効率性の問題をどう解決するか:パート1

市場効率性とは何か?

ピナクルのクロージングオッズはどれくらい効率的か?

市場効率性のモデル化

効率性の問題をどう解決するか:パート1

自分はベッティングマーケットで継続的に勝てるくらい、正確な予想ができているのか? このことに関心がある人なら、ピナクルのクロージングラインについて聞いたことがあるのではないでしょうか。ピナクルのオッズはどれくらい効率的か? そして、どうすれば市場効率性をモデル化できるのか? この記事を読んでお確かめください。

ピナクルの取引部門責任者Marco Blumeは、ベッターが長期的な利益を生み出す期待値を持っているか(抜け目のないベッターであるかどうか)を知るための、信頼できる指標を明らかにしました。すなわち、クロージングラインに勝てるかどうかです。

一般的に、あらゆるベッティングオッズの中で最も効率性が高い、あるいは正確なのは、マーケットのクロージングオッズだと考えられています。試合に関して入手可能な情報が最も多く反映されているためです。マージンを加味したうえで、ある出来事が起こる「本当の」確率を反映しているのだとしたら、あなたがクロージングオッズに打ち勝った金額は、あなたが持っているアドバンテージを表す尺度になるでしょう。

10%の確率で勝つ場合、長期的には10%の利益を得ることが期待できます。ただし、クロージングラインに打ち勝つことは、スキルの重要な指標ではあるが必ずしも必須条件ではないと主張する人もいます。もしこの主張が正しければ、クロージングオッズは常に効率的なわけではないということでしょう。

今回の記事では効率性の概念、特にピナクルのクロージングオッズの効率性に改めて着目することで、意見の統合を目指し、これらの2つの立場を調停してみようと思います。この記事を読むことは弱気というより、私の統計的な思考実験の旅であると申し上げておきましょう。

実験を始めた時は、どうなるかわかりませんでした。実験を終えた今でも結論について確信は持てていませんが、まずはお読みください。ウィリーウォンカのチョコレート工場の見学のような楽しい道のりではないかもしれませんが、願わくば賢いベッターを目指す人が多くを学べる記事となりますよう。 

市場効率性とは何か?

私はこの数年、市場効率性について多くのことを語ってきました。ベッティングの文脈における効率的な市場とは、対象となるイベントの結果の潜在的確率がベッティングオッズに正確に反映されている市場のことです。たとえば、Manchester CityがライバルのManchester Unitedを打ち負かす「本当の」確率が70%だとしたら、ブックメーカーがマージンを追加する前のオッズは1.429が効率的でしょう。 

結局のところ、ベッティングマーケットは、ベイズ法による非常に効果的な処理機構であり、ある出来事が起こる確率についての見解を絶えず精緻化し、アップグレードし、改善しているのです。

当然ながら、1つの試合の結果は二者択一となります。Manchester Cityが勝つか、負けるかです。しかし、何百回あるいは何千回も繰り返し言われてきたことですが、ベットにおける幸運と不運の割合は1試合ごとに相殺されます(大数の法則)。したがって、結果の「本当の」確率について正確に知ることは実際のところ不可能でも、語ることには意味があるのです。つまり、それを反映したものがベッティングオッズだからです。

市場効率性は、大きなサンプルにも応用される興味深い概念です。しかし、1つ1つのイベントがもたらす結果について、「本当の」確率を実際に知ることはできないのであれば、どうやってベッティングオッズの効率性を測ればよいのでしょうか? 

もちろん、ベットの大きなサンプルを、たとえば2.00のフェアオッズ(マージンなし)で試してみることはできます。もし50%の確率で勝つとしたら、これらのベットの総計における平均勝率はおそらく50%ですから、平均するとこれらのベットのオッズは潜在的な勝率を合理的に反映していることになります。しかし、全体の平均を構成する1つ1つのベットの勝率については、まったくわかりません。マーケット全体を見れば効率的かもしれませんが、1つ1つのベットの効率性は覆い隠されています。

ピナクルのクロージングオッズはどれくらい効率的か?

