言うまでもないことですが、サッカーではチームが昇格したものの、実力が足りず苦労する場合があります。しかし、チームのこうした苦難を見定めることができれば、ベッターにとってはメリットとなる可能性があります。上位のディビジョンに昇格したチームが「格上の」チームに対して出した結果を分析すると、オッズの不一致が浮かび上がり、貴重なベッティングチャンスが得られるのです。詳細をお読みください。
ヨーロッパサッカーの5大リーグでは、シーズンが終了するたびに3チームが(リーグでの位置を失って)降格し、3チームが(下位リーグから)昇格します。この点で独特なのは、ドイツのブンデスリーガで、降格と昇格それぞれの3チーム目を決めるのにプレーオフシステムを採用しています。
昇格してもすぐに降格するチームはどれくらいあるか?
ヨーロッパの5リーグ(プレミアリーグ、ラ・リーガ、ブンデスリーガ、セリエA、リーグ・アン)の過去6シーズンのデータで、昇格したチームが3シーズン以内に降格する頻度をみてみると、各リーグの一部と二部の実力差がわかります。
昇格してもすぐに降格するチームはどれくらいあるか?
リーグ
|
1シーズン目に降格したチーム
|
1シーズン目に降格したチームの%
|
3シーズン以内に降格したチーム
|
3シーズン以内に降格したチームの%
|
プレミアリーグ
|
6/18
|
33.33%
|
10/18
|
55.55%
|
ラ・リーガ
|
3/18
|
16.66%
|
7/18
|
38.88%
|
ブンデスリーガ
|
5/12
|
41.66%
|
6/12
|
50%
|
セリエA
|
7/18
|
38.88%
|
11/18
|
61.11%
|
リーグ・アン
|
7/18
|
38.88%
|
10/18
|
55.55%
|
上の表は、一部と二部の間の実力差がリーグごとにどれだけ異なるかを示したものです。ラ・リーガに昇格して1シーズン以内に降格するチームがわずか16.66%なので、セグンダB(二部)ディビジョンとラ・リーガ(一部)は、ドイツの二部リーグとブンデスリーガ(一部)との差(41.66%)よりも拮抗していると言えるでしょう。
英国サッカーのトップディビジョンに昇格したばかりのチームが苦戦するのはよく知られています(過去6シーズンで、昇格後に3シーズン以上踏みとどまったチームは44.5%のみ)が、セリエAではさらに大きな実力差があるようです(3シーズン以上残留できたのはわずか38.89%)。
また、過去15年間において、プレミアリーグ昇格組の3チームすべてが1シーズン目で残留を果たしたことは1度しかないのも注目に値します(2011/12年のQPR、ノリッジ、スウォンジー)
昇格組のオッズがエリートチームに優ることはどれくらいあるか?
チームが国内一部リーグへの昇格を勝ち取れば、エリートチームと対戦するという、選手とファンの両方にとってエキサイティングな機会を得ることができます。しかし、たいていの場合、昇格したばかりのチームがこうした格上相手に勝ち点を拾うのは困難です。
エリートチームと昇格組のチームが対戦する場合は、エリートチームにベットするのが常に得策なのでしょうか? 格下と目される昇格組が、相手を凌駕することはどれくらいあるのでしょうか? 数値から読み解いていきましょう。
上記と同じデータ(2010/11~2015/16)を使って、プレミアリーグを例に見ていきます。昇格したばかりのチームが格上(昨年の上位6チーム)相手にどれだけのパフォーマンスを出せるか、同ディビジョンの他のチームと比較してみましょう。
EPLに昇格したチームはエリートチーム相手にどれだけ戦えるか?
