UFCイベントは一貫してMMAベッティングのメインイベントであり、このスポーツの最強レベルのファイターが大々的に報道される試合で対戦し、時にはタイトル獲得をかけて互いに挑戦し合います。あるファイターが対戦相手に対して本命となるオッズは数多くの要素から導くことができますが、その本命のファイターが試合前の予想どおり勝利を収める頻度はどのくらいでしょうか?
UFCの試合で本命を決める方法は?
すべてのUFCイベントのすべての試合について、Pinnacleではその試合の勝者を予想するマネーラインマーケットをご用意しています。このマーケットでの本命を決定(実際にはどの程度優勢なのかを決定)するには、多くの場合、調子、格闘スタイル、階級でのランキング、体格など、複数の重要な指標で2人のファイターを評価する必要があります。
試合前の予想には外部の要因も影響します。例えば、一方のファイターにその試合でのホームアドバンテージがあるかどうか、試合のために遠征が必要だった場合はいつ移動したか、負傷歴、各ファイターのトレーニングおよびコーチングスタッフの最近の変更などがありますが、これらに限りません。
この記事で使用するサンプルのサイズ(詳細は以下で説明しています)では、UFCの試合前に本命に割り当てられたクロージングオッズによる平均の予想勝率が62.43%でした。これは一般的には、本命が勝利しそうなことが明らかではあるが圧倒的と言えるほどではない、ということを示唆しています。
本命を選択することが常に有効なUFCベッティング戦略か?
この記事では、2021年2月27日のFight Night 186から2019年12月14日のUFC 245までさかのぼって、50回のUFCイベントでの558試合それぞれについてPinnacleのクロージングオッズを照合しました。各試合の本命を、クロージングオッズによって決まる予想勝率にしたがってグループ分けしました。
UFCの試合における予想勝率別の本命の勝率
クロージングオッズでの本命の予想勝率 |
本命の勝率 |
80+% |
84.62% |
70.00-79.99% |
72.87% |
60.00-69.99% |
64.53% |
50.01-59.99% |
60.55% |
全体 |
66.31% |
上の表で詳しく示したように、この期間のUFCの558試合中370試合で本命が勝利しました。つまり勝率が66.31%で、ほぼ3分の2です。注目していただきたいのは、この勝率がベッティングマーケットの予想である62.43%よりも約4%高いということです。
これは、次の例外を除いて、本命がおおむねクロージングオッズによる予想勝率どおりの成績を収める傾向にあったためかもしれません。予想勝率59.99%以下で試合に臨んだ本命は60.55%の勝率を残し、結果的にベッティングマーケットの予想を辛うじて超えました。
全体的に見るとこれらのスタッツから、UFCの本命のクロージングオッズによる予想勝率と、実際に試合に勝利する頻度はある程度比例関係にあるようです。さらに、Pinnacleのオッズによって、UFCの試合で本命が勝利する正確な予想確率についての適切で包括的な評価基準が提供されている証しでもあります。これは、Pinnacleのマージン計算機がMMAのマネーラインベッティングに特に役立つツールであると証明できることを示唆しています。
しかし、これが実際にどれほど損益につながるかに関しては疑問が残ります。UFCで100試合開催され、そのうち66試合で本命が勝利し、本命のクロージングオッズによる平均予想勝率がブックメーカーの3%のマージンを含めて前述のとおり62.43%であると想像してみてください。これは、本命のクロージングオッズが1.555、アンダードッグのクロージングオッズが2.584ということを意味します。
この条件では、100試合それぞれに€10ずつベットすると、利益の合計がわずか€26.30です。このことから、本命はUFCで高い勝率を残す傾向があるが、ベッティングマーケットでファイターが勝利する可能性が完全に過小評価されたケースをかたくなに見つけようとすることがベッティングの動機になると示唆されます。
UFCの本命が勝利する頻度は特定の階級で高くなるか?