サッカーの試合におけるピナクルのベッティングオッズ、特に試合開始前の最終公開オッズであるクロージングオッズがどれくらい効率的(あるいは正確)かを記した私の記事が、2016年7月にピナクルに掲載されました。

私はピナクルのマージンを排除したうえで、この時のオッズ2.00の勝率は50%、オッズ3.00の勝率は33%、オッズ4.00の勝率は25%、などと示しました。もちろん、すでに説明したように、これで1つ1つの試合結果に関する「本当の」確率がわかるわけではありませんが、平均に関して言えばこれらのオッズはかなり正確でした。

さらに私が示したのは、ピナクルのオープニングオッズとクロージングオッズの比率が、非常に信頼できる収益性の指標だということで、ピナクルのクロージングオッズの効率性の高さを示唆していました。たとえば、この時オープニングオッズが2.20(マージン抜き)でクロージングオッズは2.00まで下がったチームの勝率は約50%で、ターンオーバーに占めるレベルステークスの利益はオープニングオッズが10%(2.20/2.00 – 1)、クロージングオッズは0%でした。

一方、この時オープニングオッズは1.80だったもののクロージングオッズが2.00まで上がったチームの勝率は約50%で、オープニングオッズの損失は10%(1.80/2.00 – 1)、クロージングオッズの損失は0%でした。サンプルサイズを158,092試合にまで拡大し、ホーム/ドロー/アウェーのベッティングオッズ474,278種類を再度分析したところ、おおむね同じ結果と結論が出ました。これを示したのが下記の表です。

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それぞれのデータの点は、オープニング/クロージングオッズ比率から実際に得られたリターンを1%間隔で表しています。青い点はオープニングオッズからのリターン、赤い点はクロージングオッズからのリターンです。潜在的な可変性があるようですが、全般的な傾向は明確に見て取れます。ゼロで交差する傾向線(マージンを排除した場合のほぼ合理的な予想)と、方程式を記しました。

オープニングオッズとクロージングオッズの比率(表のx)は、オープニングオッズ(表のy)の収益性を示す優れた指標であるという私自身の仮説が、改めてほぼ完璧に裏付けられました。より一般化して言えば、ピナクルのクロージングオッズは平均して効率性が高いことになります。

オープニング/クロージングオッズ比率(マイナス1)と利益(または収益)の間の比例定数は、傾向線の傾きの値です。1の値は完璧な比例を表しています。簡略化のため、以降はこの係数の頭文字を取ってOCRYCOPと記します。

ただし、やはりこれは総計において「本当」であるに過ぎません。個々のクロージングオッズが実際にどれだけ効率的なのかは、いまだにわからないままです。表内のそれぞれのデータポイントには、数千の試合が反映されています。

市場効率性のモデル化 

クロージングオッズの効率性を示すOCRYCOPの表を導き出すため、オープニングオッズからクロージングオッズまでの動きをシミュレーションする単純なモデルを作成しました。このモデルは10,000回のベットで構成されており、各ベットにオープニングオッズとクロージングオッズがあります。 

ベットに関する「本当の」結果の確率が持つ不確実性を再現するため、平均2.00前後のオープニングオッズを標準偏差(σ)0.15で無作為化(1.85~2.15が2/3、1.70~2.30が95%を占めます)することにしました。 

したがって、ラプラスの悪魔(と私)のみが知るすべてのベットの「本当の」オッズは2.00であり、私の仮説上のブックメーカーが私のモデルの中で出したオープニングオッズは、この平均に近い値で分布することになります。標準偏差を0.15としたのは、オッズが2.00前後の現実のベッティングマーケットで観測されたオープニングオッズからクロージングオッズまでの動きを広く反映しているためです。

たとえば、標準偏差を0.05とすると、2.00前後で出されたオープニングオッズの95%は、正確性が±5%以内であると示唆されるでしょう。実際に観測されたオッズ動向を考えると、範囲が狭すぎるように思えます。同様に、0.3以上の数値であれば、そのブックメーカーはオッズ設定があまり上手くないことになり、一般的に「本当」とは言えないことがわかります。 

市場効率性は、大きなサンプルにも応用される興味深い概念です。しかし、1つ1つのイベントがもたらす結果について、「本当の」確率を実際に知ることはできないのであれば、どうやってベッティングオッズの効率性を測ればよいのでしょうか?

「本当の」オッズが2.00である場合に、ブックメーカーがオッズを3.00に設定する可能性は非常に低いです。ありえないわけではないですが、通常は明らかな間違いか、何か予測不能かつ重大なニュースがあり、オッズを設定した時点ではそれが知られていなかった場合に限られます。もちろん、こうした状況であれば、「本当の」オッズ動向について論じることは完全に理にかなっています。ともかく、モデルに戻りましょう。いくつかオープニングオッズを設定しましたが、クロージングオッズはどうでしょうか?

