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ベッティング技術の評価: ベイズ法VS 頻度論的手法

ベッターはどのように自分の技術レベルを評価できるでしょうか?

ベイズ法と頻度論のアプローチの違いとは?

無作為度や想定される技術の確率とは?

ベッティング技術の評価: ベイズ法VS 頻度論的手法

最も基本的なレベルでは、ベッティングでお金を稼ぐには、2つのものが必要です。それは技術と運です。多くのベッターは運の影響を認めようとしません。また、自分の技術を評価することも見落としがちです。この記事では、ベッティング技術を評価する様々な方法と、そのアプローチによってどう結果が異なるのかを理解することがなぜ重要かを説明します。

ベイズの定理を用いることで、スポーツベッターはより正確な予測を立てることができます。また、ベイズの定理を使って、実際に正確な予想を行い、プラスの期待値を得られる可能性を判断することもできます。以前は、頻度論的アプローチ(t検定)を使用してベット実績の質を評価する方法を詳しく見ていきました。この記事では、この2つの方法を比較していきます。

確信度

確率論では、ベイズの定理は別の事象が発生したという条件のもとである事象が発生する確率を表します。たとえば、自分が利益を得られる熟練のベッターである可能性が50%だと考えているとします。次のベットで勝った場合、この命題の確信度はどのような影響を受けるでしょうか? つまり、ベットに勝ったという証拠によって、自分が熟練したベッターであるという確率はどのように変化するでしょうか? 

ベイズの定理は、確率を命題または仮説の「確信度」と解釈し、証拠が得られる前の確信度(事前確率)と証拠を得た後の信頼度(事後確率)の関係を数学的に表したものです。ベイズの定理:

{equation} - P(A|B)= P(A)*P(B|A)/P(B)

今回の例では次のようになります。

P(A) = 自分が熟練ベッターであるという事前確率

P(B) = ベットに勝つという事前確率

P(B|A) = 自分が熟練ベッターであるという条件のもとでベットに勝つ確率

P(A|B) = ベットに勝つという条件のもとで自分が熟練ベッターである確率

例を挙げてみましょう。熟練ベッターの定義を、110%の投資利益率を継続的に達成できる人とします。イーブンマネーベットの場合、100回中55回勝つということになります。つまり、P(B|A) = 自分が熟練ベッターであるという条件のもとでベットに勝つ確率は、55%になります。

未熟なベッターの場合、フェアなイーブンマネーベットで勝つ確率P(B)は50%となります。ただし、熟練ベッターである確率は五分五分{P(A) = 50%}という事前信念があるとすると、そのベッターの場合、P(B)は52.5%(50%と55%の中間)となります。

業界の最も優れた予想屋であれば、通常約57%の勝率となります。ブックメーカーのマージンを差し引くと、約110%の投資利益率になります。

ベットに勝った場合、これらの数字をベイズの定理にあてはめると、52.38%のP(A|B)つまり事後確率が導き出されます。ベットに勝つと、自分が熟練ベッターであるという確率は事前より高くなると考えられます。

ベイズの定理は繰り返し使用することができます。最初のベットで勝ち、熟練ベッターである確率を更新した上で、次のベットを行います。 最初のステップで計算した事後確率が、新たな事前確率となります。

そして、自分が熟練ベッターであるという新たな事後確率は、次のベットに勝つ(または負ける)という条件に基づくことになります。 勝つと熟練ベッターである確率は再び上がり、負けると確率は下がります。この例では、2回目のベットに勝つと、熟練ベッターである確率は54.75%に上がります。 

このプロセスは何度でも繰り返すことができ、更新された条件付き確率はそれぞれ0%~100%の間となります。これを1,000回繰り返しました(つまり、1,000回ベットを行いました)。下のチャートは、ベッティングの実績(青線)と各ベット後の熟練ベッターであるベイズ確率(赤線)を表しています。

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ベイズ論による確率の解釈の大きな問題点は、事象または状況に関する豊富な事前知識や事前信念が必要となることです。しかし、自分が熟練ベッターであるという確率を評価するにあたり、本当にこうした事前知識や事前信念を持っているのでしょうか? この例での50%という確率は完全に任意で選択したものであり、想定でしかありません。最初の事前確率を1%に変えた場合にどうなるか見てみましょう。 

