ベッティングにおけるランダム性の再検討

不確実性の原因とは何でしょうか?

実際のベッティングモデルでのランダム性のテスト

予想からの逸脱の測定

ベッティングにおけるランダム性の再検討
ベットの際にランダム性を把握できないスポーツベッターは、負け戦に挑むも同然です。ベッティングにおいてランダム性を認識するには、また、ランダム性が成功と失敗にどの程度影響しているのか確認するには、どのような方法があるのでしょうか?詳しくは続きをお読みください。

およそ 3 年前に遡る私の初期の Pinnacle で公開された記事の一つに、ベッティングにおけるランダム性に関するものがありました。この記事で、このトピックを再検討したいと思います。

ベッティングではもちろん結果がすべてですが、利益や損失は確率に左右されます。ブックメーカーのオッズにはこれらの確率、つまり物事が起こる可能性が反映されています。ベッターは予想された値のより正確な確率を把握しようとします。

しかし、ピナクルのトレーディングディレクター、Marco Blume 氏はピナクルの最近のベッティングポッドキャストで、確実にわかることは当たりだったか外れだったかだけであると念を押しました。少なくとも個々のベットにおいて、これらの確率の計算が正確だったか不正確だったかは、確実にはわかりません。

不確実性の原因

ベッティングにおける不確実性の原因は 2 つあります。まず初めに、結果の真の確率の予想モデルは正しくても、その結果が 2 つに 1 つであるということです。つまり、運が良ければ当たり、運が悪ければ外れるということです。 

フランスの数学者、Pierre-Simon Laplace は、運や可能性は単に物事の知識の不完全性が反映されたものだと考えました。つまり、ランダム性とは幻覚に過ぎないことになります。Laplace は、「自然や、自然を構成するすべてのものの位置を動かすあらゆる力を把握できたなら、何も不確実なものはない」と主張し、だとすればベッティングの確率は 0 か 1 にまとめられます。これは一見妥当な説に思えます。 

自分の予想以上に勝ったり負けたりしている場合は、運が良かったり悪かったりしているか、モデルが間違っているか、その両方です。

実際にこの考え方は、予想の正確性を評価するブライアスコアの基礎となります。しかし実際には、スポーツ競技などのシステムの複雑性により、Laplace の夢の実現に必要なデータ分析は不可能です。カオス理論によれば、開始地点の微妙な違いが大きく異なる結果を引き起こします。確実に知るための十分な情報を得ることは決してできません。

しかしそれ以上に、非常に微細な (原子や亜原子レベルの) 物理により、確実に知ることは実用的にだけでなく根本的にも不可能になります。Heisenberg の不確定性理論によれば、モノの位置や運動量を完璧かつ精密に把握することは不可能です。十分な情報がないからではなく、これが現実の根本的な性質だからです。

現在のモノの状態を完璧に把握できないのであれば、今後何が起こるかを予想することはできません。亜原子の世界はベッティングとはあまり関係ないという意見もあるかもしれません。しかし、我々を取り囲む世界は亜原子でできているため、少なくとも重要であると考えるべきです。科学者の中には既にそのように考えた人もいます。

実用上の制限と理論上の制限を考慮すると、幸運と不運のランダム性は分析対象となるシステム固有のものであり、2 つに 1 つではない真の確率の概念が有効であると考えることができます。

不確実性の 2 つ目の原因は、予想モデル自体の有効性です。結果の確率の計算が正しいかどうかはどのように確認できるのでしょうか?Marco が遠回しに述べたように、個々のベットの当たり外れはこの質問の答えにはなりません。

2.00 のオッズでベットが当たれば気分は良いかもしれませんが、55% の確率というのが正しかったのかどうかはわかりません。このようなベットを千回行い、45% が当たればどうでしょう?平均的に見て、予想確率は正しくなかったと結論付けることができます。65% が当たればどうでしょう?賭けには大勝ちですが、モデルはやはり不正確ではないでしょうか?

これら 2 つの不確実性の原因は、非常に区別が困難です。自分の予想以上に勝ったり負けたりしている場合は、運が良かったり悪かったりIしているか、モデルが間違っているか、その両方です。次に、これらすべてが自分自身のベッティング履歴に関する考え方にどのような影響ををもたらすのか、今一度見ていきたいと思います。

真のベッティングモデル

Twitter で私をフォローしている読者の方々は、恐らく「集合知」のベッティングシステムについてご存知のことでしょう。これは賢く予想を行う洗練されたシステムではありません。ただベッティングのオッズに関して Pinnacle が最もよく理解していると仮定する方法です。そして Pinnacle のオッズからマージンを引けば、サッカーの試合結果の「真の」確率が反映された「真の」オッズが得られます。 

ベッティングモデルは、例え有効なものであっても、常に、または時に予想と一致するという考えは完全に捨てるべきです。

前回の 2 つの記事 で、Pinnacle が常に正しいとは限らない、つまり Pinnacle のオッズは完全に効率的ではないことをご説明しました。しかし、平均的に多くのオッズのサンプルを見れば、Pinnacle のオッズが正しいということが明らかになります。「真の」オッズがわかるのであれば、他のブックメーカーでより高いオッズを提供しているところを探せば済む話です。長期的に見てモデルが正しいなら、有利性と等しいだけの利益が得られるはずです。それではデータを見てみましょう。

