ベッターは誰でもエッジのある方に賭けたいものですが、ところでエッジとはどのようなものでしょうか。当社分析部門のリーダーが、ベッティングリソースでの初記事において、バリューの視覚化という独自のアプローチからこの長きに渡る問題に答えます。ベッティングエッジとはどのようなものか。この記事を読んで、これに関する独自の洞察に触れていきましょう。
ベッティングリソースの読者のほとんどは、ベッティングマージンの概念やその長期的な利益との関係性についてはよく理解されているに違いありません。そこで、ブックメーカーをコンスタントに打ち負かすにはどの程度のエッジが必要かという昔ながらの説明を扱う代わりに、私は全く異なる角度からこの問題にアプローチしたいと思います。エッジとはどのようなものなのか、文字通り「お見せ」しましょう。
ベッティングは常にオッズという枠組みの中で議論がなされます。皆さんはこれまで、デシマルオッズ1.95とかアメリカンオッズ-125といったオッズに賭けたことがあるかもしれません。オッズ自体は単に、根底となる事象の発生確率、つまり、それがどの程度起こりそうなのかということを反映したものです。例えばあなたがオッズ4.00でベットを行う場合、あなたはその事象は実際4回に1回以上、つまり25%以上の割合で起こるだろうから、このベットは自分にとって価値がある、といった判断をしているのです。
また私たちは、どのベットでも0%(絶対に起こらない)から100%(絶対確実に起こる)の間のどこかに勝てる確率が必ずあることも知っています。以下のグラフと解説を説明するにあたり、読者のみなさんにいくつか問題を出しましょう。
A. 最も高い期待投資利益率を実現するのは、これら2つのベットのどちらでしょう? (例えば、この2つの賭けでそれぞれに1ユニットずつ賭けた場合、より大きな利益が見込めるのはどちらでしょうか?)- 提示されたラインは5.00で、ベットを行えば2.5%のエッジがあると考えられます。 (つまり、提示された確率は20%で、このベットなら22.5%の割合で勝つと考えられます。)
- 提示されたラインは1.25で、ここにベットを行えば10%のエッジがあると考えられます。(つまり、提示された確率は80%で、このベットなら90%の割合で勝つだろうと考えられます。)
- 提示されたラインは4.00ですが、マージンを抜いた実際の公正なラインはおそらく5.00です。(つまり、提示された確率は25%ですが、事象は20%の割合でしか起こらないでしょう。)
- 提示されたラインは1.25ですが、マージンを抜いた実際の公正なラインはおそらく1.333です。(つまり、提示された確率は80%ですが、事象は75%の割合でしか起こらないでしょう。)
これらの難問についてはこの記事の最後で再び扱うこととして、まずは正解にたどり着くため、ベット(と関連するマージン)とはどのようなものであるかを視覚化することから始めたいと思います。
ラインの視覚化
賭けの際に使用するオッズ形式に関わらず、結局のところ、最後は確率の問題になります。どのベットにも、それに対応する事象発生の可能性があるので、確率で表すことができます。
ブックメーカーは利益を出すために、実際の確率を正確に表したオッズは提示しません。少しだけ上乗せ、つまりマージンをつけて、未来の出来事を予測することにまつわる不確実さから身を守ります。
これはマージンベルトを使って図表に表すことができます。
- 公正なラインは両サイドからのオッズが同じになる位置にあります。
- さらに、両側に2本のラインがあり、これはマージンをつけて提示すべきベッティングを表しています。
このグラフを見るだけでその意味するところがすぐに分かるわけではないので、いくつか注釈を加えましょう。
この例は、ブックメーカーが合計10%のマージンを課し、これを公正なラインの両側に均等につけると仮定したものです。
マージンを付けたラインでは、0%または100%と交わる境界でもいくらかの確率があることがわかります。こういったケースになるのは、それが発生する可能性があまりにも高く、このメソッドを使った安全マージンをつけるとベットを提示できない場合です。
さらに、マージンを付けた2本のラインは常に平行で、同じ距離を保っていることがわかります。私たちはこれをマージンベルトと呼びます。
ここで実際に重要なのは、どれだけのマージンが付けられているかではなく、マージンと賭けていたベットとを比較するとどういった比になっているのかということです。
次のように考えると、マージンベルトが意味するところを理解しやすくなります。ブックメーカーは、結果がマージンベルト内に落ち着いた場合、つまり事象の起こる確率がその範囲内の時には儲けが出ますが、結果が範囲外であれば儲けは出ません。もちろんこれは単純化した話ですが、グラフの意味はこれでわかります。