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また、この例における熟練の定義も完全に任意に設定したものです。10,000回を超えるベットで105%の投資利益率を達成できるベッターは、極めて熟練したベッターであると言えます。サンプルのサイズが重要な理由については、少数の法則をご覧ください。繰り返しベットを行う中でP(A)の値が更新される度、P(B)を定義する方法も明確ではありません。 

ここで挙げたベイズモデルでは、P(A) = 0%/20%/40%/60%/80%/100%の場合、P(B) = 50%/51%/52%/53%/54%/55%とするなど、直線相関の関係を想定していますが、信頼性には疑問の余地があります。さらに重要なのは、ベットの勝率が52.5%の人は(勝率55%の人ほど熟練していないというだけで)個人としては明らかに熟練ベッターです。ですから、ここで測っているのは実は確率ではなく技術のレベルなのです。 

とはいえ、このベイズの確率の変化を表すグラフは、ベッターが継続的に利益を出せる可能性(または能力の高さ)、また、それが時系列でどのように変化するかを直感的に分かりやすく表しています。

無作為度

ベイズ法が一定のデータセット(利益と損失)を前提とする(自分が熟練ベッターであるという)仮説の確率に着目するのに対し、頻度論的アプローチでは仮説を前提とするデータの確率(または頻度)に着目します。今回、仮説は自分が熟練ベッターであることが真(100%の確率)または偽(0%の確率)のいずれかに固定し、データは無作為として想定します。 

熟練ベッターである確率は1%であるという事前信念から開始すると、1,000回賭けた後、この数字は20%に上がります。

通常、頻度論的アプローチは帰無仮説(この場合、熟練ベッターでなく、ベッティングの結果はすべて運の結果である)から始めます。それから、帰無仮説が真と仮定した場合に、得られたデータ(この場合は、利益と損失の実績)が起こりえた確率(P値)を統計を用いて計算します。

最後に、その確率を許容される有意値(α値)と比較します。たとえば、P<α(通常5%または1%)の場合、帰無仮説は有効な仮説でないとして棄却されます。

ピナクルのベッティングリソースで以前レビューした統計はtスコアといい、この名前は、統計的優位性に関する学生のt検定に由来しています。ベッティングオッズがフェアなものであるとすれば、tスコアは次のように求められます。 

n = 賭けの回数、r = 投資利益率(小数で表される)、o = 小数の平均ベッティングオッズtスコアは、統計表またはオンライン計算機でP値に変換します。Excelなら、TDIST関数を使います。ベット実績の例を挙げて、これがどのように作用するのか見てみましょう。

下のチャートは、両側t検定と片側t検定を使用して、自分が熟練ベッターである確率を50%とする事前信念を前提とした場合の、ベイズ法による自分が熟練ベッターである確率(赤線)と、頻度論のP値、つまり完全に未熟であると想定した上で達成した実績が起こりえた確率(緑線)の変化を時系列で比較しています。

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特別な理由というより偶然の可能性が高いですが、形だけを見ると、この2つの線はきれいに対称になっていますが、これは。ただし、P値はベッターが未熟である確率を示すことから、1-Pは熟練ベッターである確率と等しくなるということは覚えておいてください。

少なくともベイズ法と頻度論的分析の両方が、ベッティングで継続的に利益を出すには長期戦になると、ベッターに改めて気付かせてくれるはずです。

利益と損失が偶然発生する確率が5%であることは、技術によって利益と損失がもたらされる確率が95%であるという意味ではありません。これは単純に、ベッティングでの利益と損失が完全に無作為であるという帰無仮説が真であるとした場合、これまでに得られた結果は5%の確率で発生すると予測できるという意味です。

頻度論的アプローチの弱点は、真理を絶対と見なす点です。対照的に、ベイズ法は真理を確率的、暫定的で、常に反証可能なものとして考えます。こうした弱点はあるものの、頻度論による仮説はベッティングの実績を分析し、幸運以外の要因によって起こりうるかどうかを追求する便利な手段となります。

ベイズモデルのもともとの事前信念が、熟練したベッターである確率は1%(50%ではなく)である、だった場合、頻度論モデルとベイズモデルを比較するとどうなるでしょうか?

