スポーツベッティングにおける小さい数の法則

小さい数の法則とは?

グラフはなぜミスリードを招くのか?

認知バイアスによる損失を回避するには

スポーツベッティングにおける小さい数の法則

小さい数には、認知バイアスの法則があります。すなわち、人は比較的小さい数を観たときに、これには母集団がよく反映されていると思いこむ傾向があるのです。これから紹介する病院のクイズを使って、あなたの論理力を試してみましょう。グラフがいかにミスリードを招くか、また、ベットに統計を利用する際にどうすれば損失を回避できるか、お教えします。 

病院のクイズ

1974年にDaniel KahnemanとAmos Tverskyという2人の心理学者が、実験の被験者に次のようなシナリオと質問を行いました。ある町に2つの病院があります。大きい方の病院では1日に約45人の赤ちゃんが生まれ、小さい方の病院では1日約15人生まれます。

知っての通り、赤ちゃんのうちおよそ50%は男の子です。しかし、正確な割合は日によって違うのです。50%を上回ることもあれば、下回ることもあります。それぞれの病院で1年間にわたり、生まれた赤ちゃんのうち60%以上が男の子だった日を記録しました。男の子が多かった日の記録が多かったのは、どちらの病院だと思いますか?

  •        大きい方の病院
  •       小さい方の病院
  •       ほぼ同じ(5%以内の差)

2項定理に従えば、単純に出生率の変動がより大きいことから考えて、男の子の出生数が女の子より6~4人多い日は、大きな病院より小さい病院の方が3倍近く多いはずです。サンプルのサイズがより大きければ、50%から大きく離れる可能性が低くなります。しかし回答者のうち、正解できたのはたったの22%でした。

ヒューリスティックスとは?

KahnemanとTverskyはこの間違いを、小さい数の法則に対する思い込みだと説明しました。一般的な言い方をすると、小さいサンプルから導かれる判断は、より大きな母集団を表していると誤解されることが多いのです。たとえば、ランダムに分布しているように見える小さいサンプルの場合、サンプルの抽出元であるより大きな母集団もやはりランダムに分布しているはずだという思い込みを補強してしまうでしょう。 

病院のクイズ:より大きなサンプルならば、50%から大きく離れる可能性が低くなります。しかし回答者のうち、正解できたのはたったの22%でした。

逆に言えば、意味ありげなパターンを示す小さなサンプル(コインを10回放って9回表が出るなど)は、それを見た人に、母集団にも同じように意味ありげなパターンが表れているはずだと信じ込ませてしまうでしょう。この場合、コインは偏っていると思いこんでしまうのです。ランダムなパターンや、無意味なデータを認識する経験のことを、アポフェニアと言います。

人は不確実性の中で判断を下すときに知的ショートカットを用いますが、そのショートカットの大きなグループの一部が、小さい数の法則に対する思い込みなのです。KahnemanとTverskyは、これらのショートカットをヒューリスティックスと呼びました。小さい数のサンプルを一般化することは、代表制ヒューリスティックスの一例です。すなわち、人がある出来事の確率を評価するとき、前に起きた似たような出来事が頭に浮かびやすく、これを一般化したものだけを根拠に評価するというものです。

その他に代表制ヒューリスティックスの例としては、ギャンブラーの誤信があります。実際に、こうしたバイアスは、小さい数の法則に対する思い込みから生じます。KahnemanとTverskyはこう言っています。

ギャンブラーの誤信の核心にあるのは、チャンスの法則が持つ公平性を見誤ることだ、と。ギャンブラーは、コインの公平性によって、ある方向に逸脱しても、すぐにそれに対応する別の方向への逸脱が起こって打ち消されることを期待していいのだと考えます。被験者は、ランダムなシーケンスのすべてのセグメントが、真実の比率を反映しているはずだと思いこんで行動します。シーケンスが母集団の比率から逸脱したら、別の方向から強制バイアスが働くだろうと期待するのです。

異なるサイズのサンプルのグラフを読み解く

スポーツベッターは特に、小さい数の法則に対する思い込みから、誤ったパターン認識に陥りやすい傾向があります。賭けの小さいサンプルに対して、これがランダム性からの脱却を示していると考えて採算性を見誤り、予測能力によって得られる確証が、長期間においては良くない財政結果を生む場合があります。下記のNFLポイントスプレッドの賭けを100回記載したチャートで、採算性についての仮説を考えてみましょう。それぞれのベットは、1.95に設定されています。これは見事ですよね?