さらに、このマージンベルトを見たなら、みなさんはオッズが1.500より低い、大きなフェイバリットへの賭け金はベッターにはより代償が大きいと考えるに違いありません。なぜなら、マージンはどちらかというとベッターの選択する側に多く付けられているからです。しかし、ここで実際に重要なのは、どれだけのマージンが付けられているかではなく、マージンと賭けていたベットとを比較するとどういった比になっているのかということなのです。今後は、この主要な基準を表すのに矢印を使います。
もちろん、投資利益は、オッズと可能性を基に計算することで答えを出すことができます。しかしこの記事のポイントは、エッジとはどういったものかを「見せる」ことですから、うまくいけば数学より消化しやすいはずなので、あくまで図表にこだわっていきます。
さて、マージンベルトという概念、それから矢印を使ってベットのバリューという視覚的な基準を持ち込んだところで、あの問題に戻りましょう。
A.どちらのケースでも利益が出るはずだというのはわかりますが、どの程度の利益でしょうか? お金の投資という点においては、2つのうちどちらが優れているのでしょう?- 提示されたラインは5.00で、ここにベットを行えば2.5%のエッジがあると考えられます。(つまり、提示された確率は20%で、このベットなら22.5%の割合で勝つだろうと考えられます。)
- 提示されたラインは1.25で、ここにベットを行えば10%のエッジがあると考えられます。(つまり、提示された確率は80%で、このベットなら90%の割合で勝つだろうと考えられます。)
ここで実際に重要なのは数字ではなく、矢印の長さです。私たちの推定投資利益率を明らかにするのは、矢印の比率です。1つ目の例ではエッジは2.5%です。これは矢印の長さの差で、この差はベットの確率の中に8つ収まります。20を2.5で割った数字です。
したがって、あなたが見込める利益率は1+1/8、つまり112.5%です。つまり、このラインに賭けた全てのユニットごとに、0.125ユニットの勝ちが期待できます。
2つ目の例では、非常によく似たパターンが見られます。
比率は完全に同じであり、したがって賭けたユニットごとに、同じ0.125ユニットの払い出しが期待できます。
では、元の問題、どちらのベットがより高い利益が見込めるかという問いの答えは? 答えは「2つで見込める利益は完全に同じ」です。
2番目の例題では異なるラインがあり、そこでは期待される払い出しはマイナスです。
A. 最も高い期待投資利益率となるのは、これら2つのベットのどちらでしょう?- 提示されたラインは4.00ですが、おそらくマージンを抜いた実際の公正なラインは5.00です。(つまり、提示された確率は25%ですが、事象は20%の割合でしか起こらないでしょう。)
- 提示されたラインは1.25ですが、おそらくマージンを抜いた実際の公正なラインは1.50です。(つまり、提示された確率は80%ですが、事象は66.67%の割合でしか起こらないでしょう。)
公正なライン対マージン付きラインの矢印の長さを見るため、上記より、ここに図を当てはめることができます。
ここでは先に行ったのと似通った問題を解くのに2つの方法があります。
- 私たちは前と同じようにして、置かれたベットに差がいくつ収まるかを確認します。しかしこの場合、結果はマイナスですから、結果の前にマイナス記号(-)を加える必要があります。これはつまり、ベットの投資利益率がマイナスの値であることを意味します。
したがって、1回目のベットでは1ユニットから20%を引いたものが投資利益率となりますから、これは80%を得ると言うのに等しく、つまり4/5が戻ることになります。そして2回目のベットでは1ユニットから16.67%を引いたものが投資利益率となり、戻りは83.33%、つまり5/6ということになります。
- もう1つの方法は、ベッティングマーケットの概況を作成し、ベッティングマーケットのグラフから期待投資利益率を読み出すことです。
ここで私たちは、100%で提示された確率ラインとベッティングマーケットとの交点を見ることで、グラフから投資利益率を読み取ることができます。これにより、公正なオッズとこれに対応して提示されたベッティングマーケットのこの組み合わせに賭けられた全てのベットについて、投資利益率が明らかとなります。
つまり2番目の例題では、投資利益率がもう一方を上回るのは「2つ目」の方のベットでした。
ベッティングリソースのコンテンツはどれもベッティングの仕組みを説明することを目指していますが、ここから人々が学ぶ方法はもちろん一様ではありません。視覚的に示される方が情報を吸収しやすいと考える人もいます。これが動機となって、私はいくつかの過去記事に共通するテーマ、つまり「エッジとは何かを明らかにすること」を選び、かなり違った方法でこれを示すことにしたのです。
ベッティングにおいてエッジが実際にどう見えるか、マージンベルトを使って文字通り「見せる」ことで、考えを取り入れ、またピナクルが採用するベッティングに対する低マージンアプローチの真価を認めるベッターが少しでも増えてくれることを期待します。