2020年アメリカ大統領選挙:Pinnacleの裏側

どこからこの話を始めましょうか。

2020年アメリカ大統領選挙:タイムライン

Pinnacleのトレーダーが今回のトレードから学んだこととは?

2020年アメリカ大統領選挙:Pinnacleの裏側

私たちが歴史的な出来事を目の当たりにしてから数週間が経ちました。アメリカに議論の渦を巻き起こした極めて重要な選挙でしたが、人類史上最大のベッティングイベントともなりました。Pinnacleにとって2020年アメリカ大統領選挙はどんなものだったのでしょうか? 24時間以上にわたるライブマーケットのトレードと19時間のZoom通話はどのような様子だったのでしょうか? 詳しくは続きをお読みください。

政治のベッティングは近年人気が急上昇し、2020年アメリカ大統領選挙は史上最大の政治ベッティングになると予想されていました。この予想はまさに当たりました。2020年アメリカ大統領選挙は、歴史上最大のイベントベットとなったのです。Pinnacleは、Super Bowl、World Cupの決勝など、これまで開催されてきたどのスポーツイベントよりも、アメリカ大統領選挙の市場に力を入れました。

このような大規模なイベントや金額の大きなベットを取り扱う場合、高い効率性、スキル、決断力と大きな自信がトレードを進める上で必要です。この手のイベントでは、ブックメッカーは上手くやると大金を手にすることができます。しかし上手くいかなければ、大きな痛手を負うことになります。

では、Pinnacleのようなブックメーカーは、開票されて次々と結果が発表される中、どのように28時間ノンストップでアメリカ大統領選の市場をライブトレードしていたのでしょうか? この記事では、世界で最もエッジの効いたブックメーカーでの、2020年アメリカ大統領選挙の裏側について語りたいと思います。

どこからこの話を始めましょうか。

多くの物語には、ヒーローと悪役がいます。人々はジョー・バイデン氏とドナルド・トランプ氏という2人の主役をどちらかに当てはめようとしますが、今回の物語では別の2つの登場人物として、ベッティング市場と国内の世論調査にスポットライトを当てます。

世論調査はこれまで選挙結果を予測するものとして利用されてきましたが、近年は、的外れであると知られるようになりました。たとえば2016年のドナルド・トランプ氏の当選や英国のEU離脱の決定などを思い出してみてください。

2020年アメリカ大統領選挙について、世論調査のデータに基づいた予想とPinnacleのオッズを比較した際、それぞれの候補者の当選確率に大きな差が見られた理由について、さまざまな議論が起こりました。世論調査ではジョー・バイデン氏が勝つ確率が80%以上と示されましたが、Pinnacleでは彼のオッズは1.50 (つまり勝率65%)に設定されました。

この理由は、大多数の人がドナルド・トランプ氏をおおやけには支持していなかったせいでしょうか? 世論調査がもともと民主党の投票者に偏っていて、バイデン氏の可能性を過大評価していたからでしょうか? 政治のベッティング市場では、最も正確な情報があるところに利益の可能性があるからでしょうか? 選挙の夜にとてもワクワクするのは、誰が勝つか誰にもわからず、結果の可能性について誰が正しいのか誰にもわからないからです。

トレーダーチームと会う

数か月にわたる準備、論争、ドラマ、討論会の後、2020年11月3日が選挙の舞台となりました。イベントの準備にあたり、Pinnacleは市場を管理するためトレーダーを中心としたチームを編成しました。彼らの実名を公開することができないので、仮に「The Locksmith」「The Puppet Master」「Dr. Manhattan」と付けましょう。

「The Locksmith」はPinnacle専属の政治専門家です。2020年アメリカ大統領選挙がリストに記載されてから彼が監督し、それ以降ずっとキュレーションしてきました。「Dr. Manhattan」は数年間、企業でトップトレーダーを経験し、選挙が始まる約1か月前に今年の選挙市場に初めて参加しました。最後のメンバーは「The Puppet Master」で、トレードについてはどちらかと言えば控えめで、大きなイベントにのみ参加しています。

