本命-大穴バイアスの要因となるのは誰か?

本命-大穴バイアスとは?

ブックメーカーはどのような役割を果たす?

リスクを調整するとどうなる?

本命-大穴バイアスの要因となるのは誰か?

オッズ分析といえば、本命-大穴バイアスおよびベッターの不合理な振る舞いについて、これまで数多くの研究がなされてきました。このバイアスは、多くの場合、ベッターの心理というレンズを通して検討されます。しかし、ブックメーカーはどのような役割を果たすのでしょうか? 詳しくは続きをお読みください。

本命-大穴バイアスとは?

本命-大穴バイアスは、スポーツベッティングの分析において幅広く検証されている現象で、多くのスポーツやリーグにわたって存在してきたことが明かになっています。本命-大穴バイアスがはたらいているとき、どちらも思わしくない成果を含んでいるにもかかわらず、フェイバリットに提示されたオッズのほうが、ロングショットのオッズよりもベッターにとって有利なベットをもたらすことが説明できます。

このバイアスは通常、ベッターの不合理によってもたらされるものと説明されます。ベッターは、低確率で高報酬のベット(ロングショット)を好むと言われます。このためオーバーベットが起こり、これに対してブックメーカーはオッズを下げるという反応をするのです。

ブックメーカーはどのような役割を果たす?

この記事では、ブックメーカーの合理性から本命-大穴バイアスが生じるのかということを、ブックメーカーの視点からオッズの設定を考慮することで検証していきます。ブックメーカーはフェイバリットとロングショットの間にどのようにマージンを配分するのでしょうか? 最適な戦略はあるのでしょうか?

ブックメーカーを完璧な予想屋だと仮定しましょう。2ウェイ競技では、ブックメーカーは20%と80%になるように、確率を正確に決定します。したがって、公平なオッズは、1/0.2=5.0と1/0.8=1.25となります。ブックメーカーが3%のマージンを求める場合、提示するオッズは5.0と1.205(全マージンをフェイバリットに含む)から4.35と1.25(全マージンをロングショット中に含む)の間のどこかに当てはまります。下のラインに沿ったどこかです。

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下の図表は、この範囲内でフェイバリットまたはロングショットのいずれかにベットを行った場合の、ベッターへの予測リターンを示したものです。

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ブックメーカーが3%のマージンを均等に(両方に1.5%ずつ)配分する場合、提示されるプライスは1.227と4.651になります。予測リターンは、フェイバリットのベットが-1.8%、ロングショットのベットは-7.0%です。このようなマージン分配の選択より、オッズにおける本命-大穴バイアスは作られるのです。 

予測リターンが均等になるポイント(ラインが交差するところ)では、マージンが真の確率に関して比例的に分配されます。フェイバリットのうち80%(2.4%)、ロングショットのうち20%(0.6%)です。ブックメーカーがこのポイントの右側(オッズの低いロングショット)にあるオッズのどの組み合わせを選ぶ場合も、本命-大穴バイアスが予測されます。

つまり、ロングショットへのベットでの予測リターンは、フェイバリットへのベットよりも低くなるはずなのです。下の図表は、比例的または均等なマージン分配のもと、3%のマージンでオッズにベットしたときの、ベッターへの予測リターンを示しています。

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マージンが比例的に分配される場合、どのオッズにベットしても予測リターンは同じとなり、本命-大穴バイアスは予測されません。しかし、マージンが均等に分配される場合、強力な本命-大穴バイアスが予測されることでしょう。つまり、インプライド確率が低くなるほど、予測リターンが低くなるのです。したがって、ブックメーカーがどのようにマージンを配分するかを知らなければ、オッズにおける本命-大穴バイアスに関して提唱されるどんな理由も、控えめに言っても薄っぺらいものになってしまいます。

