機会費用とは、投資利益率を最大化するベストな方法を判断するときに役立つ概念です。稼げるベッターでも、資金配分を誤った場合の潜在的な費用を認識しておく必要があります。続きを読んで、スポーツベッティングにおける機会費用について詳しくなりましょう。
機会費用とは?
大学進学のメリットを検討している高校生を想像してみてください。この学生が検討しなければならない教育費用とは何でしょうか?入学時に支払う学費は明らかな出費ですが、学生が考慮すべき点は他にもあります。
勉学で今後かかる費用に加え、その時間に働いて得られたはずの賃金や経験も考慮する必要があります。これが高等教育機関の学生にとっての機会費用であり、大学の学位の潜在的なメリットと比較する必要があります。
これは投資において重要な概念です。金利1%の預金口座でお金を貯めている人は、その年が終わる頃には最初よりもお金が増えているので、技術上は「稼げる」投資家となります。
ただし、インフレ率が3%になると、実質その投資家の購買力は失われます。物価上昇が投資利益率(ROI)より大きくなると、貯金するより年の始めに欲しいものを購入した方が良かったことになります。
機会費用をスポーツベッティングに応用する
この概念はスポーツベッターにどう影響するでしょうか? それを明らかにするために、4人の稼げるベッターを想定して考えていきましょう。このプロセスをシンプルにするために、(非現実的な)仮定を行います。
- ベッターの初期資本は限られている(100ユーロ)
- ベッターの行動は1つに限定される(リスクの分散なし)
- 各ベットに全額を使う必要がある(実際の状況ではステーキングメソッドを推奨)
- 年間100回のベットに限定する
- ベット当たりの平均ROI: ベッターA: 0.1%、ベッターB: 1%、ベッターC: 2%、ベッターD: 4%
これを考慮すると、ベッターの利益は次のようになります。
投資利益率は各ベッターのスキルレベルを示しています。ベッターAは辛うじて利益が出る程度で、ベッターDは高い投資利益率を獲得しています。
ベッターの利益をもっと現実的に考える場合は、分散を因子に含めます。詳しくは「プロのベッターはどれくらいの頻度で利益を出しているのか?」をお読みください。
ベッティングにおける機会費用: アウトライト VS シングル
長期的なアウトライトベットに資金を回すことは良い戦略なのか、誤った資金配分なのか、ベッターの間でよく議論されます。これは本質的に機会費用に関する議論にあたります。
稼げるベッターはアウトライトとシングル市場の両方で有利だとすると、アウトライト市場で1年を通じてベットを行う方が最適な選択肢となるにはどれくらいの予想投資利益率が必要になるでしょうか?
アウトライト VS シングルでの予想ROI
予想投資利益率が100%の場合、ベッターAは89ユーロの利益が出ますが、そのような高いROIでも、最初の資金を100回のシングルに賭けた場合と比べた場合、他の3人のベッターはアウトライトで損をします。
ベッターDが1年間に100ユーロをシングルベットに使った場合の機会費用(そうでなければアウトライトベットに資金が回される)を差引いた上で大きな利益を出すには、予想投資利益率が5150%でアウトライトベットを行う必要があります。
スキルの高いベッターほど、シングルベットの複利効果を上回るには、驚くような値のアウトライトを見つける必要があります。
これによってアウトライトベットについて議論が出てくるかもしれませんが、今回のシチュエーションではベッターの資金が限られているので、分散について考慮する必要はありません。実際のベッターは、アウトライトベッティングをリスクを分散するための良い方法として捉えるかもしれません。確かに、100%の予想投資利益率のベットを断るベッターは多くないでしょう。
スポーツベッティング VS 株取引
一般的な株取引と比較して、ヘッジファンドのマネージャーの利益を評価してみましょう。簡単に言えば、ヘッジファンドマネージャーのスキルレベルは、彼らが「専門的に」選択したポートフォリオがインデックスファンドを通じて主要株式を購入する人のポートフォリオをどれくらい上回るかによって決まります。
Warren Buffett氏は株式の伸びが年平均6~7%と計算しているので、ここでの平均として上限の成長率7%を使用します。ヘッジファンドマネージャーと同じ方法で評価した場合、4人のベッターはどうなるでしょうか?