私が初めてお勧めバリューピックを公開し始めた 2015 年 8 月以来、7,432 個の推奨ベットが公開され、平均オッズは 3.91 (最低 1.11、最高 67.00、中央値 2.99)、平均予想価値は 4.17% (104.17% の予想投資回収率) でした。

下の利益の履歴には、各ベットにつき 1 ユニットという同水準で賭けた場合の、予想と比較した実際の成果がまとめられています。

revisiting-randomness-in-article-1.jpg

必要であれば、実際の利益の変化から、少数の法則により大きな誤算が生まれるということが確認でき、たとえ「少数」が非常に大きな数字であったとしても同じことが言えます。様々な時点であきらめた方が無難と言える場面がありました。実際に、最も大きなパフォーマンス低下は真ん中で、2,000 回以上のベットで続きました。しかし、何度も上下を繰り返したにもかかわらず、全体的な成果は予想に非常に近いものとなりました。実際の利益回収率は 103.80% でした。

ということは、平均的に見て、このモデルが有効であったことがうかがえるのかもしれません。しかし短期的に見れば、このモデルが常に理論通りに働いているかは定かではありません。ただし、前述の通り、結果が幸運か不運かというランダム性と、予想モデルの精度が一定以上か一定以下かというランダム性を区別することはできません。それでは、実際の成果が予想からどの程度離れていたか、詳しく見てみましょう。

予想からの遺脱の測定

予想からの遺脱 (つまりベッティング履歴のいずれかの時点での赤い線から青い線までの距離) を測定する最もシンプルな方法は、予想利益と実際の利益の差を計算することです。

しかし、個々のベットは当たり (利益 = オッズ – 1) か外れ (利益 = –1) になることがわかっているため、この方法は役に立ちません。変化が大きすぎて何の参考にもなりません。しかし、サンプルの数が多ければパターンが生まれてきます。予想からの遺脱を 100 回のベットの移動平均でまとめると次のようになります。

revisiting-randomness-in-article-2.jpg

100 回のベットで 20% を上回り予想以上・予想以下の成果が多く見られ、中にはその差が 70% 以上のものもあり、いくら控えめに言っても非常に動きの激しいグラフであることは認めざるを得ません。

繰り返しになりますが、この分散の内どの程度がこの期間のモデルの不正確さによるものなのか、運の良し悪しによるものなのかはわかりません。しかし確実に言えることは、非常に大きな分散があり、恐らくすべてただ偶然に起きているということです。 

では、長期的にはどのような結果になるのでしょうか?次のグラフは、同じデータを 1,000 回のベットでの移動平均でまとめたものです。 

revisiting-randomness-in-article-3.jpg

予想通り、分散が少なく、逸脱の程度が小さくなっていますが、それでも予想以上・予想以下の成果の期間が何千回ものベットで続き、相当な逸脱が見られます。1,000 回のベットで見た場合、最も予想を上回った結果は 15% で、最も予想を下回った結果は -11% でした。

これらの遺脱が起きる確率はどの程度でしょうか?100 回コインを投げたとすれば、表が 50 回、裏が 50 回という、最も確率が高い結果が予想されます。表が 40 回、裏が 60 回、またはその逆といった確率も簡単に計算することができます。ベッティング履歴にも同じ方法が使えます。

予想からの遺脱の確率の計算には t 検定の概算を使用しましたが、モンテカルロシミュレーションでも簡単に行えます。両方の方法で計算してみましたが、結果は同じようなものでした。まず初めに、100 回のベットの移動平均の時系列を見てみましょう。確率は 1/x という形で示され、目盛りは対数です。

revisiting-randomness-in-article-4.jpg

ここでも多くの分散が見られ、時には非常に予想から離れた結果になっています。中には 100 回のベットサンプルが、100 回に一度の割合でしか起こらないと予想される程度で予想から逸脱した場所も何か所かありました。実際に、あるサンプルは 1/5,000 の逸脱が見られましたが、これらすべてがただランダムに起きている可能性もあります。

次のグラフは、同じデータを 1,000 回のベットでの移動平均でまとめたものです。

revisiting-randomness-in-article-5.jpg

ベッティングモデルは、たとえ有効なものであっても、常に、または時に予想と一致するという考えは完全に捨てるべきです。ほとんどの場合予想と一致せず、その多くが大幅に逸脱しています。 

もちろん、賢いベッターはベッティングが長期的な勝負であり、長期的な平均以外は重要ではないことを知っています。そのようなベッターは、幸運・不運によるものであっても、短期間でのモデルの不完全性によるものであっても、ランダムな期間を耐えきります。ランダム性に関する初めの記事のように、これらの時間の尺度は何十回や何百回のベットだけではなく、何千回のベットにすることもできるということが再び明確にお伝えできていれば幸いです。

ベッティングリソース - あなたのベッティングをパワーアップ

オンライン最高クラスの充実度を誇るピナクルのベッティングリソースでは、専門家によるベッティングのアドバイスをご覧いただけます。ベッティング経験の長さを問わず、ベッターの皆様がパワーアップできる知識をお伝えすることが目的です。