ホームフィールドアドバンテージの背後にある要因
数多くの要素がホームフィールドアドバンテージにある程度の影響を与えていると考えられており、以下のように説明されてきました。
地元ファンと地元びいき
審判の判定に関して言うと、ホームチームに対する偏向を表す事例は複数存在しています。この偏向は、あるサッカーリーグでVARが導入されて以降に与えられたペナルティ数の変化に、しっかりと表れています。
ペナルティはかなりまれな事象であり、ホームフィールドアドバンテージ全体に与える影響は比較的限られています。しかし、VARの導入によりホームチームに対する偏向が明らかになったことで、審判が試合中にペナルティ以外の判定を行う場合にも、ホームチームを優位に扱う可能性があることがわかります。
馴染み
チームが試合会場に慣れているとホームフィールドアドバンテージが高まることを示す事例もいくつかありますが、その影響は他の変数ほどではないかもしれません。
読む:新スタジアムはディスアドバンテージになる?
移動
論理的には、長距離移動を強いられるチームは、本拠地のスタジアムでプレイするチームと比べて不利になる可能性があります。ただし、移動がアスリートに与える影響は広く研究されてきており、飛行機での移動がパフォーマンスに有害な影響を及ぼすか否かについて、結論は出ていません。
その他の潜在的要因
その他、テストステロン、高度、試合以外での気晴らしなど、ホームフィールドアドバンテージの要因となりうるものについて研究が進められています。こういったホームアドバンテージを生み出し得るその他の要因については、Dominic Cortisがこちらの記事でいくつかを取り上げて、深く考察を行っています。
サッカーのホームアドバンテージ
ホームフィールドアドバンテージが最も大きいのは、どのサッカーリーグか?
ホームフィールドアドバンテージの程度には、サッカーリーグ間で違いがあります。各チームはホームとアウェーの両方で相手チームと試合をするので、ホームフィールドアドバンテージの測定は比較的簡単です。
最善の測定方法は、ホーム側のゴール差平均(ホームゴールアドバンテージ)を見ることです。こちらの方が、単に試合結果を見るよりも正確に潜在的なアドバンテージを反映するからです。
例えば、試合結果だけを見ると、Manchester CityがHuddersfieldを8対1で破ったホームゲームと、同じカードを1ゴールだけで勝利したアウェーゲームを、同じ結果として考えることになってしまいます。ホームゴールアドバンテージでは、Huddersfieldはホームでのパフォーマンスの方が良かったことがわかります。
例えば、試合結果だけを見ると、Manchester CityがHuddersfieldを8対1で破ったホームゲームと、同じカードを1ゴールだけで勝利したアウェーゲームを、同じ結果として考えることになってしまいます。ホームゴールアドバンテージでは、Huddersfieldはホームでのパフォーマンスの方が良かったことがわかります。
サッカーリーグのホームゴールアドバンテージ
リーグ
|
2013/14
|
2014/15
|
2015/16
|
2016/17
|
2017/18
|
平均
|
MLS
|
0.43
|
0.61
|
0.75
|
0.54
|
0.63
|
0.59
|
La Liga
|
0.51
|
0.42
|
0.38
|
0.49
|
0.4
|
0.44
|
Bundesliga
|
0.34
|
0.42
|
0.45
|
0.31
|
0.41
|
0.39
|
Ligue 1
|
0.37
|
0.33
|
0.49
|
0.35
|
0.34
|
0.38
|
Premier League
|
0.38
|
0.38
|
0.4
|
0.28
|
0.38
|
0.36
|
Serie A
|
0.35
|
0.31
|
0.37
|
0.36
|
0.24
|
0.33
|
表を見ると、ホームフィールドアドバンテージがホームチームに働く程度から、MLSは欧州5大サッカーリーグとはかなり性質が異なることがわかります。
欧州5大リーグは、いずれもスペインのLa Ligaが示す実態に比較的近く、ホームフィールドアドバンテージが幾分大きくなっている一方、Serie Aでは、ホームフィールドアドバンテージの影響は小さくなっています。