株式市場の成長 VS ベッティングの利益
平均市場成長率では、ベッター全員の利益が市場の利益より多くなるので、機会費用は存在しません。しかし高成長市場では、ベッターAはわずかな損失を出し(機会費用3ユーロ)、他のベッターの利益は大幅に減ります。
下降市場では、損失が出るベッターでも株式市場での利益を上回り、利益を出すベッターは従来の株式投資より優れた結果が得られる可能性があります。
長期的に見て、どのベッターも投資するよりスポーツにベットした方が良いことになりますが、1回限りのシナリオだとベッターAは高成長市場で機会費用が発生します。
低いオッズでの機会費用
上記で示したように、利益の出るベットでも機会費用が発生することがあります。これは特にベッターが最高のオッズで賭けられない場合に当てはまります。
ピナクルでのベッティング VS 市場のマージン
*これらの数字の計算方法については、本記事の最後をご覧ください
各ベッターの初期ROIで、ピナクルのマージン(この場合2%)でベットした場合と業界平均(6%)でベットした場合、後者の利益が明らかに低くなります。
これは低いオッズの機会費用であり、ベッターの利益が増えるほど機会費用は重要な要素となります。ベッターDがピナクルではなく業界平均でのベットを選ぶと、191ユーロの機会費用が発生します。
低いオッズでの賭けも損失につながることがあります。2%のマージンで、100回のベットの予想投資利益率が2%(102ユーロの利益)のベッターは、6%のレベルでは98ユーロの利益になります。
実際、ベッターCやDのレベルで稼げるベッターは、ここでのシミュレーションよりも多い金額を賭けるはずです。その場合、低いオッズでのベットが利益に与える影響はいっそう明確になります。
ベッターが機会費用から学ぶべきことは何でしょうか?
もちろんスキルの高いベッターは、最適なオッズで賭けること、そして他でもっと良い使い方ができる資金を長期的なベットに回さないことの重要性をよく理解しています。しかし、これらは覚えておいて損のない重要な概念です。
おそらくベッターとの比較で最も使われるのは株式市場です。Warren Buffett氏が正しければ(そして歴史も彼が正しいとしている)、インデックスファンドでの投資と比較したときに機会費用が発生しないように、ベッターは6-7%の株式市場の利益を上回る必要があります。
実際に、稼げるベッターは株式市場よりも稼げるように、十分な価値を持つベットを探している可能性が高いです。スポートベッティングのもう1つの利点は、下降市場のようなものがないので、ベッターの資金が一晩で大幅に減ることがなく(適切なベッティング戦略をとっている限り)、合理的でない参加者が資金を増やすベッターの能力に影響を与えないことです。
*低いオッズの機会費用の計算はピナクルのビジネスインテリジェンスアナリストJoel Johnson氏による
上記の例で使用した計算の内訳を確認するために、コイントスのベッティングの考え方を利用することができます。この例では、ベッターが100ユーロのベットで11%の投資利益率を獲得するものとします。
ピナクルが2%のマージンでコイントスのオッズを提供した場合、これは表と裏の両方とも1.961となります。一方、業界平均マージンの6%の場合、これは1.887になります(この計算方法については「ベッティングマージンを計算する方法」を参照してください)。
コイントスに100回ベットした後に(ピナクルのマージンで)11%のROIを達成するには、正しく予想することが求められます。
€111/1.961 ≈ 57 (1)
100回のコイントス中
しかし、業界平均のマージンで同じように57回のコイントスで勝っても、結果は次のようになります。
€1 x 57 x 1.887 ≈ €107 (2)
このため、ベットで同じように勝っても、4ユーロの損失になります。