クロージングオッズは理論上、ベッターの金銭的意向を反映したものです。極端ですが、「本当の」結果の確率に関して蓄積された情報を反映したベッター達の意向にも関わらず、固有の不規則な不確実性が同程度に残っていると考えてみましょう。明らかに現実的ではありません。結局のところ、ベッティングマーケットは、ベイズ法を用いた非常に効果的な処理機構であり、ある出来事が起こる確率についての見解を絶えず精緻化し、アップグレードし、改善することにより、不確実性のレベルを下げているのです。

私たちのモデルでは、平均オッズと標準偏差はそれぞれ2.00と0.15です。各オープニングオッズとクロージングオッズの比率(オープニング/クロージングオッズ)を計算してみましょう。それぞれ、「本当の」結果の確率(50%)がわかっていますから、全10,000試合に関して、オープニングオッズとクロージングオッズ両方の期待リターンを算出できます。先ほどピナクルのマッチオッズでやったように、今度はオープニングオッズとクロージングオッズの両方から得られる期待リターンが、オープニング/クロージングオッズ比率によってどれほど異なるかを表に示すことができます。

下記の6個の表のうち、1つ目はモデルの結果を示しています。青と赤の線はそれぞれオープニングオッズとクロージングオッズの、レベルステークス(y軸)のターンオーバーに占める50試合の予想利益の移動平均を表しています。10,000回のベットをオープニング/クロージングオッズ-1(x軸)ごとに配置しました。上記のピナクルのデータとはあまり似ていません。

私のオープニングオッズとクロージングオッズの総計は、ともに理論上は効率的ですが、平均ではどちらも「本当の」オッズに合致しているため、オープニング/クロージングオッズ比率が予測しているのは予想利益の半分のみです(OCRYCOP = 0.5)。たとえば、オープニングオッズでベットした場合に110%の比率なら105%のリターン(ターンオーバーに対して5%の利益)で、クロージングオッズでベットした場合は95%のリターン(ターンオーバーに対して5%の損失)です。 

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今回の例において、私たちのオープニング/クロージングオッズ比率は収益性に関してあまり良い指標にはならなさそうですが、その延長で考えると、私たちのクロージングオッズもそれぞれあまり効率的ではないでしょう。その理由はいたって単純です。まず、私たちのクロージングオッズの1つ1つは効率的ではありません。「本当の」オッズである2.00とは異なるようわざと不規則に変化させたため、すべて2.00とは異なるオッズになっています。

次に、私の不規則なオッズ生成により大きなオープニングオッズと小さなクロージングオッズができ、最大のオープニング/クロージングオッズ比率が生まれます。今回の最大の比率は1.55です(オープニングオッズ2.27、クロージングオッズ1.46)。実際、「本当の」オッズが2.00である場合にオープニングオッズが2.27であれば、私たちの予想利益は2.27/2.00 – 1 = 0.135、つまり13.5%となり、私が最初に立てた仮説で予測した55%に達しません。

続く5つの表では同じモデルを使っていますが、クロージングオッズの無作為可変性(標準偏差)を徐々に小さくし、0.03刻みにしています(オープニングオッズでは同じ可変性を維持)。「本当の」オッズ2.00に関しては、クロージングオッズの可変性が小さくなり、OCRYCOPの値が1に近づく傾向があることに気づくでしょう。極論ですが、すべてのクロージングオッズが2.00になれば1つ1つが完全に効率的なものとなり、1:1の完璧な相関が生まれます。

実際のピナクルのベッティングオッズを示した前述の表をご覧ください。傾向線(および方程式)が、完璧な相関を示したモデルの例とかなり合致しています。それでも、まだ潜在的な可変性があることは明確にわかります。すべての点が傾向線に沿って並んでいるわけではありません。もちろん、一部は現実世界の結果における運不運によるものでしょう(私のモデルは予想利益を採用し、運不運は排除しています)。 

それでも、すべてのクロージングオッズが「本当の」オッズと完璧に一致していると考えるのは、まったく非現実的です。問題は、完全に効率的な1つ1つのクロージングオッズがなければ、オープニング/クロージングオッズ比率と期待リターンの完璧でない相関を受け入れざるを得ないということです(OCRYCOP < 1)。これを解決する方法はあるのでしょうか? この記事のパート2で取り組んでみたいと思います。

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