幸運と不運:予想の紙一重の差

昔ながらのコイントスの例

二項分布の標準偏差

大数の法則はあなたの味方か敵か?

幸運と不運:予想の紙一重の差

ベッティングはよく運の影響を受けます。時に幸運によって勝ち、時に不運によって負けることがあります。ベッティングにおいて運が果たす役割を理解することは大切ですが、幸運と不運はどれくらい差があるのでしょうか? 詳しくは続きをお読みください。

スポーツベッティングはほとんど運にかかっています。勝つ人はほぼ幸運のおかげで勝利を手にしますが、ほとんどの場合、最後にブックメーカーのマージン大数の法則が運に勝ります。ここ数年、私の記事を読んでいる人たちは、長期的に利益を出すベッターの可能性について、私が容赦のない話を展開しようとしていることをすでにご存じでしょう。これはベッターであれば希望と現実の間で直面する論争点となるので、必ず同意してもらえるとは思っていません。

この説を覆すために、ピナクルのベッティングリソース記事の多くはベッターの予想スキル向上につながる内容を取り上げています。しかし、長期的に利益を出せる予想を何とか見つけ出した少数のベッターであっても、確率の法則が適用されます。この記事では、その法則がどう適用されるのかを詳しく見ていきます。特に、幸運と不運の差がいかに紙一重であるかを説明したいと思います。

昔ながらのコイントスの例

コイントスは50%の確率で表か裏になることを誰もが知っています。また、20回コインをトスしたら、10回が表で10回が裏という結果になりそうですが、必ずそうならないことも知っています。12回表、8回裏が出ることもありますし、逆の組み合わせになることもあります。まれに、5回表、15回裏が出ることもあります。各結果の正確な確率を判断するために、二項分布を使うことができます。20回のコイントスの場合、次のようになります。

Content-In-article-luck-in-betting_1.jpg

最も起こり得る結果は、5回表、15回裏から、15回表、5回裏の範囲の組み合わせです。コイントスが100回の場合はどうなるでしょうか? その場合の分布は次のようになります。

Content-In-article-luck-in-betting_2.jpg

100回では、起こり得る結果の範囲が広くなります。20回のコイントスでは表が5回から15回で、10の差がありました。100回のコイントスの場合、その範囲はおよそ2倍となり、表が40回から60回となります。これは、コイントスのサンプルサイズが大きくなるほど、起こりうる結果の範囲も広くなるということでしょうか? 答えは、イエスでもあり、ノーでもあります。

数学者のJacob Bernoulliはそうしたシナリオで実験を行い、サンプルサイズが大きくなるほど表と裏の回数の絶対値の差が大きくなる一方で、表の確率が50%に近づくことを発見しました。20回中5回表が出るのは25%の確率で、100回中40回表が出るのは40%です。この説明は大数の法則の基礎をなすもので、ベッターが確率を理解するにあたって重要な部分となります。 

二項分布の標準偏差

標準偏差を用いて、分布に示されている範囲やばらつきを測定できます。二項分布の場合、次の簡単な方程式によって標準偏差σを求めることができます。

thin-line-formula1.png

nが二項の繰り返し(例:コイントス)の回数で、pが成功(表)の確率、qが失敗(裏)の確率となります。p + q = 1なので、次のようになります。 

thin-line-formula2.png

p = q(例:0.5)のサンプルは次のようになります。 

thin-line-formula3.png

20回のコイントスではσ = 2.24、100回のコイントスではσ = 5となります。

標準偏差から、起こりうる結果の範囲を知ることができます。例えば、100回のコイントスでは、サンプルの約3分の2以上が±1σ(45回から55回表)の間に存在します。

これで、Bernoulliが最初に発見した、サンプルサイズが大きいほど、絶対値の広がりが大きくなることを確認できました。しかし、絶対値の代わりに表の確率を使用したらどうなるでしょうか? 表の確率を計算するには、表が出た回数をコイントスの合計回数nで割ります。同様に標準偏差をパーセンテージで求めるには、それもnで割る必要があります。 

シンプルな50:50プロポジションの場合: 

thin-line-formula4.png

20回のコイントスでは、表の確率の標準偏差は0.11(または11%)ですが、100回のコイントスでは0.05(または5%)になります。

大数の法則

大数の法則によると、何回もの試行から得られた結果の平均は、試行を重ねるほど期待値に近づいていく傾向があります。コイントスの場合、コインをトスすればするほど、表の確率は期待値の50%に近づきます。