 gr-small-numbers-1.jpg

この記録が有名なアメリカのスポーツハンディキャッパーによるものだと言ったら、どう思いますか? まずまずの成長傾向と15%の利益があれば、信じてしまうのも無理はありません。もちろん、私はウソをついています。実際は、1,000の賭けを記載した下記のチャートを見れば、大局が見えてきます。

gr-small-numbers-2.jpg


長期的な採算性など、本当はなかったのです。なぜなら、これは個々の勝率を50%とする乱数発生器によって生み出されたにすぎず、
利益期待値は-2.5%です。1つ目のチャートは単に、2つ目のチャートの賭けのうち初めの100個を記載しているに過ぎません。

しかし、2つ目のチャートの長期的な時系列でも、数百の賭けに対して健全な採算性が保たれていました。さらに、全体的な損失を示していても、時系列のパターンはランダムではなく、むしろ一貫性のある波のように見えます。

しかし、KahnemanとTverskyは、私たちが似た結果のシーケンスを見た場合、その背後に隠れたメカニズムがなかったとしても、非ランダムとして認識する可能性の方がずっと高いことを知っていました。下記の2つの2進シーケンスでは、どちらがランダムで、どちらが非ランダムに見えるでしょうか?

0, 0, 0, 0 1, 1, 1, 1, 0, 0, 1, 1, 0, 0, 1, 1, 1, 1, 1, 1
 
0, 1, 1, 0, 1, 0, 0, 0, 1, 1, 0, 0, 1, 0, 1, 0, 0, 1, 1, 1

 

大多数の人々が、2つ目のシーケンスを選ぶと思われます。実際は、1つ目のシーケンスはExcelでランダムに作成したもので、2つ目は私が意図的に1と0から成るより短いシーケンスで作成しました。こうしたランダムシーケンスを作成するよう頼まれた場合、1か0のどちらかが多く出すぎていると感じたら、多くの人は1を0に、または0を1に変えます。

では次の、1,000回の賭けを記載したチャートを見てみましょう。すべてランダムに生成したものです。大きな範囲で起こりうる結果を見ると、意味ありげに見えるパターンによっていかに人が騙されやすいかを感じるでしょうl。


gr-small-numbers-3.jpg
これは100回の賭けではなく、あくまで1,000回の賭けを並べたものだということにご注意ください。中央の範囲を見てみましょう。専門の予想屋やベッターが、ベッティングのシーケンス全体を通して5%の利益と堅実な利益成長を得られるデータであり、最高のハンディキャッパーが長期にわたって達成するようなパフォーマンスです。それでも、これは偶然に過ぎません。

二項分布を使って、-2.5%が予想される中で一定期間ベッティングしても利益を出せる確率を割り出すことができます。

賭けの数(オッズ1.95、50%の勝率)

最低限必要な勝利数

利益を出せる確率

100

52

38.22%

250

129

32.90%

500

257

28.05%

1000

513

21.46%

2500

1283

9.68%

5000

2565

3.40%

10000

5129

0.51%


単にランダムなベッティングであっても、1,000回の賭けを行えば5回中1回以上は黒字が出せる計算になります。NFLのすべての試合で1回ずつハンディキャップベットを行えば、4シーズン近くかかるでしょう。これは、ツキだけが理由ではないと信じるには十分な時間です。

小さいって一体どれくらい?

小さい数には、認知バイアスの法則があります。すなわち、人は比較的小さい数を観たときに、これには母集団がよく反映されていると思いこむ傾向があるのです。さらに、今回のエクササイズで見られたように、小さくてもきわめて大きい影響を持つことがあります。なぜなら人が好むのは、疑念よりも確実性、無知よりも説明、関連よりも因果関係、ランダム性よりパターン、運よりもスキル(特に利己的なスキル)だからです。スポーツベッターなら、その重要性を正しく評価しなければ高い代償を支払うことになりかねません。 

ベッティングリソース - あなたのベッティングをパワーアップ

オンライン最高クラスの充実度を誇るピナクルのベッティングリソースでは、専門家によるベッティングのアドバイスをご覧いただけます。ベッティング経験の長さを問わず、ベッターの皆様がパワーアップできる知識をお伝えすることが目的です。