5度の優勝を誇るブラジルが大本命のグループEで、セルビアは番狂わせを起こせるでしょうか?この2018 World CupグループEのプレビューを読んで、大会の開幕に先立って必要となる専門的な分析や予想をすべてチェックしましょう。
World CupグループE予想:オッズはどう見ている?
ブラジル
ELO世界ランキング:1位
過去の最高成績:優勝(1958年、1962年、1970年、1994年、2002年)
予選のチーム得点王:Gabriel Jesus(7得点)
キープレイヤー: Neymar
グループ突破オッズ:1.035*
World Cup優勝オッズ:5.030*
母国ブラジルでのWorld Cupで失望を味わったブラジルが、証明すべき課題を抱えてロシアへ戻ってきました。
強敵ぞろいで知られる南米予選を、勝ち点差10をつけるという圧勝劇で楽々とトップ通過を果たしたブラジル。18試合に及ぶ長丁場の予選ラウンドを戦い終えたのち、彼らは同地区では2位以下を大きく引き離して、最高の守備と攻撃の成績を残していました。
ベッターにとっては嬉しいことに、Tite監督は怪我がない限り、初戦のスイス戦で先発させるメンバーを発表しています。
このスタメン11人の攻撃力は他チームを震え上がらせるほど強力です。Philippe CoutinhoとNeymarの招集によって、ブラジルは歴史上、もっとも高級取りのプレイヤー2人をピッチに送り込むことができる一方、Gabriel Jesusは21歳にして屈指の点取り屋となっています。さらにPaulinhoが中盤からの攻撃力に厚みを加え、予選では6ゴールに貢献しました。
ブラジルはさらに、守備陣もスタープレイヤーで固めることができます。Dani AlvesとMarcelが今大会最強のポテンシャルを持つフルバックコンビを形成し、攻守の両面において重要な貢献を果たします。MirandaとMarquinhosのセンターバックコンビはいずれも運動量が豊富かつ、冷静にボールに対処することができ、RomaのAlissonは世界でもっとも高い評価を受けるゴールキーパーの1人です。
ブラジルチームにひとつ不安があるとすれば、中盤のラインナップでしょう。Casemiro、Renato Augusto、Paulinhoは卓越した体力を誇りますが、スペイン、ドイツ、フランスの同ポジションの顔ぶれと比べると、ボールへの冷静な対応力に欠けます。これがブラジルの圧倒的なポゼッション 能力の足かせとなれば、CoutinhoとNeymarの創造的プレーへの依存度が過剰に高くなってしまう恐れがあります。
もっとも、グループステージではこうした不安は杞憂に終わるでしょう。ブラジルは荒々しい攻撃力は、悠然と決勝トーナメント進出を果たすうえで十分なもの。スイス、そして特にセルビアはブラジルにとって侮れない相手でしょうが、接戦になった場合でも、ゲームの流れを呼び込める力を持つ、Roberto FirminoやWillianのようなタレントをベンチから投入することができます。
ブラジルは2014年に惨敗を喫したドイツとの対戦を避けようと、グループのトップ通過を狙ってくるはず。そう考えると、ブラジルがグループEを制するオッズ1.263*へのベットは、比較的手堅い選択と言えそうです。
スイス
ELO世界ランキング:14位
過去の最高成績:ベスト8(1934年、1938年、1954年)
予選のチーム得点王:Haris Seferović(4得点)
キープレイヤー:Xherdan Shaqiri
グループ突破オッズ:2.110*
World Cup優勝オッズ:162.150*
U-17 World Cupで優勝した“黄金世代”のメンバーが主力を務めるスイスは、過去3大会で予選を突破し、今やWorld Cupの常連国になっています。
スイスが予選で戦った相手は極めてレベルが低く、同グループ内で最近のWorld Cup本大会へ進んだチームはポルトガルしかいません。スイスはそのグループの首位の座を得失点差でポルトガルに譲り、北アイルランドとの神経の磨り減るようなプレーオフを乗り越えて、本大会への切符を手にしたのです。
ヨーロッパの列強国と比べると実力が一段階落ちるスイスですが、まさかの番狂わせを起こせるだけの力は持っています。“アルペンのメッシ”の異名を取るXherdan Shaqiriは、チームに大会最高の瞬間を授けてきた立役者です。前回のWorld Cupブラジル大会ではハットトリック(大会通算でもわずか50度目の快挙)を決め 、Euro 2016では圧巻のオーバーヘッドキックも炸裂させました。
所属クラブチームのStokeではある程度、安定感を取り戻しているShaqiriですが、魔法のようなプレーを見せたあとは凡プレーに終始する(ブラジルではホンジュラス戦での3ゴールが唯一の得点でした)といった彼の傾向は、忘れた頃に番狂わせを起こすというスイスチームにはフィットします。それでもトップチームに脅威を与えるには至りません。
このグループの突破はスイスにとって、難題と言えるのではないでしょうか。スイスが初戦の相手ブラジルに真っ向勝負を挑んでくるとは考えにくく、グループ2位の座を争う最大のライバル、セルビアとの2戦目で挽回を狙ってくるかもしれません。この試合で負ければ大会が終わってしまう公算が高く、重要な局面で圧倒的なパフォーマンスを叩き出すことが求められそうです。
2位争いが熾烈を極める中、スイスがロシアでベスト16に残れない危険性は大いにあります。スイスがグループリーグを突破できないオッズ 1.740*は、チーム状態が上がっているセルビアに不覚を取る確率を考えると、価値のあるオッズかもしれません。
コスタリカ
ELO世界ランキング:31位