2020年アメリカ大統領選挙:タイムライン

Pinnacleでの大統領選挙市場のコントロールを担ったトレーダーたちに話を聞いた上で、ライブマーケットとなっていた時の出来事を時系列にまとめることができました(ここで示されている時間は2020年11月3~5日のCET時間)

午前5時30分:The Puppet Masterが来たるべきことに備え、準備を始める。一晩のアクションをさっと確認し、日中(と夜)の準備を進める。

午前9時00分:The Locksmithがサインインする。さまざまな情報フィードを用意した後、The Puppet Masterと簡単に情報を交換し、開始に向けてゆっくりする。 

午前10時45分:Dr. Manhattanが最後に参加。市場はとても安定しているので、この時間を使ってあらゆる可能性について調査し、計画を立てる。 

午後2時30分:3人のトレーダーで、市場全体を継続的にカバーし、効率的に管理する方法について計画を立てる。3人で担当を分け、準備を整える(Dr. Manhattanがチームのための最新情報の提供をまかされる。移動中のモニターも含め準備は万端)。

午後5時24分:Pinnacleが2020年アメリカ大統領選挙市場の勝者に対する上限を$100,000に引き上げる。

午後11時00分:最初の世論調査が締め切られ、ライブベッティング開始。 

午前1時25分:フロリダでトランプ氏が大逆転し、共和党が1つ目の鍵となる州を制す(午前2時14分に確定)。

午前2時59分:50/50に近づいた後、バイデン氏が選挙に勝つ確率が60%に戻る。

午前3時30分:ドナルド・トランプ氏が、9月初めの短期間以来、初めて2020年アメリカ大統領選挙の本命になる。

午前3時38分:トランプ氏勝利の動きが続き、勝率を67%まで押し上げる(Pinnacleで市場がオープンしている間、オッズに基づく勝率が1番高かった)。

午前4時4分:トランプ氏がテキサスでリードする。

午前4時57分:バイデン氏にベットする人が急増し、The LocksmithとDr. Manhattanは、人々がトランプ氏のベットをヘッジしているのか、バイデン氏を信じているのか議論する。

午前6時00分:続々と結果が出るにつれ、バイデン氏の巻き返しの可能性が明確になり、市場が再び動き始める。この時点で、バイデン氏はオッズに基づく勝率が45%となる。

午前11時57分:バイデン氏がベットの本命に返り咲く。

午後1時13分: バイデン氏のオッズが下がり、Pinnacleで市場がオープンした時の数値に戻る(1.526)。オッズに基づく勝率が65%となる。

午後4時38分: Pinnacleがペンシルバニアの勝者のラインを再投稿し、バイデン氏が67%で本命となる。

午後7時00分:ミシガンとウィスコンシンでバイデン氏の勝利が確定し、残りの注目州の1つを制すれば、選挙人投票が270票に到達し、選挙に勝てる状況となる。

午前4時57分:Pinnacleが2020年アメリカ大統領選挙のベッティング市場をクローズする。資金はまだ動き続けていたが、この時点でバイデン氏の勝利が有力となり、ドナルド・トランプ氏は票を獲得する術(すべ)がほとんどなくなる。 

忘れられない体験

選挙当日の夜が明けて状況が落ち着くと、Dr. Manhattanに、最初の世論調査の終了を待っていた時にどのような気持ちだったかをたずねました。 「ゾーンに入って、集中して、あらゆることに備えていたと言いたいところですが、実際は何も覚えていません。ぼんやりしています。数日経ってから、どんな一日だったのか、人にたずねる必要があったくらいです。ありがたいことに、少し休んだだけで回復できました。」

トレーダーの感情も興味深いですが、これを読んでいる多くの人は実際のトレードの管理についても知りたいと思っているはずです。ライブマーケットは合計で約28時間開かれていました。ベッティング史上最大のイベントでノンストップライブトレーディングは1日以上続いたことになります。このような状況で、どのようにミスを防ぐのでしょうか? どうやって新たに入ってくる情報をすべて把握し、オンライン史上最大のベッティングを制限しているのでしょうか? しかも間違うことを心配せずに。

The Puppet Masterは、やり遂げた方法について興味深い意見を聞かせてくれました。「Zoomの最長通話の公式記録があるのかは知りませんが、私たちはそれにかなり近いものをやりました。私たちは19時間ずっとグループ通話をしていました。19時間ですよ! 空き時間に仮眠をとった人もいましたが、それだけのアドレナリンが出ていました。私たちはこういうことのために生きていると思いました。だからやっているんでしょうね。

