一般的に、強豪チームはインターナショナルブレイク後に苦戦すると言われます。国内リーグの再開直後は番狂わせがよく起きる、と考えている人も少なくありません。トップチームのメンバーは国の代表として、世界各地での転戦を強いられるため、いずれにせよ疲れている状態で格下チームを迎え撃つことになるわけです。
Tottenhamのインターナショナルブレイク後の試合での得失点差はわずか+2、Liverpoolは+4ですが、他のビッグ6チームの同試合での得失点差はすべて+26を超えています。
ここ数年の結果を見ると、国際マッチのためのブレイク直後に番狂わせが起きているのは確かです。例えばManchester UnitedとArsenalは2013年シーズン、いずれもNorwichに敗北を喫し、最近でもChelseaとLiverpoolがCrystal Palaceを相手に苦杯を舐めています。
こうした番狂わせが、確証バイアスを生むに至ったのでしょうか?実際のところビックチームはインターナショナルブレイク後に苦しんでいるのでしょうか?あるいは突発的な番狂わせが強く印象に残っているだけなのでしょうか?
幸い、ネット上には様々な情報が公開されており、必要なデータを集めるのは造作もありません。国際マッチのためのシーズン中断について過去5年分のデータを検証し、そうした中断直後のチームの成績と、それ以外の試合での成績とを比較していきましょう。
Premier Leagueの「ビッグ6」は、2012年8月から2017年5月までの間のインターナショナルブレイク後、20~21試合をリーグで戦っています。これらの試合での各チームの平均得点数(PPG)を、それ以外の試合での数字と比較すると、以下のようになります。
ビック6のインターナショナルブレイク直後のPPG比較
チーム
|
合計PPG
|
インターナショナルブレイク直後のPPG
|
その他の試合のPPG
|
PPGの差
|
Tottenham Hotspur
|
2.17
|
2.57
|
2.13
|
0.44
|
Manchester United
|
2.06
|
2.31
|
2.03
|
0.28
|
Arsenal
|
2.29
|
2.43
|
2.28
|
0.15
|
Manchester City
|
2.28
|
2.14
|
2.29
|
-0.15
|
Chelsea
|
2.16
|
2.00
|
2.19
|
-0.19
|
Liverpool
|
1.94
|
1.64
|
1.98
|
-0.34
|
特にChelseaとManchester Cityに関しては、無視できるほどの差しか見られません。もっとも差が大きかったのはLiverpoolです。しかも、数字を落としています。
インターナショナルブレイク後の試合での得失点差も、+4しかありません。Tottenham Hotspurの+2よりは上ですが、他の4チームのこれらのゲームでの得失点差はいずれも+26を超えています。
この記事についての調査中、興味深い事実が明らかになりました。インターナショナルブレイク後の週末にはお決まりのように、ビッグ6の2チームの対戦カードが組まれていたのです。
2013年11月以降はインターナショナルブレイク後、Premier Leagueが再開するたびに、ビック6同士の激突がありました。日程表を見ると、こうした傾向は2017/18年シーズンの最後まで続くことが分かります。
どうやら対戦カードを決定するソフトウェアは、緊張感のない国際親善マッチに落胆しているファンに報いようと考えているようです。退屈なブレイクが終わり、国内リーグが再開すると、ファンの元へは豪華なカードが届けられるのです。
しかし、そうなると、今回のインターナショナルブレイク後のマッチサンプルには、ビック6同士の対戦が含まれていることになります。実際、16試合ありました。番狂わせが当たり前のように起きているのか判断するには、トップチームがリーグの残りのチームと対戦した際の1試合平均得点数を見ていく必要があります。その数字をまとめたのが、以下の表となります。
ビック6のインターナショナルブレイク直後のPPG比較
チーム
|
合計PPG
|
インターナショナルブレイク直後のPPG
|
その他の試合のPPG
|
PPGの差
|
Manchester United
|
1.88
|
2.14
|
1.85
|
0.29
|
Arsenal
|
1.96
|
2.15
|
1.94
|
0.21
|
Chelsea
|
2.04
|
2.10
|
2.03
|
0.07
|
Manchester City
|
2.04
|
2.05
|
2.04
|
0.01
|
Tottenham Hotspur
|
1.90
|
1.81
|
1.91
|
-0.10
|
Liverpool
|
1.81
|
1.45
|
1.85
|
-0.40
|
ビック6全体で見ると、インターナショナルブレイク後以外の他チームとの対戦では、1試合平均2.15点を奪っていますが、これがインターナショナルブレイク後では2.18点となります。これは実際、無視できる差ですし、彼らのパフォーマンスは下がるどころか上がっています。
上の表から分かるのは、半分のチームは数字がアップし、半分のチームはダウンしていること。そしてTottenham Hotspurの数字が最初の表と比べて、大きく変わっていることです。なぜこうなったかというと、インターナショナルブレイク後の彼らのビッグ6との対戦成績は、過去5シーズン、最悪だったからです。
7戦してドローが2回、残りは5敗しています。これらの敗戦のすべてで、Tottenham Hotspurは4ゴール以上を許しています。公正を期すため付け加えておくと、この成績はすべて2015年以前のものであり、現在のTottenhamはMauricio Pochettinoの指揮下、倒すのが極めて厄介なチームとなっています。
実際、そうでないと困ります。なぜなら2017/18年シーズン、Tottenhamはインターナショナルブレイク後、ArsenalやChelseaとアウェーで戦うからです。過去の成績に鑑みれば、Tottenhamがポジティブな結果を挙げるのは難しいかもしれません。
2013年11月以降はインターナショナルブレイク後、Premier Leagueが再開するたびに、ビック6同士の激突がありました。
得点数と失点数の面では、大きな差は見られません。実際のところ、ビッグ6の1試合平均得失点差はインターナショナルブレイク後、0.17ポイント上昇しています。これは大勢には影響しない数字です。予想された数値の低下も見られませんが、オーバー /アンダー市場へ賭けるのなら、考慮すべき数字であることは確かでしょう。
トータルゴール数にも大きな差異は見られません。国内リーグの再開時にはわずかに上昇(1試合平均2.91から3.04へ)していますが、ベッティングの観点からすると、常に平均2.5ゴール以上であることは変わりません。
ここでのキーポイントは「平均」です。ビッグ6がリーグの残りのチームと対戦した際も、全体的な数字ではごく小さな差しか見られません。番狂わせは常に起こり得ますが、ベッターとしては、それがいつ起きるのか特定するのは困難です。
過去3シーズン、インターナショナルブレイク後にビック6が格下チームに負けたのは6回しかなく、こうした結果は、強力な布陣を擁するビック6が、自軍の代表プレイヤーの扱いに長けていることを示します。これらの試合での番狂わせは期待しないほうが無難でしょう。なぜならまず、起こらないからです。