Premier Leagueが新シーズン開幕を迎えた週末、Antonio Conte、Jose Mourinho、Pep Guardiolaはそろって勝利でスタートを切り、それぞれのチームに権威を見せつけています。この記事では、今シーズンのPremier Leagueタイトル獲得に向けたそれぞれの可能性を吟味していきます。
Manchester UnitedとJose Mourinho
UnitedがアウェーでBournemouthに3-1で勝利しましたが、この結果はいつも通りと言ってよく、Dean CourtでMourinhoの功績としてそれほど評価されることはないでしょう。ホームチームを圧倒したMourinho率いるUnitedは、Louis van Gaal前監督の頃と比べて、2016/17シーズンは遙かに自信や落ち着き、冷徹さを備えたチームとなりそうです。Mourinhoがシーズン開幕戦を落としたことがないというのは、驚くには値しません。
Wayne RooneyとZlatan Ibrahimovicは、一方が上がるときはもう一方がとどまる形でたびたびポジションを交換し、うまく連携をとっていました。この二人の連係プレーで攻撃のビルドアップはゴールに向かう勢いとスピードを増し、Unitedファンを大いに勇気づけました。
Mourinhoは2004~2014年のPremier Leagueにおいて、ホームで77試合無敗という最長記録を打ち立て、今もその記録は破られていません。
Mourinhoは守備的な監督だと思われがちですが、それは単に、テレビ視聴率の高い大一番では消極的な戦術をとることに起因しており、そのせいで彼の戦術に対する認識がゆがめられているのです。実際、Mourinhoはこれまで率いてきたどのクラブでも、ファーガソンのような攻撃的サッカーを生み出してきました。Real Madridを指揮した3年間には、Bernabeuで326ゴールを記録しています。
Unitedはこの開幕戦で3得点を挙げましたが、昨シーズンは1試合で3得点したのはたったの7回です。Wayne Rooneyが得点できたのはキャプテンである彼の力を最大限活かす方法をMourinhoが知っているからであり、それなくして、このチームの創造性が他チームを脅かすことはないでしょう。
また、Mourinhoのチームがアウェーでこれほどの圧勝劇を演じたという事実は、今シーズンの優勝争いに絡む可能性が大いにあることを示しています。このポルトガル人の指揮官は、ホーム77戦無敗という最長記録(2004~2014年のPremier League)の保持者であり、Old Traffordを再び難攻不落にしてくれるのではないかという期待が広がっています。率直に言って、アウェーゲームでの勝利は大いに勇気を与えてくれるものです。
攻撃的なサッカーを実践し、ホームでの並外れた強さを誇るMourinhoが最初の段階で示した兆候は、Alex Ferguson時代の栄光を取り戻す可能性を期待させます。彼の勝率(66%)はFergie(65%)よりもやや高く、Bournemouthのパフォーマンスが平常だったと考えれば、さらに良くなるでしょう。
現在、Manchester Unitedの優勝オッズは3.90*です。
Manchester CityとPep Guardiola
キャリアを通じて勝率74%という驚異的な数値により、Guardiolaはサッカー界で最も切望される監督となっています。Sunderland戦での辛勝を見れば、美学を重んじるという世間の評判に反して、彼が泥臭く勝つ術を知っていることがうかがえます。1シーズンで平均95得点という彼の記録が今後も続くかどうかについて、Cityファンはようやく楽観的になれるでしょう。
Guardiolaの他では見られない自由な戦術は、すでにイングランドで耳目を集めています。サイドバックのBacary SagnaとGael ClichyをセントラルMFとして起用するシステムは、Bayern Munich時代にDavid AlabaとPhilip Lahmを使ってやっていたのと同じですが、イングランドの多くのファンにとっては目新しいものでした。
Premier Leagueで得点を積み重ねるのは至難の業ですが、彼の意外性ある手法は大いに役立つでしょう。今回はSagnaとClichyが中盤にショートパスというオプションをもたらし(Kevin de BruyneやDavid Silvaが前線のスペースに侵入しやすくなる)、Sunderlandからのカウンター攻撃を抑制する効果もあったのです。
Raheem SterlingとNolitoにとっては、タッチライン際に貼り付き、スペースに走りこむプレーがしやすくなるため、これは非常にメリットのあるシステムでしょう。遅攻スタイルを用いたManuel Pellegrini前監督の下では試合で存在感をなくすことの多かったSterlingですが、Pep新監督のCityではゲームメーカーたちが素早く動き回るため、そこから生まれたスペースで活躍できるでしょう。
また、開幕1週目にして、Pellegriniには見られなかった非情さもGuardiolaは備えていることが垣間見えました。Yaya ToureとJoe Hartをレギュラーから外したことは、彼の戦術的ビジョンが一貫していることの表れであり、平均19試合で1タイトルを獲得してきたこのスペイン人指揮官の一端を示しています。
現在、Man Cityの優勝オッズは3.47*です。
ChelseaとAntonio Conte
Antonio Conteが持つ粘り強さや不屈の意志は、Stamford Bridgeでもさっそく発揮されました。試合終盤でDiego Costaが決めたゴールに、Conte監督の決してあきらめない姿勢が表れていたのです。このイタリア人指揮官がSerie AでJuventusを率いていた頃、49戦無敗を記録したのもうなずけます。
Chelseaの守備の強さは特筆もので、West Hamの枠内シュートはわずか3本にとどまりました。Conteの戦術はこの守備力を土台とし、電光石火のごとくサイドを駆け上がるカウンター攻撃を重視しています。Eden Hazardは目覚ましい働きを見せており、彼のドリブル力はシーズンを通して幾度となくチームを助けるでしょう。
ConteがJuventus時代と同じ73%という勝率を保つのは難しいかもしれませんが、Chelseaは彼の手によって手ごわいチームに仕立て上げられるでしょう。その証拠に、Hammersとの試合でNemanja MaticとN’Golo Kanteをともに起用し、Cesc Fabregasをベンチに置いたことに注目すべきです。
現在、Chelseaの優勝オッズは6.93*です。
*オッズは変更される場合があります