昇格組の チーム(シーズン)
|
対エリートチーム勝ち点
|
対その他チーム勝ち点
|
勝ち点の差
|
対エリートチーム勝率
|
対その他チーム勝率
|
勝利数の差
|
ブラックプール(2010/11)
|
0.42
|
1.31
|
0.89
|
8.3%
|
34.6%
|
26.3%
|
ニューカッスル(2010/11)
|
0.92
|
1.35
|
0.43
|
16.6%
|
34.6%
|
18%
|
ウェスト・ブロムウィッチ(2010/11)
|
0.83
|
1.42
|
0.59
|
16.6%
|
38.4%
|
21.8%
|
QPR(2011/12)
|
1.00
|
0.96
|
-0.04
|
33.3%
|
23%
|
-10.3%
|
ノリッジ(2011/12)
|
0.50
|
1.58
|
1.08
|
8.3%
|
42.3%
|
34%
|
スウォンジー(2011/12)
|
1.00
|
1.35
|
0.35
|
25%
|
34.6%
|
9.6%
|
レディング(2012/13)
|
0.50
|
0.88
|
0.38
|
8.3%
|
19.2%
|
10.9%
|
サウサンプトン(2012/13)
|
0.92
|
1.15
|
0.23
|
25%
|
23%
|
-2%
|
ウェストハム(2012/13)
|
0.75
|
1.42
|
0.67
|
16.6%
|
38.4%
|
21.8%
|
カーディフ(2013/14)
|
0.42
|
0.96
|
0.54
|
8.3%
|
23%
|
14.7%
|
ハル・シティ(2013/14)
|
0.08
|
1.38
|
1.30
|
0%
|
38.4%
|
38.4%
|
クリスタル・パレス(2013/14)
|
0.58
|
1.46
|
0.88
|
16.6%
|
42.3%
|
25.7%
|
レスター・シティ(2014/15)
|
0.33
|
1.42
|
1.09
|
8.3%
|
38.4%
|
30.1%
|
バーンリー(2014/15)
|
0.50
|
1.08
|
0.58
|
0%
|
23%
|
23%
|
QPR(2014/15)
|
0.08
|
1.12
|
1.04
|
0%
|
30.7%
|
30.7%
|
ボーンマス(2015/16)
|
0.50
|
1.38
|
0.88
|
16.6%
|
34.6%
|
18%
|
ワトフォード(2015/16)
|
0.50
|
1.50
|
1.00
|
8.3%
|
42.3%
|
34%
|
|
0.50
|
1.08
|
0.58
|
8.3%
|
30.7%
|
22.4%
|
平均
|
0.57
|
1.27
|
0.70
|
12.47%
|
32.86%
|
20.39%
|
格上相手のパフォーマンスを分析したデータは、サンプルとしてはかなり小さいサイズですが、平均勝ち点0.70と平均勝率20.39%という数値は、昇格組が2つのディビジョンの間に広がる実力差で苦戦することを示唆しています。
毎シーズン終了時に3チームが昇格するものの、実力が上の相手と互角に戦えるかはまた別の話です。エリートチームに対して勝ち点1.00を得るチーム(2011/12年のスウォンジー)もあれば、わずかに勝ち点0.08しか得られないチーム(2013/14年のハル・シティ)もある事実が、このことを裏付けています。
昇格組の奮闘でベッターが得られるメリットとは?
ブックメーカーが昇格組の勝率を低く見積もり、エリートチームには実力以上に高いオッズを付けるのは珍しいことではありません。このため、ベッターは上記のデータを使ってブックメーカーより優位に立つチャンスが生まれます。
前年を6位以内で終えたチームに対して昇格組が勝利する間接的な確率を、実際のオッズと単純に比較してみましょう。その差にバリューが見出せればベットします。
昇格したチームのパフォーマンスを占うには?
全般的に、上のディビジョンに上がったチームは苦労するものです。3シーズン以上残留できたとしても、毎年6位以内に入るチームと互角に戦えるようになるまでは、数年かかる場合もあります。では、レスターやRBライプツィヒはどうやってこうした傾向を覆したのでしょうか?
バリューを見出すため、前年を6位以内で終えたチームに対して昇格組が勝利する間接的な確率を、実際のオッズと単純に比較してみましょう。
昇格後間もなくエリートチームと戦う場合、チームはリスクを負う必要が出てきます。現代のサッカーでは財力が物を言います。チームが昇格にすべてをつぎ込んで失敗すれば、悲惨な結果が待っているのです。しかし、適切にバランスを取ることができれば、成功への鍵が手に入ります。
チームが上のリーグに行っても戦える戦力を揃えようと投資しても、いざ昇格できなければ大きすぎる負債を抱えることになるでしょう。あるいは、昇格してから資金を使って戦力補強し、すぐにチームとして機能することを期待するという手もあります。レスターやRBライプツィヒ、エイバルといったチームは、堅実な投資を行い、国内下位リーグから昇格してエリートチームと競い合っています。
昇格した後に苦戦するチームがいかに多いか、おわかりいただけたと思います。今週末のプレミアリーグの試合で、ブックメーカーの裏をかくことができるでしょうか? ピナクルでオンライン最高のEPLオッズを