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この場合、はるかに保守的なベイズ法よりも、t検定の方が熟練した予想屋としての能力があると信じやすい結果になっているのは明らかです。

また、ベイズ確率が事前信念に影響を受けやすいということも明らかになっています。この場合、約700回のベットの後、t検定ではベット実績が偶然に発生する確率が3%となる一方、ベイズ定理では長期的に110%の投資利益率を達成できるほど熟練している可能性が10%以下ということになります。

リスク回避型のベッターの場合、自分の能力に関してより保守的な事前信念を好みます。疑う理由がない限り、技術がほとんどないか、全くないものと想定して始めます。

想定される技術の確率

上記の分析は、投資利益率を110%と仮定した場合の、無作為に選んだベッティングの例を時系列に表しています。見やすさを考慮し、これまでに論じたアイデアを伝えられるベット実績をあえて選びました。

ただし、もっと詳しい予想図、つまり平均を求めるには、何回もモデルを実行する必要があります。ピナクルのベッティングリソースに詳しい人であればご存知かと思いますが、モンテカルロシミュレーションでこれを実行できます。

下の1つ目のチャートは、以下の10種類の勝率を仮定した場合の、ベイズ法による自分が熟練のベッターである確率の変化について、モンテカルロシミュレーションを10,000回行った結果を示しています。 1%刻みで51%から60%(フェアオッズを想定した場合、2%刻みの102%から120%の期待値と等しい)。

1,000回のベット実績における連続した各ベット後のベイズ確率の中央値を計算すると、この曲線ができますが、この分析の目的においては、平均値(低い値と高い値が解釈を歪める可能性がある)よりも適した値となっています。 

  • なぜ平均値はベットの予想を歪める可能性があるのかを見る

自分の技術の最初の事前信念{p(A)}は1%と想定します。当然、仮定する勝率(と期待値)が上がるほど、能力に関する信念は100%の確率に早く近づきます。(曲線の色が濃くなるほど、仮定される勝率は高くなります。) 

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業界の最も優れた予想屋であれば、通常約57%の勝率となります。ブックメーカーの取り分を差し引くと、約110%の投資利益率になります。このチャートからは、優れた予想屋になりたいと思ったら、自分の技術に対して強い信念を得るのに1,000回のベットの大半を費やすことになることがわかります。これはもちろん、技術がほとんどないという想定から始めた場合です。 

対照的に、勝ちがスプレッドの54%を下回る場合、利益はありますが、自分がやっていることを信じられるようになるには、これよりもっと長い時間がかかります。熟練ベッターである確率は1%であるという事前信念から開始すると、1,000回賭けた後、この数字は20%に上がります。 

最後のチャートは、同じ1,000回のベット実績のP値の理想的な期待値と同じ10種類の仮定される勝率の組み合わせを示しています。ベット数、投資利益率、ベッティングオッズのすべての組み合わせのtスコアを求める方程式があるため、モンテカルロシミュレーションは必要ありません。ここでも、曲線の色が濃くなるほど、仮定される勝率は高くなります(51%から60%まで)。

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勝率57%の場合、統計的有意性(P値<5%)は200回賭けた後に得られ、より高い統計的優位性(P値<1%)は約335回賭けた後に得ることができます。繰り返しますが、この情報は、ベッティング技術のレベルではなく、技術が全くないと想定した上で偶然にこの実績が発生する可能性を表しています。 

また、こうした統計的優位性のレベルは、最初のベイズ法における事前確率と同様に、主観的判断に基づくものに過ぎません。しかし、P値による統計的検定はベイズモデルと同様に、こうした注意点を心にとめている限り、ベッターにとっては継続的に利益を出す予測を行う能力を評価する上で有益な方法となります。

少なくともベイズ法と頻度論的分析の両方が、ベッティングで継続的に利益を出すには長期戦になると、ベッターに改めて気付かせてくれるはずです。数回の勝利で自分に技術があると思ってはいけません。

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