32チームが、ロシアで今年開催されたワールドカップに参加しました。数多くの国内リーグの選手たちが700人以上、4週間の大会中に行われた試合に参加しました。その選手たちの多くがほとんど休むことなく、国内リーグの新シーズンを迎えています。
一部のリーグ(例えばMLSと中国サッカースーパーリーグ)はワールドカップ中も開催されます。その年の後半まで開始しないリーグもありますが、欧州のトップ5のリーグ(プレミアリーグ、セリエA、ラリーガ、リーグアン、ブンデスリーガ)はすべて8月に始まります。ここから疑問がわいてきます。ワールドカップはサッカーの国内リーグにどんな影響を与えるのでしょうか?
選手たちは疲労を抱えているでしょうか?
オフシーズンの国際試合から戻ってくる選手を持つクラブの主な悩みは疲労です。一部のリーグはシーズン半ばに休みを設けている(プレミアリーグは上記の欧州リーグで唯一休みがない)にもかかわらず、選手は6週間にわたって身体的な負担にさらされることになります。
ほとんどの国は、国内シーズンの最後の試合から2週間以内にワールドカップの準備を始めます。そうした国内最後の試合の大多数は、欧州のサッカーシーズンの一番最後の試合(チャンピオンズリーグの決勝)より前に行われます。
選手たちはワールドカップの開始前に3週間のトレーニングを行い、4週間以内に最多で7試合をプレイするとすれば(6週間の休息期間を完全に打ち消しています)、まさに疲労の影響が問題となります。
この記事では、主にプレミアリーグのデータを分析します。以下は、2018年のワールドカップで最も身体的に負担があったプレミアリーグの上位10選手の内訳です。
プレミアリーグの選手がワールドカップでプレイした時間(上位)
選手
|
クラブ
|
プレイした時間(分)
|
John Stones
|
Manchester City
|
645
|
Harry Maguire
|
Leicester City
|
645
|
Kieran Tripper
|
Tottenham Hotspur
|
580
|
Harry Kane
|
Tottenham Hotspur
|
573
|
Kevin De Bruyne
|
Manchester City
|
540
|
Jan Vertonghen
|
Tottenham Hotspur
|
540
|
Paul Pogba
|
Manchester United
|
539
|
Jesse Lingard
|
Manchester United
|
527
|
Eden Hazard
|
Chelsea
|
518
|
Romelu Lukaku
|
Manchester United
|
476
|
プレミアリーグの選手がワールドカップで走行した距離(上位)
選手
|
クラブ
|
走行距離(km)
|
John Stones
|
Manchester City
|
69.1
|
Jesse Lingard
|
Manchester United
|
67.8
|
Kieran Trippier
|
Tottenham Hotspur
|
67.6
|
Kevin De Bruyne
|
Manchester City
|
65.4
|
Harry Maguire
|
Leicester City
|
65.1
|
Harry Kane
|
Tottenham Hotspur
|
62.7
|
Paul Pogba
|
Manchester United
|
58.2
|
Eden Hazard
|
Chelsea
|
56.9
|
Jan Vertonghen
|
Tottenham Hotspur
|
55.4
|
Christian Erikson
|
Tottenham Hotspur
|
51.8
|
これらの各選手の統計はチームごとに分けると、もっと興味深いものになります。
プレミアリーグの選手がワールドカップでプレイした時間と走行距離(上位)
チーム
|
プレイした時間(分)
|
走行距離(km)
|
Tottenham Hotspur
|
4,816
|
515.2
|
Manchester City
|
4,583
|
511.3
|
Manchester United
|
3,956
|
404.7
|
Chelsea
|
3,584
|
337.6
|
Liverpool
|
2,094
|
229.9
|
Leicester
|
1,972
|
190.0
|
Arsenal
|
1,820
|
184.5
|
チームのパフォーマンスはワールドカップの前後で変化するでしょうか?