ブックメーカーの考え方

真の確率が20%と80%となる競技の例に話を戻し、ベッターがフェイバリットに50%、ロングショットにも同じく50%という総計になる金額をベットすると仮定しましょう。下の図表では、グレー(グリーン)のラインがベッター(ブックメーカー)のトータル予測リターンを表しています。ウェージャーの金額が均一に分かれた状態で、ブックメーカーは、フェイバリットのオッズを可能な限り上げ、そのためロングショットのオッズを可能な限り下げるようにプライス設定することで、予測リターンを最大にするでしょう。

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双方にウェージャーの金額が均一ではなかったらどうなるでしょう。下の図表は、さまざまな割合でフェイバリットにウェージャーしたときのブックメーカーの予測リターンを示しています。たとえば、オレンジのラインは、フェイバリットとロングショットの間で70:30に分かれたときのブックメーカーの予測リターンを表しています。

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双方にウェージャーした割合の知識が無ければ、フェイバリットをドリフトし、ロングショットのオッズを下げるという単純な戦略がブックメーカーにとって良いもののように思えるでしょう。ブックメーカーは、ロングショットに対して、真の確率(この場合20%)より高いベットの割合を引き付けることさえできれば、ロングショットのオッズの低下、予測リターンの増加というインセンティブを得ることができます。

リスクを調整するとどうなる?

リターンを生むために背負ったリスクに合わせてリターンを調整することは、「リスク調整後リターン」として知られる金融の概念です。より多くのリスクを引き受けることにより、より高い予測リターンでの埋め合わせが必要となります。同様に、均等な予測リターンでの2つのシナリオのうち、より良い提案とはリスクが少ない方なのです。

不完全な予想をすると、不正確だったことに対するブックメーカーへの金銭的ペナルティは、高オッズのロングショットの場合により高くなる傾向にあります。

上記の例において、つまり、1.21と4.85.のオッズで、ブックメーカーがマージンを比例的に分配すると仮定しましょう。ブックメーカーへの予測リターンはこれらのオッズのときと同じく+2.91%だということが分かっています。ブックメーカーは何を好むでしょう? フェイバリットへの1,000件のベットでしょうか、それともロングショットへの1,000件のベットでしょうか? 相違点を分析しましょう。

そのために私は、フェイバリットおよびロングショットへの連続する1,000件のベットを、それぞれ5,000回ずつシミュレーションし、リターンの標準偏差を求めました。フェイバリットへのベットについて、リターンの標準偏差は1.5%で、ロングショットについては6.2%でした。合理的なブックメーカーは、リスクがより低いことから、間違いなくフェイバリットに仕掛けるのを好むでしょう。

予測リターンが同じとき、ブックメーカーがフェイバリットに仕掛けるのを好むとすれば、ブックメーカーはフェイバリットのプライスをドリフトし、ロングショットのオッズを下げたがっているということになります。ブックメーカーが中立な立場になるのは、オッズを決定しようとする段階でしょう。ブックメーカーの潜在的な決定を理解するために、異なるマージン分配における予測リターンと標準偏差を示すことができるものの、この問題の解決は、個々のブックメーカーのリスク選好度に左右されます。

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1.220と4.762というオッズについて考えてみてください。ブックメーカーは何を好むでしょう? フェイバリット(予測リターン2.5%、標準偏差1.6%)に仕掛けるか、あるいはロングショット(予測リターン4.8%、標準偏差6%)の方に仕掛けるでしょうか? これらのプライスにおける5,000通りのシミュレーションから、リターンを示してみましょう。

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決定はそれほど簡単なものではありません。いずれにせよ、比例的に分配したマージン(1.21と4.85)からフェイバリットをドリフトし、ロングショットのオッズを下げることで、オッズに本命-大穴バイアスが導入されるのです。

