パート1:賢明なベッターはどれくらいいるのか?

長年の疑問に立ち返る

行動のバランス化と価格発見

マーケットの展開モデル

パート1:賢明なベッターはどれくらいいるのか?

ベッターはよく、「賢明」であると言われるように努めます。「賢明」とは普通、長期的に勝つことができるくらいの技術があることの言い換えですが、実際にこのカテゴリーに入るベッターはほんのわずかです。賢明なベッターはどれくらいいるのか? 詳しくは続きをお読みください。

長年の疑問に立ち返る

私が長年にわたり興味を持ち続けてきた疑問は、ベッティングで本当に勝つ人はどれくらいいるかということです。私が初めてこのことを知りたいと思ったとき、よく引用される次の格言がクイック検索でヒットしました。それは「ベッターの97%は負ける」というものです。まあ、この数字には、時により95%であったり、99%であったりという具合に、多少の変化はあります。しかしこれは、実際にはどういう意味なのでしょうか? そして、もっと重要なのは、この数字はどの程度有効なのかということです。 

まずは簡単なものから解決しましょう。「勝つとはどういうことを意味するのか」という疑問です。当然のことながら、運があれば誰でも勝てます。実際にかなり多くの人が、長期に渡って利益を得られるくらいベットに勝つことができます。しかし、繰り返しになりますが、それは運によるものに他なりません。実は、Pinnacleの通常のマージンにベットしている得点スプレッドやアジアンハンディキャップへのベッターの約4分の1が、1,000回のベットの後には黒字の状態になる可能性があります。10,000回のベットの後でも、100人中約1名は利益を生み出せます。10,000という数字は、一生分のベットの回数を示しています。 

しかし、これは私たちが考える本当の勝ちではありません。長い目で見れば、ほとんどの人の運は尽きてしまいます。簡単に言うと、それが大数の法則です。それよりも、私たちが興味を持っているのは、運だけでなく、技術によっても勝つことができるベッターです。そのようなプレイヤーは、いわゆる期待値を生み出す方法を見つけています。ブックメーカーは、幸運と不運がお互いを打ち消してしまった後でも、これらのプレイヤーが利益を見せ続けることを予期しています。どれくらいのベッターが真の期待値を掴んでいるのでしょうか。 

私の知識では、この主題について論じた研究論文はこれまでに発表されていません。ご存知の方は、私までお知らせください。これまでに私は、ベッターのパフォーマンスの分布をプロットして、この問いに答えようとしたことがありました。その分布が、偶然に起こったパフォーマンスの分布とほとんど同じように見えたことから、私は、技術の高いベッターが多く存在するはずがないという結論に達しました。

この記事では、このことについて別の視点から再度検討しています。その視点とはブックメーカーの視点であり、具体的にはブックメーカーがマーケットをどのように展開するのかというものです。この2つの記事から導き出される内容は、潜在的な注意、誤り、欠点を多く含む、私自身の思考実験の要素が強いこと、そしてまた、Pinnacleのマーケット展開を管理する方法を示したものでは決してない、ということを強調しておかなければなりません。

その方法を教えてくれるブックメーカーはいないので、さかのぼって考える必要があります。現実世界を再現できるようになるまで、オッズが実際にどのように変化するのかを研究し、パラメーターを変更しながら、モデルを構築できるかどうかを確かめてみるのです。しかし、私はベッティングの方法論を開発するときに決してこの種のデータマイニングを提唱しません。それには十分な演習が必要となるからです。

行動のバランス化と価格発見

ツイッターや訪問者数の多いベッティングフォーラムを利用すると、ブックメーカーがライン(オッズ)を管理する方法についてのさまざまな議論を見つけることができるでしょう。ブックメーカーが最も正確だと思う数字を投稿し、その後どのような結果になっても利益が得られるように行動のバランスをとる、というのはスタンダードな考えのひとつです。

一方に反対側よりも多くの行動やボリュームがみられた場合、ブックメーカーはそちら側のオッズを移動(縮小)し、反対側の行動とボリュームが大きくなるように働きかけます。プレイヤーたちが食いついた場合、ブックメーカーはオッズを戻し、そうでなければさらにオッズを縮小するでしょう。

Pinnacleの通常のマージンにベットしている得点スプレッドやアジアンハンディキャップへのベッターの約4分の1が、1,000回のベットの後には黒字の状態になる可能性があります。

そして、市場をリードしているブックメーカーによって試合開始まで行われる市場の展開は、一種の価格発見を示します。金融市場において、このことは買い手と売り手の相互作用を通じた市場での資産価格の決定として知られています。スポーツのブックメーカーでもほぼ同じです。資産価格をオッズに置き換え、買い手と売り手をチームAとチームBの支持者に置き換えるだけです。

つまり、チームAとチームBの両方に対して$100が取引されたとしたら、ブックメーカーはフェアオッズを2.00(マージンを含めると1.95)に設定するでしょう。そして、$10がチームAに入ると仮定します。関連する行動は、この時点で$110と$100になります。この情報に基づいて考えると、チームAに対する真のオッズは (100/110) +1(または1.909)、チームBの真のオッズは (110/100) +1(または2.10)とブックメーカーが結論付ける可能性があります。マージンが加算されると、これらのオッズは1.86と2.05になるでしょう。新しい行動が起こるたびに、ブックメーカーは同様のベイズ法の形式でオッズを更新します。