選挙そのものについて。最大の話題の1つは、トランプ氏が反対派が間違っていることを証明し、勝者として浮上してきたときのことでした。トランプ氏が本命となったことで(Pinnacleで勝率が80%)、オッズが大きく揺れ動き、バイデン氏の支持者にとっては悪いことの前兆のように見えました。そのことについてどう思ったか、The Locksmithにたずねました。「あの揺れ動きは興味深いものでしたが、私は流れをコントロールすることに集中していました。トレーディングの仕事は常に同じです。メディアが起こっていることをどう取り上げようと重要なことではありません。私はトレードのためにそこにいて、ベストを尽くしたかったのです。

結局のところ、特定の注目州での開票が遅かったのは、トランプ氏の勝つ見込みが低いことを祝う人たちが時期尚早にもそうしたからでした。アメリカが水曜朝の時間帯を迎え、ヨーロッパのほとんどが起きていた頃、バイデン氏が勝算が躍進しはじめ、勝算が十分あるように見えてきました。 

バイデン氏の勝率は30%から50%、そして75%へと上昇し、数時間でベッティング市場の新たな本命となりました。Pinnacleが11月5日の午前5時(CET)頃に2020年アメリカ大統領選挙の市場をクローズしたとき、刻々とバイデン氏の立場を強める結果が出て、バイデン氏の勝利の可能性は80%を超えました。

Pinnacleのトレーダーが今回のトレードから学んだこととは?

こうしてPinnacleで2020年アメリカ大統領選挙の市場を管理した3人を前にして、どうやって管理を成功させたかを知ることができたので、今回のイベントの展開を振り返ったときの感想も聞きたいと思います。

以前に話したときにトレードの複雑さを具体的に説明してくれたThe Puppet Masterが、積極的に話してくれました。「今でも処理するのが大変です。あれは狂気の沙汰でした。本当におかしかった。私がびっくりしたのは、各州を追うベッターがとても鋭かったことです。自分たちがしていることをよく分かっている人たちがいました。トランプ氏がフロリダで勝ったら、彼が主要ラインに出てくると思うはずですが、それでもバイデンに賭けていたんです。

すると、The Locksmithがすぐに補足しました。「間違いなく、私たちが彼らを引き込みました。ライブベッティングで各州に$20,000賭けることは、前代未聞です。何とかできると分かってはいましたが、後からそれがいかにクレイジーだったかと笑いましたね。

すべてがクレイジーでした」と、Dr. Manhattanが口を挟みました。「何週間かしてから聞いてもらえば、思い返す時間が十分取れるんでしょうけど。1分1分が楽しかったですが、終わって嬉しいです。少しの間ゆっくりできます。でも、こういうイベントをまた4年も待つのは辛いですね!

執筆者のコメント

アメリカ大統領選挙中の展開を見守った経験は、今後忘れることはないと思います。トレーディングマーケットについてどこから始めて良いのかわかりませんでしたが、資金がいくら入ってくるのか、誰にベットしているのか、オッズはなぜ変動しているのか、市場についてトレーダーはどう思ったかなど、まさに何が起こっていたかを見てきたPinnacleの小さなグループのメンバーに関われたことは幸運でした。

2018年のWorld Cupや過去4回のSuper Bowls (その他の大きなイベントも含む)のようなイベントで、Pinnacleのような企業のために働くことができ、誰もどうなるかわからない出来事に対して多額の資金が動くことを見ることに慣れてきました。プレミアリーグでは毎週末、私が年収に望むような金額を超える資金が1回のベットで賭けられているところを見ます。しかし、ベットの絶え間ない流れや、トランプ氏とバイデン氏のベットに膨大な資金が動く様子は、本当に目を見張るものがありました。また、トレーダーがほとんど瞬きをせず、一瞬止まって考え直してから、賭けられるベットのタイプから手を引くことを決める様子はとても衝撃的でした。それは学び、訓練できることなのか、生まれついてのものなのかわかりません。途方もないことです。

 

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