使用するスタイルも戦う階級も異なる多種多様なファイターをまとめてグループ分けしているため、包括的な比較により誤解を招く可能性があるという事実から、上記の表は本質的に実用的ではありません。
この点を考慮して、以下では同じデータを使用してUFCの階級ごとに本命の勝率をまとめています。
UFCの試合における階級別の本命の勝率
階級 |
試合数 |
本命の勝率 |
女子フェザー級 |
3 |
100.00% |
フライ級 |
27 |
77.78% |
バンタム級 |
59 |
74.58% |
ウェルター級 |
60 |
71.67% |
女子ストロー級 |
28 |
71.43% |
女子バンタム級 |
23 |
69.57% |
ミドル級 |
55 |
69.09% |
ヘビー級 |
51 |
68.63% |
全体 |
558 |
68.31% |
ライトヘビー級 |
40 |
65.00% |
ライト級 |
52 |
63.46% |
キャッチウェイト |
54 |
61.11% |
女子フライ級 |
38 |
60.53% |
フェザー級 |
68 |
60.29% |
女子フェザー級の対戦を除くと(サンプルのサイズが小さすぎるため本当の意味で役に立たない)、本命の勝率はフライ級で最高(77.78%)、フェザー級で最低(60.29%)でした。とりわけ、フライ級はUFCの男子の階級の中で、チャンピオンとなったファイターの数が最も少なく(3人)、おそらくそのために、最も競合率の低い階級であることも示唆されています。
しかし、特筆すべき重要な点は、階級によって本命の勝率がかなり異なるということです。実際、フライ級の本命は、キャッチウェイト、女子フライ級、フェザー級の試合の本命よりも15%超高い勝率を誇っています。
当然、ベッティングの観点から見ると重要な動機となります。前述の架空の実験で、フライ級の100試合にベットを行って、そのうち78試合で本命が勝利すると想定すると、利益の合計はかなり期待の持てる€212.90となります。
一方、フェザー級の100試合にベットを行って、そのうち60試合で本命が勝利すると想定すると、利益すら発生せず、代わりに€66の損失という結果になります。
これによって明らかになるのは、UFCベッティングの重要な側面が試合に伴う階級の特定の力学とその衝撃的な傾向を考慮することだ、ということです。実際、ある階級のチャンピオンとランキング15位のファイターとの質の差は、別の階級と比較してかなり大きい可能性も、拮抗している可能性もあります。
また、頭に入れておいた方が良いこととして、まれに、UFCファイターは体重などの階級の変更を決めることがあり、これによってそのファイターが試合に勝利する可能性をブックメーカーが評価することが難しくなります。その結果、ファイターが新しい体重別クラスでどのような戦いを見せるか正確に予想されなければ、試合前のベッティングマーケットで特に過小評価または過大評価されることがあります。
本命がUFCのタイトル戦で勝利する頻度は?
おそらく、このベッティングで考慮すべき最後の大きな問題は、UFCの全試合中最も重大な試合、つまりタイトル戦で本命が勝利する頻度です。
558試合を分析すると、24試合がタイトル戦で、そのうち20試合で本命が勝利し、勝率は83.33%でした。24試合中、ディフェンディングチャンピオンは本命だった14試合のうち12試合で勝利した一方、挑戦者はオッズで優勢だった10試合のうち8試合でベルトを獲得しました。
Fight Night 186までの50回のUFCイベントでは、24試合のタイトル戦のうち20試合で本命が勝利しました。
タイトル戦は、ベルトを掴むチャンスを与えられるだけの素晴らしい調子を見せている挑戦者をディフェンディングチャンピオンが迎えて互角の勝負となるように意図されているため、本命の勝率が驚くほど高いとみなされることは間違いありません。
考えられる理由としては、UFCの現在の勢力図で、特に絶対的なチャンピオンと、ベルト保持者がコンスタントに変わる非常に競争の激しい階級とのバランスが取れているためです。Amanda Nunes、Valentina Shevchenko、Kamaru Usmanなどのファイターは、それぞれの階級の最高のファイターとして多くの人から崇拝されているため、当然のことながらオクタゴンに入るときは常に大本命と思われています。
UFCの12階級のうち他の9階級では、2019年の初め以降に少なくとも1回はベルト保持者が変わっており、挑戦者がディフェンディングチャンピオンを倒して勝利することは、前代未聞とはほど遠く、ファイターの個人的な名声はオッズではあまり意味がありません。
全体としては、UFCの試合の本命がほとんどの場合に勝利すると信頼することができますが、どの程度信頼できるかは、その試合をどの角度から分析するかによって異なります。
多くの他のスポーツと同様に、本命に関するスタッツや勝利する頻度は予想に役立つ情報ですが、オッズから価値を見出そうとする第一の目的の重要性に変わりはありません。