過去の最高成績:ベスト8(2014年)
予選のチーム得点王:Marco Ureña(4得点)
キープレイヤー:Keylor Navas
グループ突破オッズ:5.760*
World Cup優勝オッズ:464.300*
コスタリカはブラジル大会で旋風を巻き起こしました。World Cup優勝国が3つも顔をそろえるグループに入った時点で、“ロス・ティコス”(コスタリカ代表チームの愛称)が決勝トーナメントへ進出する可能性は風前の灯だったにもかかわらず、彼らは同グループをトップで通過し、周囲をあっと言わせました。
今大会は数字の上では2014年大会よりも楽なグループに入りましたが、チームの状態は絶好調だったブラジルの時と比べて、下降しています。ベスト8の立役者となったプレイヤーたちは、クラブレベルでも出場機会を得られずに苦しんでいます。
攻撃にリズムを生み、脅威を与えたJoel Campbellは2016年以降、代表チームでは得点を挙げておらず、潜在能力を持て余し気味のプレーが続いています。ブラジルで輝いた選手のひとりChristian Gamboaも、Celticではプレー機会に恵まれていません。
司令塔のBryan Ruizは全盛期を過ぎた感があり、今季のSporting Lisbonではベンチを温める日も増えています。一方、ストライカーで予選ラウンドのチーム得点王Marco Ureñaは、グループEのライバル国よりも実力的に1ランク落ちる、MLS(メジャーサッカーリーグ)でプレーしている選手です。
前大会で飛躍した選手のひとりKeylor Navasは現在、Real Madridの先発キーパーを務めています。彼が2014年のような大活躍を再現できれば、コスタリカがグループを突破するチャンスがかすかに見えてきます。
それでも、“ロス・ティコス”はすべての試合で格下と考えられることでしょう。選手層ではセルビアとスイスに劣り、ブラジルはコスタリカゴールにシュートの雨を降らせるに違いありません。コスタリカにとっては1勝を挙げられたら大健闘とみなされるべきであり、チームが勝ち点1.5以下しか挙げられないオッズ、1.840*へ賭けることは、理にかなったベットかもしれません。
セルビア
ELO世界ランキング:24位
過去の最高成績:4位(1930年と1962年はユーゴスラビア代表の一員として)
予選のチーム得点王:Aleksandr Mitrovic(6得点)
キープレイヤー:Nemanja Matic
グループ突破オッズ:2.160*
World Cup優勝オッズ:212.510*
セルビアは予選では圧巻の戦いぶりを見せ、Euro 2016ベスト4のウェールズや、タレントぞろいのオーストリアと同組のグループをトップで通過しました。
セルビアは手堅い守備で知られ、さらにBranislav IvanovicやAleksandr Kolarovの経験に頼ることもできます。
特にセンターミッドフィルダーには、大会の大半のライバルたちが羨むほどの有能なプレイヤーを抱えています。このエリアを率いるManchester UnitedのNemanja Maticは、Chelseaでの活躍もあって、サッカーファンには馴染みのプレイヤーです。そこへCrystal Palaceの“ミスター・リライアブル(頼れる男)”ことLuka Milivojevicと、チームが待ち望んだ創造的ミッドフィルダー、Andrija Zivkovicが加わります。
セビリアの王冠にはまる最後の宝石は、現在の世界サッカー界でも最高レベルの才能を持つと言われる、LazioのSergej Milinkovic-Savicです。この23歳のミッドフィルダーはトップレベルの運動量と卓越したテクニックを兼ね備えた稀有なプレイヤーで、相手ディフェンスにとっては他に類を見ない敵となります。今大会を盛り上げるであろうプレイヤーの力を最大限に引き出せるかどうかは、セルビアチームにとっては比較的新顔である、Mladen Krstajić監督の手腕にかかっています。
セルビアは基本的には1トップを敷き、その背後に創造的プレイヤーたちを並べて実力を存分に発揮させる、4-2-3-1のフォーメーションで戦います。このポジションにはZivkovicのほか、Dusan TadicとAdem Ljajicが名を連ねます。いずれも卓越したテクニックを誇る、敵ディフェンスをこじ開ける力を持ったプレイヤーたちです。
セルビアのストライカーの状態もまた、1月の頃に比べると期待が持てそうです。Aleksandr MitrovicはFulhamへレンタル移籍後、将来を約束された有望株だった頃の調子を取り戻しました。また、若武者Luka JoviはEintracht Frankfurtでの今シーズン、90分間で0.82のゴール期待値を叩き出し、すでにシニアレベルでも攻撃の脅威となっています。
セルビアにとっては大会経験の不足が、チームにとってのマイナス要因となるかもしれません。セルビアにとっては幸いなことに、初戦の相手はグループ最弱国のコスタリカです。楽な形で大会へ入っていくには、これ以上ない日程と言えるでしょう。この試合に勝利すれば、スイス戦で勝ち点を挙げることによって、ブラジルとの厳しい最終戦を前にグループリーグ突破争いの好位置につけることができます。
こうしたすべての前向きな要素と、日程面での優位性を考慮すれば、セルビアのグループステージ突破へ賭けることは、彼らの能力をもってすれば、このレベルでの経験不足はカバーできると考えているベッターにとっては、価値のあるベットになるかもしれません。
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