確率の標準偏差はコイントスの回数の平方根に比例するので、2つの変数はべき乗則の関係にあてはまり、標準偏差はトスの回数の累乗または対数によって変化します。両対数プロットでは、その関係が直線となることがわかります。nを乗算するたび、σの値が半分になります。

Content-In-article-luck-in-betting_3.jpg

このべき乗則の関係は、標準偏差の下降のほとんどが最初の数回の試行で発生することを意味しています。コイントス1回ではσ=0.5だったのが、25回のトスでわずか0.1に下降し、5分の4が限界値の0に向かいます(無数のトス後)。こうして、実際に大数の法則がいかにすぐに作用するかを確認できます。上記のチャートを均等目盛で描き直すと、この速度を視覚的に確認できます。 

Content-In-article-luck-in-betting_4.jpg

ベッティングの勝ちと負け

ベッティングでの勝ちと負けは、コイントスの表と裏によく似ています。ベットは本質的に二項プロポジション、つまり勝つか負けるかのいずれかです。そのため、各勝利の予想確率が変わらない最もシンプルなベッティング履歴では、起こり得る結果も二項分布となります。

二項プロポジションの分かりやすい例として、ポイントスプレッドベッティングの米国スポーツ市場やアジアンハンディキャップフットボール(どちらかのチームにハンデが適用されてベットが50:50のプロポジションになり、フェアオッズが2.00)があります。 

ただし、50:50のプロポジションに限定する必要はありません。確率の標準偏差を求める上記の方程式を思い出してください。その他の予想勝率を検討できる一般的なバージョンは次のようになります。 

thin-line-formula5.png

長期的に利益を出せる期待値を見つけられる優れたベッターにとっても、起こることの大部分は比較的弱いシグナルの周辺で起こる不規則な現象です。スポーツイベントのような複雑なシステム固有の不規則なばらつきがあるためです。

もちろん実際のベッティングでは、未熟なベッターは予想を的中させて元を取ることはできません。ブックメーカーのマージンを考慮に入れると、1000回のベット後に損をすることは避けられません。

50:50のプロポジションにベットし、長期にわたって55%の確率で勝利しているベッターを想像してください。彼らは予想スキルを発揮して予想勝率を50%から55%にしていますが、これにも同じ二項分散の法則があてはまります。

上記の方程式を使用すると、ベットの勝率の標準偏差が275回のベット後では3%であることを示すことができ、この規模のベッティング履歴に対して勝率は52%から58%になるという約3分の2の確率を示唆しています。 

すべてのベットが同じ予想勝率(オッズ)を持つシンプルなベッティングの場合、二項分散を使用して発生する確率を判断することができます(Excelでは、BINOMDIST関数で実行できます)。

一連のベッティング履歴の確率を次に示しました。1つ目は20回のベット履歴です。プロットの数値は、特定の値よりも高い実際の勝率の累積確率を示しています。例えば、長期的な予想が20%の場合、6回以上ベットで勝つ確率(30%)は約9%となります。16回勝つと予想される場合、20回中20回勝てる確率は約1%です。 

Content-In-article-luck-in-betting_5.jpg

赤と緑のゾーンは、大まかに言って損失のゾーンと利益獲得のゾーンを示しています。この場合、オッズはフェアです。当然ですが、予想よりも負けると資金を失うことになりますが、大幅な過少パフォーマンスはあまりないことを確認できます。

イーブンマネーベッドを20回行った後でも、4分の3の確率で、9回以上勝つ予想となります。大数の法則はあなたの味方で、高い損失確率から守ってくれます。

しかし、推論も真です。予想より勝つと、利益を得ることになりますが、大きな利益を獲得できる可能性が高いわけではありません。長期にわたりイーブンマネーベットで55%勝つことができる優れたベッターであっても、20回中14回以上勝てる確率はたった13%です。つまり大数の法則はあなたの敵で、高い利益の獲得確率を阻みます。 

黄色の範囲は、だいたいベッターが損得なしになる範囲です。目をひくのは、強運と不運の差がいかに小さいか、そしてほとんどのベッティングパフォーマンスがそこで起こることです。

100回のベット後に、黄色ゾーンがどうなるか見てみましょう。

Content-In-article-luck-in-betting_6.jpg

長期的な予想からかけ離れている可能性は、非常に低くなります。1000回のベット後はどうでしょうか?