ホームフィールドアドバンテージとサッカーベッティング
ベッターから見て、サッカーにホームフィールドアドバンテージがあることは明らかですが、ところで、ホームゴールアドバンテージはどの程度ベッティング市場と一致しているのでしょうか。
下の表は、ピナクルのクロージングラインオッズで想定されたホームでの予測勝率を示すものですが、実際の試合結果と非常に強い相関関係があります。
ピナクルのクロージングラインが想定したホームでの平均勝率
ピナクルのクロージングラインオッズが想定したホームでの勝率
リーグ
|
2013/14
|
2014/15
|
2015/16
|
2016/17
|
2017/18
|
平均
|
Bundesliga
|
45.4%
|
45.3%
|
44.6%
|
45.0%
|
44.1%
|
44.88%
|
Ligue 1
|
45.7%
|
46.0%
|
45.2%
|
45.4%
|
44.8%
|
45.42%
|
La Liga
|
46.9%
|
47.5%
|
47.7%
|
46.7%
|
46.3%
|
47.02%
|
Serie A
|
45.7%
|
45.2%
|
45.8%
|
45.4%
|
44.3%
|
45.28%
|
Premier League
|
45.3%
|
44.5%
|
44.9%
|
43.7%
|
43.8%
|
44.44%
|
平均
|
45.8%
|
45.7%
|
45.64%
|
45.24%
|
44.66%
|
45.41%
|
MLS
|
48.5%
|
47.9%
|
48.3%
|
49.8%
|
51.3%
|
49.16%
|
市場は、La Ligaのホームフィールドアドバンテージの強さは認めていますが、実は、Premier Leagueではホーム側の優位性が低めだと評価しています。しかし、Premier League、Ligue 1、Bundesliga間の差はわずかです。
ホームゴールアドバンテージもまた、ピナクルクロージングラインオッズが予想するホームフィールドアドバンテージ以上に、非常に変わりやすいものです。


ホームゴールアドバンテージとピナクルのクロージングラインオッズとの相関係数は、わずか0.46と控え目です。
これには、考えられる理由が2つあります。ホームアドバンテージは、特段に変化しやすいわけではなく、ホームゴールアドバンテージの大きな揺れは分散によるものであり、クロージングラインオッズでは正当に無視されている。あるいは、市場はホームアドバンテージを有効に計算しておらず、実際の揺れとの差が開いている。
一般に、クロージングラインオッズは非常に的確な予測因子ですから、答えはおそらく後者でしょう。ただし、クロージングラインオッズが、ホームアドバンテージをまったく考慮していない場合もあるかもしれません。
他のスポーツにおけるホームフィールドアドバンテージ
ホームフィールドアドバンテージは、米国の主要スポーツにおいても大きな要素です。実際、引き分けという結果が除かれるため、アドバンテージはなおさら際立っています。

ホームコートアドバンテージは、NBAでかなり話題に上がるものですが、その理由は簡単です。クロージングラインオッズによると、他の3大リーグに比べて一段とホームチームが優勢だからです。NFLにも同じようなホームアドバンテージがありますが、ほとんどのチームはシーズン中に8試合しかホームでの試合を行わないので、サンプル数があまりありません。
興味深いことに、MLBはチームが行う遠征試合の数は最多ですが、オッズが示すホームフィールドアドバンテージに関しては最下位です。
ホームフィールドアドバンテージについてベッターが知っておくべきこととは?
ホームフィールドアドバンテージについては、これに対する市場の値付けがどの程度的確かを知るのは困難です。その存在までは認識しても、これがスポーツの試合に与える影響の程度を確かめるのは至難の技です。また、それぞれのチームやリーグごとにホームフィールドアドバンテージの程度に差異があり、さらには、シーズンによっても違いが生じるという点が、さらに物事を複雑にします。
試合の結果予測において、ピナクルのクロージングラインオッズがいかに的確であるかを考えると、市場はうまくホームフィールドアドバンテージを考慮しています。ただし、進取的なベッターなら時には不的確さを見出すということを否定するものではありません。