ラインの動きを観察することでマーケットの状況を把握でき、またブックメーカーがラインを調整する理由を理解することはベッターの利益につながります。しかし、ラインの動きだけに基づいてベットを決めてしまうのは間違いです。詳細をお読みください。
ブックメーカーがラインを動かす理由とは?
ブックメーカーはマーケットの両側に同じくらいの金額が集まるよう特定のスポーツ試合のオッズを提供し、提供するオッズにマージンを適用して利益を得ています。あるゲームで均等でない「アクション」(ベット金額)が見られた場合、ブックメーカーはブックのバランスをとり、不利益を軽減するためにオッズを調整することがよくあります(片側により多くの金額を集めるためにオッズを増やし、もう片方を減らします)。
- ベッティングマージンの計算法に関する記事をお読みください。
マーケットの各サイドにベットされる(ベット数だけではなく)金額と同じくらい大切なのは、そのお金の出どころです。ブックメーカーは、マーケットを評価し、オッズを調整するか否かを決めるときに、ベット対象について知識が豊富であることが知られている客(「シャープ」と呼ばれることもあります)のベットに特別な注意を払います。
ベットのパーセンテージは試合にベットされている合計金額ではなく、むしろ各サイドのベット数に関係していることを知っておくことが大切です。
例えば、よく大金をベットする負けの多いベッターがPremier Leagueのサッカー試合で$100,000を賭けた場合、ブックメーカーは大きな不利益になっても、つまりこのベッターが間違っているというリスクをおかして、オッズを変更しない可能性があります。
しかし、定期的にNFLマーケットで勝っているベッターが$5,000をベットした場合、ブックメーカーはその情報に基づいてオッズを調整しようとすることがあります。
ほとんどのブックメーカーは、あるパターンに気づいたら、そのようなベッターのアカウントを制限し始めるか、閉鎖します。ピナクルのブックメーカーは勝つベッターのベッティング上限を制限したり、アカウントを閉鎖したりすることはないので、その意味でピナクルは独特です。代わりに、こうした情報を利用してオッズを決めています(低いマージンや高いベット上限額を提供している理由の1つ)。
リバースラインムーブメントとは?
リバースラインムーブメント(Reverse line movement: RLM)とは、マーケットでのベットのパーセンテージと矛盾するオッズの動きのことです。これはあるサイドへのベットが多いのに、ラインがその反対のサイドに動くことを意味します。
そのため、ベッティングのパーセンテージは試合でベットされている合計金額ではなく、各サイドのベット数に関係していると知ることが大切なのです。
リバースラインムーブメントをベッティング戦略の一部として利用し、利益を得ようとしている人にとって難しいのは、マーケットの各サイドにベットされている金額を確認し、より知識の豊富なベッターがどちらを支持しているかを判断することです。
どんなスポーツマッチでも、平均的なベッターたちがベットした金額の合計は、賭けられている総合計金額の相当な割合を占めます。そのため、どちらの方向でもラインムーブメントだけを追って「正しいサイド」を決めるのはほぼ不可能です。
明確におわかりいただけるよう、RLMの例を使って実際にどのようになるのか見てみましょう。ブックメーカーがNFLゲームでPittsburgh Steelers (-7)、Green Bay Packers (+7)と発表した場合、必ずしも7点差でSteelersが勝つと予想しているわけではありません。これは単にブックメーカーが両サイドのベットを均等にしようとしているだけです。
マーケットの各サイドにベットされる(ベット数だけではなく)金額と同じくらい大切なのは、そのお金の出どころです。
Pittsburghのベットの割合の方が高い場合(例えば75%)、ブックメーカーはもっと多くのベッターにPackersにベットしてほしいと考え、より魅力的な選択肢にするために、理論的にはラインはPittsburgh -7.5以上に動きます。しかし、RLMの場合は、Green Bayのハンディキャップが少なくなります(おそらく+6)。
もし知識の豊富なベッター(「シャープ」)がGreen Bayにベットしていれば、RLMの支持者は(不利益が大きいにもかかわらず)Pittsburghに対してラインを動かすようブックメーカーに提案するでしょう。ほとんどの場合で、これは「予想外の」ライン移動を引き起こしたと思われる原因を大幅に単純化した評価に過ぎません。
実際、Green Bay有利にラインを動かすとき、ブックメーカーは特定のベッターのアクションの影響を受けているかもしれませんが、他の多数の要素の影響も受けています。そういった要素の例としては、ゲームの結果に影響を与える情報があげられます(怪我、出場停止、天候の変化)。
リバースラインムーブメントを頼った場合の落とし穴
様々なマーケットのベッティングパーセンテージは、様々なオンラインプラットフォームで(およびブックメーカー自身により)広く公開されています。RLMが最終結果を「予測」した場合の記録と一緒にこのデータを追跡します。つまり、負けそうな側へのベットのパーセンテージの方が高いのに、勝ちそうなチームに有利にラインが動く場合です。
この情報はよく有料でお客様に提供され、投資回収率を保証する「確実な」戦略として販売されることがあります。しかし、こうした「予想屋」が提供する結果は透明性に欠けることが多く、勝率が良すぎるように見えます。そして、だいたい心配した通りになります。
そうしたサービスを利用しようとするベッターにとってもう1つ問題となるのは、情報のコストが利益率に影響することです。長期的に見ると、利益率はすでにスポーツベッティングでは比較的小さくなっています。
従来のハンディキャップがそれでもベストなベットである理由
ラインの動きだけに基づいてベットすることは、スポーツベッティングの戦略として問題があります。ラインが動く場所に影響を与えるベッターと同じ側にベットしていれば、長い目で見たときに確実に利益がありますが、リバースラインムーブメントの情報にコストをかけていては、利益を上げることはできないでしょう。
やはり従来のハンディキャップ手法と数多くの要素を検討するベッティングモデルを使用することが、最終オッズを打ち破り、利益を上げるスポーツベッターになるために最も確かな方法と言えます。