スポーツチームのパフォーマンスは、アウェーやニュートラルのグラウンドよりもホームにおいて高くなることが通説です。これは1888年以来のサッカーリーグ全シーズンを見ても明らかで、シーズン中にホームチームはアウェイチームよりも多くの得点を決めています。
どのチームも遠征先よりホームで好成績を出すことを統計が示している一方、万能なホームフィールドアドバンテージのハンディキャップを作り出すことは不可能です。これはホームフィールドアドバンテージが他よりも大きくなるサッカーチームが存在することで本質的なアンバランスが生じているためです。(こちらをクリックするとプレミアリーグの詳細なHFA分析に移動します)
データの関連性
パンターは、どのデータに関連性があると感じるかも考慮に入れる必要があります。例えば、別のスタジアムにいたアーセナルの2005年以前の形態も考慮するべきでしょうか。裕福なオーナーが購入した後にHFAが著しく増加したチェルシーやマンチェスター・シティはどうでしょうか。
サッカーにおけるホームフィールドアドバンテージの計算方法
HFAを計算するには、シーズン当たりにホームで決めた得点数(HF)からホームでの失点(HA)を引いた数値を取り出します。次にそのシーズンでプレイしたホームゲームの数(19)で割ります。
HFA=(HF-HA)÷19
アジアンハンディキャップでホームフィールドアドバンテージを利用する
この情報はアジアンハンディキャップのベッティングにおいて特に重要です。あるチームのホームハンディキャップがホームフィールドアドバンテージ以下になっている場合、これは賢明なベットになるかもしれません。ただし、これはバランスの取れたベッティング戦略において考慮すべき数ある要因の一つに過ぎません。
ホームフィールドアドバンテージへの影響
ホームクラウド
ホームクラウドによるHFAへの影響には注意する必要があります。アンフィールドは、アウェーチームにとって急変しやすい空気を作ることで知られていますが、これはパフォーマンスの振るわないホームチームに悪影響となるでしょうか。
2013/14年シーズン以前では、リバプールはクラブの規模にそぐわない7位、6位、8位、7位でシーズンを終了しました。リーグの形勢が良くない中、リバプールはリーグ順位がトッテナムよりも下であったにもかかわらず、HFAは1シーズンを除いた全シーズンで上回っていました。 これはリバプールのホームパフォーマンスが他チームよりも強くHFAに影響されたことになるでしょうか。
スタジアムへの馴染み
アーセナルは2006年シーズンにハイベリーからエミレーツ・スタジアムに移転しましたが、HFAの活用に失敗しました。
移転前には、アーセナルは1997/98年に勢力を伸ばして2005年シーズンの終了までに5つのプレミアリーグトロフィーを獲得しました。この期間中、チームの平均HFAは1.51でした。
エミレーツ・スタジアムへの移転以来、アーセナルはFAカップに1度優勝した一方で平均HFAは1.23に下がりました。
スタジアム移転の影響は、移転前後のシーズンを考えたときには大きくなります。この2つの年の間にアーセナルのHFAは0.42下がりました。
ただし、アーセナルの過去6シーズンを見ると、HFAは少しずつ上昇しており、エミレーツ・スタジアムが「ホーム」になりつつあることが分かります。
これが示しているのは、チームに馴染みある「ホーム」グラウンドから移転する際、選手が新しい環境に順応しなければならないためにパフォーマンスが落ちるという点です。
サッカーのスタイル
チームが採用するサッカーのスタイルはどれほど重要でしょうか。例えば、リバプールのHFAは、マネージャーが同じで編成が類似していたにもかかわらず、2012/13年の0.89が2013/14年に1.84まで上昇しました。
主な違いは、マネージャーのブレンダン・ロジャーズ氏がより攻撃的な方針をとり、ゴールの機会が増えたことで、HFAが1試合当たり1点近い上昇になったことです。
審判
サッカーにおけるHFAに影響を与える要素に関して多くの先入観があります。観客数や遠征、天候は過去に挙げられた例です。
『Scorecasting』の著者であるモスコウィッツ氏とヴェルトハイム氏は、データをまとめてよく聞かれるこれらの通説を検証しました。そこで発見したのが、最も大きな影響は審判であるということです。ホームチームが審判からやや有利な扱いを受けていたことを発見しました。
この偏向は意識的に行われるのではなく、人間として観客の生の感情を吸収し、声の大きい側に傾いた判定を無意識的に行うことがあると著者らは明らかにしています。
また、ハーバード大学の研究助手であるライアン・ボイコ氏は、ホームフィールドアドバンテージへの影響の証拠を追究しました。
ボイコ氏は1992~2006年のプレミアリーグ5,000試合を検証し、ホームチームに対する審判の偏向を明らかにしました。
結論として、ホームチームのサポーター1万人に対してホームチームのアドバンテージが0.1点上昇しました。
また、ホームチームは特に経験の浅い審判からペナルティを受けやすいこともこの研究で示されました。したがって、試合結果を予想する際には、審判プロファイルを蓄積することも重要です。