連敗数k |
オッズ2.0の1,000回のベットで予想される連敗の回数 |
モンテカルロシミュレーションでの連敗の平均回数 |
3回 |
124.750 |
124.729 |
4回 |
62.313 |
62.277 |
5回 |
31.125 |
31.054 |
6回 |
15.547 |
15.532 |
7回 |
7.766 |
7.793 |
8回 |
3.879 |
3.908 |
9回 |
1.938 |
1.946 |
10回 |
0.968 |
0.977 |
11回 |
0.483 |
0.488 |
12回 |
0.241 |
0.246 |
13回 |
0.121 |
0.124 |
14回 |
0.060 |
0.062 |
15回 |
0.030 |
0.031 |
すべてのベッターは、熟練度に関係なく、負けに対処する必要があります。ベッターの中には他の人よりも連敗が続く人がいるかもしれません。では、ベッティングで連敗がどれくらい続くのか、予想することはできるのでしょうか? 詳しくは続きをお読みください。
ベットに勝つと気持ちがよいものです。しかし心理学的に、勝ったときの喜びに比べて負けは2倍辛いものだと考えられています。特に連敗したベッターは、負けを取り返そうとしてベットの回数を増やしたり、多くの金額をベットしたりといった、無茶な行動に出ることがよくあります。
また、プラスが期待できる熟練したベッターであっても、連敗すると自分のベッティングシステムは本当に有効なのか疑問を抱くことがあります。統計上は勝ちも負けも同じような確率だったとしても、10回中10回勝った後よりも10回中10回負けた後の方が自分自身を疑いやすくなります。予想以上のパフォーマンスを発揮するシステムに疑問を持つ人はほとんどいないでしょう。
私は以前、ベッティングのドローダウンと、ドローダウンを管理する方法について記事を書きました。今回は、シンプルな連敗モデルを使用して、より具体的には連敗数を予想して、過去の記事を補足していきたいと思います。
物事をシンプルにするために、ここでは制限を設けました。ここでは同じオッズのn回のベットでk回連敗しているサンプルを使用しますが、モンテカルロシミュレーションを使用すれば、これをさまざまなベッティングオッズを持つ複雑な連敗やベッティング記録を分析できるでしょう。しかし、最もシンプルな連敗サンプルを使用することで、それらを表す基本的な数式をいくつか提示することができます。これは複雑なシナリオでは難しくなります。
負ける確率
長期間に渡って収支ゼロを達成できるベッターについて考えてみましょう。言い換えるなら、彼らはフェアオッズを達成しています。そのため、そのオッズは結果の「真の」確率を反映していることになります。実際に、マージンにベットする未熟なベッターにとっても、マージンの利益の可能性を見つけ出せる熟練したベッターにとっても、結果はほとんど変わりません。それはベッティングで起こる大部分のことが無作為性の結果であるためです。オッズ2.0は50%の確率を意味し、オッズ4.0は25%の確率を意味します。オッズoのベットでk回連勝する確率は、次のように導くことができます。
例えば、オッズ2.0のフェアなイーブンマネーベットで5連勝する確率は1/32です。
しかし、ここでの関心対象は負けベットです。オッズが2.0の場合、勝つ確率も負ける確率も50%であるため、負けのオッズも同じ2.0になります。一般的に、勝ちのオッズと負けのオッズは同じではありません。負ける確率が1から勝つ確率を引いたものであるとすると、負けオッズは次のような式で表すことができます。
従って、オッズoのベットでk連敗する確率は次のようになります。
連敗の予想
オッズoのn回のベットサンプルで、k(またはそれ以上)連敗する確率は? この数学は自明なものではなく、私の力では知り得ないことです。しかし、問いを少し変えるだけでその数学をはるかに簡単なものにできます。オッズoのn回のベットサンプルでk連敗は何回だと予想できるか、という問いを考えてみましょう。
シンプルな例を考えてみましょう。オッズが2.0の10回のベットで、連続して3回負ける回数を予想できるでしょうか。単独で3連敗する可能性が1/8であることは、すでにわかっています。しかしながら、10回のベットで、3連敗する可能性はかなりあります。1、2、3回目のベットで連敗するかもしれないし、2、3、4回目のベットで連敗するかもしれません。これが8、9、10回目のベットまで続きます。
この例では、全部で8つの連敗パターンがあるので、10回のベットで3連敗する予想回数は8/8(つまり1)です。つまり、平均で10回のベットごとに1回は3連敗すると予想できます。これが1回以上であったり、0回であったりすることもありますが、平均は1回です。
一般的に、n回のベットで連敗する回数はn – (k – 1) またはn – k + 1になります。
そのため、n回のベットサンプルでk回連敗する予想回数(ekと呼びましょう)は次のように導かれます。
ベット数nが増え、kの値が小さくなると(現実的に起こりうる連敗として、kは常にnよりかなり小さい数になり、これが私たちの関心対象です)、ekは次のようになります。
例えば、オッズ2.0のベット1,000回のサンプルで、5連敗する予想回数は31.25(より正確な式を使用すると31.125)となり、最も近い整数に丸めると31回になります。
ベット数nはk連敗の予想回数にほぼ比例しているため、2,000回のベットで5連敗するのは約62回、3,000回のベットでは約93回と予想されます。
ek = 1の場合、kはn回のベットサンプルで予想される最大の連敗数を意味します。なぜでしょうか? 1以下の場合は連敗が起こらず、1以上の場合は連敗数が多いほど起こる回数が少なくなる可能性があります。
したがって、n >> kでek = 1の場合、次のようになります。
さらに書き換えると、
となります。は対数の底を表します。
オッズが2.0の1,000回のベットで最長連敗数の予想は、log21000 = 9.97で、丸めると10回になります。つまり、1,000回のベットサンプルでは最長の連敗を10回と予想できます。
オッズが3.0の場合、予想される最長の連敗数は17で、オッズが5.0の場合は31になります。オッズ5.0はレースのベッターにとって極めて典型的なオッズです。自分の状況にためらうことなく、31連敗に対処できると思いますか?