今年のワールドカップには、87人のプレミアリーグの選手が参加しました。この表には、各チームの代表選手の数が記載されています。
ワールドカップに出場したプレミアリーグの各チームの選手数
チーム
|
代表選手の数
|
Manchester City
|
16
|
Manchester United
|
12
|
Tottenham Hotspur
|
12
|
Arsenal
|
8
|
Leicester City
|
8
|
Liverpool
|
7
|
Southampton
|
4
|
Everton
|
3
|
Huddersfield
|
3
|
West Ham
|
3
|
Brighton
|
2
|
Burnley
|
2
|
Cardiff
|
2
|
Wolves
|
2
|
Crystal Palace
|
1
|
Fulham
|
1
|
Watford
|
1
|
Bournemouth
|
0
|
Newcastle United
|
0
|
エリートチームほど主要な国際サッカー大会に多くの選手を送り込んでいるので、次のシーズンの開始時に他のチームよりも疲労の影響を受けることが予想されます。
ワールドカップのような大会が国内シーズンのチームに与える影響を数値で表すために、大会前のシーズン最後の10試合とトーナメント後のシーズン最初の10試合の平均得点を比べ、代表選手の数が平均より上か下かでチームを分けます。
下記の表は、過去5回のワールドカップ前後の平均得点の差から、プレミアリーグチームのパフォーマンスを比べています。
-
|
ワールドカップ前後の平均得点の変化
|
ワールドカップ
|
代表選手数が平均以上
|
代表選手数が平均未満
|
1998
|
-0.11
|
-0.06
|
2002
|
-0.22
|
+0.16
|
2006
|
-0.25
|
+0.04
|
2010
|
-0.12
|
-0.13
|
2014
|
-0.13
|
-0.03
|
この分析には多数の注意事項が伴います。代表選手の平均人数は各国のチームの選手数に基づくもので、ワールドカップの試合中に何分プレイしたかは考慮していません。さらに、平均得点はワールドカップ前後の各10試合から算出していて、相手チームの質はまったく同じとは言えません。
選手たちはトーナメント前に3週間のトレーニングを行い、4週間のうちに最多で7試合をプレイするので、疲労の影響が問題となります。
複数のシーズンを比較するのと同じように、夏の休暇中にたくさんの変化が起こりうることを考慮すべきです(チームはマネージャーを変えたり、新しい選手と契約したりするかもしれません)。また、これからプレイするシーズンの開始時とすべてが終わってしまったシーズン終了時のモチベーションの変化も考慮する必要があります。
結論を出すにはさらなる調査が必要になりますが、ワールドカップへ参加した選手数が平均以上いるチームのパフォーマンスが新シーズンにやや低下しているらしいことは、興味深いと言えるでしょう。
ワールドカップは国内リーグ前のチームにメリットがあるか?
疲労を抱えてワールドカップから戻ってきて、シーズン前の準備期間に休みを必要としている選手にはネガティブな印象がありますが、オフシーズン中にずっとプレイすることには良い点もいくつかあります。
ワールドカップに出場した選手は今にも「燃え尽き」そうな状態(肉体的疲労)かもしれませんが、休み期間中に運動レベルを落とすのとは対照的に、継続的な身体活動によって少なくとも運動レベルを維持することができます(ただし燃え尽きの影響は、ほぼ休みがない状態でシーズンが進むにつれ出てくるかもしれません)。
ワールドカップ期間中の試合も、選手が新たな国内シーズンに向けて調子を維持したり、上げていくことにつながります。Golden Ball(大会最優秀選手)やGolden Boot(得点王)などの個人の賞ではなく、大会のデータを詳しく見ると、試合で活躍し、次のプレミアリーグシーズンに良い調子を持っていけそうな選手を見つけることができます。
ワールドカップで活躍して、プレミアリーグのシーズンの開始までその調子を維持していた選手はわずかでした。Paul Pogba、Kevin De Bruyne、Eden Hazard、Kieran Trippier、John Stones、Harry Maguireは全員、2018年のワールドカップでチャンスを作り、攻撃や防御に参加して活躍しました。
つまり、ワールドカップがプレミアリーグでのパフォーマンスに与える影響を判断するのは難しいということです。一部の調査は、ワールドカップでの代表選手数が平均より多いチームのパフォーマンスがやや低下することを示していますが、検討しなければならない注意事項やその他の外部要因が多すぎます。
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