Content-In-article-luck-in-betting_7.jpg

もちろん実際のベッティングでは、未熟なベッターは予想を的中させて元を取ることはできません。ブックメーカーのマージンを考慮に入れると、1000回のベット後に損をすることは避けられません。これは大数の法則の勝利です。ただし、優れたベッターの場合は大きく異なります。

1000回のイーブンマネーベットの55%で勝つことが予想される場合、ほぼ必ず50%以上の確率で勝ちます。ブックメーカーのマージンが、ベッターが予想する勝率とブックメーカーがこうあるべきと考える勝率の差より小さい場合、長期的利益を獲得する絶好のチャンスとなります。評判の良いProfessionalGambler.comはこのポイントを次のように指摘しています。

「優れたスポーツベッターが勝利する確率といつも負けている人が勝利する確率の差は、相対的にとても小さくなる。」

これで、その差がいかに小さいかわかったと思います。大数の法則は、ベッターの味方にも敵にもなりえます。 

もちろん、ほとんどの人のベッティングはこの記事ほどシンプルではなく、ベッターは様々なオッズや賭け金を選択します。それらを分析するには、より高度な数学を使用するか、複雑になりすぎる場合はモンテカルロシミュレーションに立ち戻る必要があります。 

また、別のトピックである実際の利益と損失のばらつきや以前の記事(ロングオッズになるほど、利益と損失のばらつきが大きくなる)で取り上げたことを検討していません。

それでも、この記事では、大数の法則のスピードと影響力、そして予想の結果と実際の結果、幸運と不運の差がいかに小さいかを説明することを目指しました。

ベッティング履歴の信頼性を検証する

記事を締めくくる前に、実際の勝率の標準偏差に関する情報を使用して、あなたに予想を売ろうとする予想屋が主張するベッティング履歴の信頼性を検証する方法を示したいと思います。 

「ハンディキャップの原則」に「率直なアプローチ」をするハンディキャップ企業の例を使用します。この企業はスポーツベッティングの無作為性をはっきりと認識し、保証された勝者というものは存在せず、「すべての競争に必ず運の要素が存在する」ことを顧客に説明しています。それにもかかわらず、11000以上の予想で76%の勝率を公開しており、その不規則性を制しているように見えます。

大数の法則によると、何回もの試行から得られた結果の平均は、試行を重ねるほど期待値に近づいていく傾向があります。

公開されている現在までの結果を詳しく検証すると、10312の予想で勝率75%であることがわかります(明らかに数回の予想が欠けています)。オッズが低いものや高いものも少しはありますが、94%が1.67から2.50のオッズ(60%から40%の勝率)です。サンプル全体の平均勝率が52.2%であることが示唆されており、ブックメーカーのマージンを排除した後は、50:50のプロポジションとほぼ同じになります。

結果を56の月サンプル(2014年3月から2018年10月)に分けると、平均月間予想の合計が184で、それらの半分以上が140から224であることがわかります。長期的な予想勝率が75%だと仮定した場合、月間の勝率はどれくらい変化するでしょうか? 上記の方程式を使用して184の予想サンプルの勝率の予想標準偏差を計算した場合、3%をやや上回るという答えが得られます。サンプルの3分の2が約72%から78%の間にあり、95%が約69%から81%の間にあります。

実際、月間勝率の標準偏差は8.6%で、本来あるべきよりかなり高くなっています。75%の±1σ内にあるのは値の40%以下で、半分以上が±2σ内にあります。これはばらつきが大きすぎます。毎月32の予想のみと考えても、最小回数の月の予想標準偏差は7.7%にしかなりません。 

月間勝率が8.6%の標準偏差は、184ではなく、約25の予想サンプルに対して予想されることになります。2014年12月は151の予想で、平均勝率51.4%が示唆されます。46.4%の勝率が予想されるのは百億万年に1度です。2015年10月は168の予想(示唆される平均勝率48.5%)があり、そのうち154(91.7%)で勝っています。優秀な予想屋でもそういったパフォーマンスは通常、百万年に1回しか起こりません。

こうした発見が何を意味しているか、判断はあなたにお任せします。スキルレベルが短期間で大幅に変動するという議論があるかもしれません。他の議論もあるかもしれません。しかし、利益予想の限界について私が過去に言わざるをえなかったことを考えれば、ハンディキャップ勝率76%は笑って受け流すべきことだともう分かっているはずです。

ベッティングリソース - あなたのベッティングをパワーアップ

オンライン最高クラスの充実度を誇るピナクルのベッティングリソースでは、専門家によるベッティングのアドバイスをご覧いただけます。ベッティング経験の長さを問わず、ベッターの皆様がパワーアップできる知識をお伝えすることが目的です。