欧州の主要サッカーリーグでは、1シーズンで、8〜9か月間かけて34〜38試合が行われます。当然のことながら、試合数が多く、シーズンの結果が固まるまでの期間も長いのですが、サッカーファンの間では「シーズン序盤が最も重要であり、チームの最終的な勝利を左右する」という意見がよく聞かれます。果たしてそれは正しいのでしょうか? 詳しくは続きをお読みください。
最初の 6 試合から学べること
この記事では、サッカーシーズンの「序盤」を最初の6試合とします。一見するとサンプル数が少ないように見えるかもしれませんが、これには歴史的な根拠があります。というのも、Premier Leagueの優勝チームが開幕から6試合を終えた時点で上位4チームに入っていなかったことは、1995/96年以降わずか4回しかありません。
また、開幕6試合では、チームは通常、ホームとアウェーでそれぞれ3試合を戦います。これらの試合では、新加入の選手や新監督、さらには新しいスタジアムなどの大きな変化が、チーム全体のパフォーマンスにプラスまたはマイナスの影響を与えるかどうかについても見極めることができます。 また、ベッターにとって最初の6試合は、新しく昇格したチームがどのようなパフォーマンスを見せるか、プレシーズンの好調な成績を新シーズンでも維持できるかどうかを評価する機会にもなります。
シーズンの好調なスタートから学べること
以下の表は、Premier Leagueの過去5シーズンに関して、6試合を終えた時点での上位6チームと、そのチームの最終順位を示したものです。
6試合を終えた時点での順位 |
2016/17 |
2017/18 |
2018/19 |
2019/20 |
2020/21 |
1位 |
Manchester City |
Manchester City |
Liverpool |
Liverpool |
Everton |
2位 |
Tottenham Hotspur |
Manchester United |
Manchester City |
Manchester City |
Liverpool |
3位 |
Arsenal |
Chelsea |
Chelsea |
Leicester City |
Aston Villa |
4位 |
Liverpool |
Tottenham Hotspur |
Watford |
Arsenal |
Leicester City |
5位 |
Everton |
Liverpool |
Tottenham Hotspur |
West Ham United |
Tottenham Hotspur |
6位 |
Manchester United |
Watford |
Arsenal |
Bournemouth |
Leeds United |
ここからわかる大まかな結論は、Premier Leagueのシーズン開幕時に好調なチームは、シーズンを通してそのレベルを維持する傾向があるということです。実際、開幕から6試合を終えた時点で上位6チームに入っていた30チームのうち、シーズン終了時に上位6チームに残っていたのは20チーム、上位半分に入っていたのは26チームでした。
もっとも、これはそれほど驚くべきことではありません。リーグ戦でのタイトル争いでは安定感がカギとなるからです。また、ベットする側も、残りの32試合で強豪チームが上位争いを繰り広げることを期待しています。
しかし、これは開幕6試合からの予想を大きく上回る、または下回るパフォーマンスをみせるチームの事例がないということではありません。上の表に示したように、2017/18シーズンのWatfordは6試合を終えた時点で6位でしたが最終順位は14位でした。また、2019/20シーズンのWest HamとBournemouthは6試合を終えた時点でそれぞれ5位と6位でしたが、いずれも最終的には下位5チームに終わっています。
先ほども述べたように、Premier Leagueの優勝チームが開幕から6試合を終えた時点で上位4チームに入っていないことはごくまれです。このようなスタートを経て優勝を手にしたことがあるチームは、2002/03シーズンのManchester United (6試合を終えた時点で10位)、2013/14シーズンのManchester City (6試合を終えた時点で7位)、2016/17シーズンのChelsea (6試合を終えた時点で8位)、そして2020/21シーズンのManchester City (6試合を終えた時点で13位)だけです。
これは、リーグ優勝チームを予想する際には、どのチームが好調なスタートを狙えそうかを考慮することが重要な要素となることを示しています。Premier Leagueでは、同じチームがシーズンを通して優勢を維持することは決してめずらしくありません。2014/15シーズンは、Chelseaが第3節からシーズンを通して首位に立ち続け、2017/18シーズンには、Manchester Cityが第5節以降、首位の座を譲りませんでした。
シーズンの不調なスタートから学べること
以下の表は、Premier Leagueの過去5シーズンに関して、6試合を終えた時点での下位6チームと、そのチームの最終順位を示したものです。
6試合を終えた時点での順位 |
2016/17 |
2017/18 |
2018/19 |
2019/20 |
2020/21 |
15位 |
Bournemouth |
Swansea City |
Fulham |
Brighton and Hove Albion |
Manchester United |
16位 |
Middlesbrough |
Stoke City |
Burnley |
Norwich City |
Brighton and Hove Albion |
17位 |
Swansea City |
Leicester City |
West Ham United |
Newcastle United |
West Bromwich Albion |
18位 |
West Ham United |
West Ham United |
Newcastle United |
Aston Villa |
Burnley |
19位 |
Stoke City |
Bournemouth |
Cardiff City |
Wolves |
Sheffield United |
20位 |
Sunderland |
Crystal Palace |
Huddersfield Town |
Watford |
Fulham |
ここでも、同様の結果が見られます。開幕から6試合を終えた時点でPremier Leagueの下位6チームに入っていた30チームのうち、シーズン終了時に下位6チームに入っていたのは18チームでした(うち12チームは降格)。上位半分に食い込んだのはわずか4チームで、トップ6入りを果たしたのは昨シーズンのManchester Unitedだけでした。
また、過去5回のそれぞれのシーズンでは、6試合終了時点で下位6チームに入っていたチームのうち、1チーム以上が降格しています。さらに不吉なことに、現在までに行われたPremier League (全38試合)の26シーズン中24シーズンで、6試合終了時点で下位3チームに入っていたチームのうち、1チーム以上が降格しており、スタート時の不調を挽回するのが非常に難しいことがわかります。
しかし、降格する可能性があるチームはシーズン中に入れ替わることが多いことも覚えておいてください。Premier Leagueでは6試合終了時点の下位3チームがそのまますべて降格となったケースは一度しかありません(2006/07シーズン)。
ベッターはこのデータをどのように活用できるでしょうか?
ベッターは、Premier Leagueをはじめとする欧州の主要サッカーリーグにベットする際、上記のデータをさまざまな方法で活用することができます。アウトライト市場はシーズンを通して頻繁に再提示されるため、リーグ優勝や降格の可能性を分析する際に、スタート時の際立った好調または不調を考慮したうえで、チームにバリューがあるかどうかを見極めることができます。
同様に、シーズン最初の6試合の結果を利用してパフォーマンスを評価し、個々の試合の結果を予測する際に役立てることもできます。シーズン序盤の結果を利用するだけでなく、ポアソン分布を利用したり、予想ゴール数のモデルを使用したりすることで、サッカーリーグのベッティングに戦略的なアプローチを取り入れることができます。