さあ、それでは、両方のウェージャーの金額の割合を変更してみましょう。同じ例にしたがって、再び、1,000件の独立したイベントで、ブックメーカーが正確に20%および80%の確率を決定し、(3%のマージンを維持しながら)オッズをどこに設定するか判断していると仮定してください。各イベントにおいて、1ユニットのベットを配置し、ブックメーカーのトータルリターンを計算します。私はこのシナリオを、フェイバリットとロングショットへのベットの割合を変えながら、5,000回シミュレーションしました。平均のリターンとリターンの標準偏差が、以下の図表に示されています。

それぞれの点の上の数字はフェイバリットへのベット割合です。たとえば、0.5の点を通るイエローのラインについて考えてください。この点は、1.23および4.65のプライスにおいて、ベットのうち50%フェイバリットだったときの平均リターン(4.5%)および標準偏差(4.3%)を表しています。

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この点が、ブックメーカーの現在のオッズプライシング戦略とウェージャーした割合を表していると仮定しましょう。ブックメーカーがそのオッズを変更し、同様の割合が双方にウェージャーされると、フェイバリットのオッズが低くなり(1.224.76のグレーのラインに注目)、予測リターンを(3.7%まで)縮小し、標準偏差を(4.4%まで)増加させることになります。ブックメーカーがこのような選択をあえてするとは考えにくいでしょう。

代わりに、ロングショットのオッズを低くすることで(1.2354.55のライトブルーのラインに注目)予測リターンを(5.0%まで)増加させ、標準偏差を(4.25%まで)縮小することができます。

リターンを生み出すために引き受けるリスクに備えてリターンを調整することは、リスク調整後リターンとして知られる金融の概念です。より多くのリスクを引き受けることにより、より高い予測リターンでの埋め合わせが必要となります。

したがって、双方にウェージャーされる割合が常に一定の場合、ブックメーカーは予測リターンとリスクの両方の観点から、ロングショットのオッズを下げるというインセンティブを得ます。さらに、ロングショットにウェージャーされた金額の割合が真の確率(この場合20%)を超える限り、このことは正しいのです。

ベッターがプライス(オッズ)センシティブな様相を呈したときはどうでしょう? それは、オッズが増加すれば、その成果に対し、より高い割合の金額がウェージャーされるということです。同様の出発点からみて、ブックメーカーがフェイバリットのプライスを1.23から1.24にドリフトする(イエローからグリーンのラインへ、ロングショットは4.65から4.44へ)と決定すれば、フェイバリットに対してより高い割合の金額がウェージャーされると予期できるのです。

ブックメーカーが予測リターンの縮小を予期する以前に、この割合は50%から62%に増加する可能性があります。一方で標準偏差の減少(4.3%から3.7%)の恩恵を同時に受けます。 

本命-大穴バイアスについて何が分かったでしょう?

この記事での分析は、自分たちの提示するオッズに、本命-大穴バイアスを導入することは、リスク調整後リターンの観点から、ブックメーカーにとって合理的な戦略となりえるということを提唱するものです。上記の例は、ブックメーカーを完璧な予想屋として述べました。しかし、その仮定を緩めたとしても、この結論を強めることに過ぎないでしょう。 

不完全な予想をすると、不正確だったことに対するブックメーカーへの金銭的ペナルティは、高オッズのロングショットの場合により高くなる傾向にあります。このことは特に、ピナクルのような、シャープな割合の高さと、高いベット上限を誇るブックメーカーでは真実だと言えるでしょう。

ブックメーカーがオッズに本命-大穴バイアスを導入することが合理的なことと考えられる一方で、クライアントのベッティングの好みを理解できるという付加利益も付いてきます。

この情報は、ブックメーカーがオッズをセットし、マージンを配分する際に、リスク調整後予測リターンを適用する助けとなることでしょう。いずれにせよ、本命-大穴バイアスを含むオッズは、ベッターのバイアスの結果だけによるものではないということなのです。そのようなオッズは、ブックメーカーが合理的で、情報があり、金銭的リスクを管理していることの表れでしかないように思えます。しかし、それは普通は両方のコンビネーションだと私は推測しています。

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