私は1万回のモンテカルロシミュレーションを行い、ekの数学を検証しました。以下の表は、さまざまなkの値の結果を比較しています。上記の数式とモンテカルロシミュレーションに基づいて予測された連敗が起こる回数は、ほぼ正確に一致しています。
以下の図は、さまざまな勝ちオッズでのkとekの関係を示しています。y軸のekは対数です。直線は、kがekの対数に反比例していることを示しており、数式から予想されるものと一致しています。各線がx軸(ek = 1)に交わる点が、予想される最長の連敗数です。
上記のkに関する概算の場合、n回のベットサンプルで予想される連敗数も、次の図で示されているようにnの対数に比例します。したがって、kはnの2乗の2倍になります。
連敗の確率
連敗の予想回数はわかりましたが、まだそれが起こる確率がわかっていません。前述のように、n回のベットでk連敗する度数(確率)分布はまったく明確でなく、kの値によって異なるため、この数学は自明ではありません。
ベットを成功させるには、期待値を見つけるだけでなく、予想を管理し、避けられない連敗に対処する方法を学ぶことが必要です。
例えば、1,000回のイーブンマネーベットのサンプルで平均1回は10連敗することを知っていますが、これはただの平均です。まったく連敗が起こらないこともよくありますし、時には2回、まれに5回以上連敗することもあります。代わりに、信頼できるモンテカルロシミュレーションを使用する方がはるかに簡単です。
私は1万回のモンテカルロシミュレーションを行い、k連敗する回数を観測できなかったと考えました。例えば、1,000回のイーブンマネーベットのサンプルでk = 10の場合、6,086回の場合で最大連敗数は少なくなり、残りのモデルでは10以上になります。
大数の法則によると、これは10回以上の連敗の可能性が約39%であることを意味しています。そのようなサンプルで約1回の10連敗が起こるという予想を考えると、これは直感的に正しいように思えます。以下の図は、k(またはk以上)連敗の可能性がkの値によってどう変わるかを示しています。
明らかに、サンプルのベット回数が多くなるほど、ある時点で不運なことが起こりやすくなっています。1,000回のイーブンベットで10連敗する確率は39%であることがわかります。もっと小規模なサンプルや大規模なサンプルではどうなるでしょうか? それを知るために別のモンテカルロシミュレーションを行いました。以下の図はk = 10の場合です。
モデルは、あらゆるkの値またはオッズで再実行することができます。オッズ3.0で17以上の連敗の場合の結果は、次のようになります。
実際のベット履歴で連敗を分析する
これまでのところ、この分析は、オッズがすべて同じ場合のベットサンプルのみを考慮する場合には理論的なものでした。これは、得点スプレッドやアジアンハンディキャップのベッターには妥当な想定ですが、より幅広いオッズにベットする可能性があるマネーラインや固定オッズのベッターにとってはありそうにない想定です。例えば、集合知のベッティングシステムでは、最大ショートオッズ1.11、ロングオッズ67.0、平均3.9、標準偏差4以上の試合があります。
確かに、モンテカルロシミュレーションを使用することで連敗は予想できますが、その数学を使用する方法はあるでしょうか? 答えは「はい」です。ただし、オッズoに適切な値を使用する必要があります。サンプルに平均オッズを使用することはできません。これはロングオッズに重みがあるためです。
- 参考記事:なぜ人はギャンブルをするのか?
代わりに、すべてのオッズに暗示的確率の平均の逆を使用する必要があります。例えば、5回のベットでオッズがそれぞれ2.0、3.0、5.0、10.0、20.0の場合、暗示的確率(0.5、0.333、0.2、0.1、0.05)を計算し、その平均(0.237)を逆にします(o = 4.23)。
集合知のサンプル履歴(9,436回のベット)でこれを行いました。上記の方法で導いたo = 2.66を使用すると、kの期待値と実際の連敗が一致しました。
この数学は5回以上の連敗が898回であると予想しましたが、実際には889回でした。同様にk = 10の場合、85という数字が予想され、実際もちょうど85回でした。k = 9の場合は、予測が8、実際が9回でした。予想される最大連敗数(ek = 1)は19回でした。最大連敗数は実際に19回で、1回だけ起こりました。
連勝についてはどうでしょうか?
同じ数学を使用して、連勝の可能性を分析することができます。実際、負けのオッズを反映するために計算する必要がなく、式にベットオッズを直接使えるので、よりシンプルに計算できます。したがって、次のようになります。
ek = 1の場合
ただし、さまざまなオッズのサンプルの場合、oに適切な値を使用することを忘れてはいけません。平均オッズではなく、暗示的確率の平均の逆を使用します。
ベットでの連敗について何を学んだでしょうか?
十分な時間があれば、ベットで不運なことが起こります。何はともあれ、このベッティングの理論的な分析で、ベットすればするほど連敗数が増える可能性が高くなるということを思い出してもらえればと思います。
ベットを成功させるには、期待値を見つけるだけでなく、予想を管理し、ベッターの心理に大きく影響しうる避けられない連敗に対処する方法を学ぶことが必要です。少なくとも予想されるものと、それを見積もる方法を知っていれば、それに対して何らかの準備ができるはずです。