このモデルの問題の1つは、市場の展開をどのように開始するかということです。市場の開放時に取引額が存在しないことは明らかです。ゼロではない数字を選ばなければ、モデルをスタートさせることができません。しかし、どの数字を選べばよいのでしょう。最初の行動に関わる数字が小さければ小さいほど、最初のオッズ動向は大きくなります。

この例では、チームAに$10、チームBに$10という理論上のマーケット「供給」のうえで開始するとします。Aチームに対する$10の行動は、オッズを1.46(B側は2.93)に変化させました。当初のモデル予測から過度にかけ離れると、より賢明なベッターが大きな賭け金でアドバンテージを利用するのを促進してしまうことから、それほど大きな動きは全く求められていません。

明らかに、ブックメーカーは、市場に理論的な担保を供給する必要があります。そして、その規模がどれくらいになるのかは、顧客の賭けによって変わってきます。

マーケットの展開モデル 

ブックメーカーの価格発見を再現するため、私はExcelのモデルを作成しました。モデルは架空のマーケット(チームA対チームB)によって構成され、ブックメーカーは両チームとも勝算は同じ(フェアオッズ2.00)だとみなしていました。2.5%のマージンが適用されました(ブックメーカーのオッズは1.95)。その後、オッズは1,000回を超える繰り返しで展開しました。ベッターにはその都度、その時点でのプライスでチームA、チームBのどちらかにベットするか、もしくは無視する機会が与えられます。

もしもベッターがA、Bどちらのプライスも無視すれば、(どちらにも価値がなかったとして)、プライスは変わらないままです。ベッターがAまたはBのどちらかのプライスにベットすると、上記で説明したような価格発見の原理に基づいてオッズが更新されることになるでしょう。

ベッターの賭けの好みは、可能性の高い現実世界のシナリオを再現しようとする、べき乗則の分布に従っていたと推測されます。そして、ほとんどのベッターがおよそ1から5という単位で賭けを行う傾向があったのに対し、10単位以上ベットしようとするベッターも少数存在し、さらにわずかながら100単位以上に、時には1,000以上の単位にベットしたがるベッターが1人か2人いることもありました。

ベッターには技術の高いものも、そうでなかったものもいたと考えられます。技術の高いベッターは、AまたはBのフェアプライスが2.00だと知っていたと推測されます。したがって、オッズがそれより高い場合にのみベットしたはずです。技術のないベッターは、単純に大多数に従っただけだと推測されます。つまり、マーケットの展開のどの段階においても、発表されている最新のプライスの影響を受けたということです。不確実性についての判断を迫られた場合、アンカリング、近接誤差、利用可能性ヒューリスティックなどが広く人々に影響するとすれば、これは理に適った推測かもしれません。 

明らかに、ブックメーカーは、市場に理論的な担保を供給する必要があります。そして、その規模がどれくらいになるのかは、顧客の賭け金によって変わってきます。

ベッターたちに少しの自由を許したならば、技術のないベッターの真のオッズに対する認識は、最新のプライスに関する通常の不規則分布にあるように多様化すると推測されます。例えば、Aの最新のプライスが1.95で、マージンを除いて2.00だった場合、一部のベッターは真のプライスが1.99、1.98、1.97(または2.01、2.02、2.03)などであると信じる可能性があります。一定数のベッターは真のプライスが1.95よりも低いと考えるため、発表された1.95が価値を示しているといえます。

このように、AまたはBにつけられた実際のプライスのどちらかが価値を表していると信じる、技術のないベッターが常にいくらか存在したといえます。そして私のモデルでは、その後彼らは割り当てられた賭け金でベットを行うことになるでしょう。もちろん、この変わりやすい誤った過信が存在しなければ、合理的な市場でベットが当たることはないでしょう。その証拠に、そのレベルの自由度を与えたことにより、1,000回の繰り返しの間に、技術のないベッターの約半数が自分が何にベットするべきか判断することができました。

さらに2つのモデルの仮定がありました。1つ目、技術のあるベッターが最大の賭けを行うというものです。このことは、現実世界を忠実に表しているわけではないかもしれません。しかし、期待値を掴む能力を持っていると自覚しているベッターは、特に、それまでの成功したベッティングによって蓄積した資本を使用することができるという理由から、より大きなリスクをとる傾向があると仮定することは理に適っています。2つ目は、私の最初のモデル研究では、ベッターの賭け金は過去に行ったことのあるベットの合計を越えない範囲に限られたということです。 

例えば、ベッターの賭け金の傾向が50単位で、その日までに(マーケット供給も含めて)30単位のみが取引されたとすると、賭け金の上限が30になるということです。そのようなシナリオのもと、マーケットが変化を続け、より多くの行動が蓄積されるにつれ、自分の好みを全面的に採用し、多額を賭けるベッターが増えていくのです。このことは、取引額が増えるにつれて実際の賭け金の上限が増えていく、典型的なPinnacleのマーケットを表しているように思えます。

下に示す時系列は、AとBそれぞれ1単位のみのマーケット供給と、技術のないベッターを想定し、AとBに対するオッズがどのように変化したのかを示したものです。特にマーケットの展開の最初の段階において、実際のマーケットを表すには大きすぎるオッズの変動が一部に見られました。大きな賭けが発生すると、先に説明した価格発見の原理に基づいたオッズの計算に多大な影響を与えるのです。技術の高いベッターが多く存在するマーケットですら、似たようなオッズの変化が観察されました。理論上のマーケット供給の度合か、掛け金制限の規模のどちらかに問題があることは明らかです。

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これらの問題をどのように解決するのか、モデルとなるシナリオで技術の高いベッターの割合はどのようになるのか、ということはこの記事のパート2でお伝えします。

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