のような他の要因は別として、次の表には、モンテカルロ法の 100,000 回の反復回数を基にした、2016/17 年順位表で (降格されていない) 各チームが一位となった回数、また 2017/18 年のチームの優勝確率と推定される有望なオッズが示されています。これらをその後、プレシーズンタイトル獲得についての Pinnacle のオッズに照らし合わせて潜在価値を判断します。
チーム
|
100,000 回の反復に基づくタイトル獲得回数
|
2017/18 年優勝の予想確率
|
推定される有望なベッティングオッズ
|
Pinnacle のベッティングオッズ (2017年8月10日現在)
|
Man City
|
44,096
|
44.10%
|
2.27
|
2.65
|
Chelsea
|
23,406
|
23.41%
|
4.27
|
4.70
|
Arsenal
|
11,889
|
11.89%
|
8.41
|
12.00
|
Liverpool
|
11,812
|
11.81%
|
8.47
|
12.00
|
Tottenham
|
8,552
|
8.55%
|
11.69
|
9.15
|
Man United
|
8,298
|
8.30%
|
12.05
|
4.80
|
Southampton
|
99
|
0.10%
|
1,010
|
N/A
|
Everton
|
37
|
0.037%
|
2,703
|
N/A
|
Leicester
|
4
|
0.004%
|
25,000
|
N/A
|
Bournemouth
|
1
|
0.001%
|
100,000
|
N/A
|
West Ham
|
0
|
0%
|
N/A
|
N/A
|
West Brom
|
0
|
0%
|
N/A
|
N/A
|
Stoke
|
0
|
0%
|
N/A
|
N/A
|
Crystal Palace
|
0
|
0%
|
N/A
|
N/A
|
Swansea
|
0
|
0%
|
N/A
|
N/A
|
Watford
|
0
|
0%
|
N/A
|
N/A
|
Burnley
|
0
|
0%
|
N/A
|
N/A
|
当社のモデルを基にした場合、Manchester City、Chelsea、Arsenal、Liverpool はどれも何らかの価値を提供しています。ここでは Manchester United、そして程度はより低いものの Tottenham が犠牲になっています。プレミアリーグベッティング市場では、Ferguson 時代の後も未だに、 Manchester United およびマネージャーの Mourinho が支配的な存在として過大評価されている可能性があります。またこのモデルでは当然ながら、注目されている Romelu Lukaku と Nemanja Matic の夏季の契約は考慮されていません。
ベイズ解析
このモデルの大きな欠点は、終了したシーズンの結果がなければ翌年を予測できない点です。ただし、この制約に縛られる理由はありません。代わりに、現在までに終了している試合や過去の 38 試合を徐々に使用して予測し、確率および推定されるタイトル獲得ベッティングオッズをその都度更新していく方法をとることができます。
もちろん、シーズンが進むにつれて実際の勝ち点も考慮に入れなければなりません。このようなベイズ解析は、より多くの証拠や情報が利用可能になるにつれて予想の確率を更新するという統計的推測方法に似通ったものになります。この方法はさらに、プレミアリーグ降格ベットや最終的な上位 4 位など他の市場にも適用できます。
シンプルなモデルではありますが、このモデルから得られる予測は Pinnacle のトレーダーの予測と大幅に異なるものではありません。