パート2: ベッティングに魔法の方程式はあるか?

ベッティングモデルの構築に予想ゴール数をどのように使うか

予想ゴール数を使ってブックメーカーを打ち負かすことはできるか?

モデルの構築から何を学ぶことができるか?

パート2: ベッティングに魔法の方程式はあるか?

応用数学の教授であるDavid Sumpter氏は、この記事のパート1で、低価格ドローを基にしたベッティングモデルを構築する方法について説明しました。パート2では、予想ゴール数を使ってブックメーカーのオッズに対抗する方法を説明します。果たして、そのようなことができるのでしょうか。答えを知りたければ、ぜひご一読ください。

予想ゴール数: 概要

この数年の間、最も注目を集めているサッカーのモデルは予想ゴール数です。予想ゴール数の基になっているアイディアは、チャンスの質を測定するというシンプルなものです。

選手が6ヤードのボックス内からシュートをした場合、私たちには、同じ選手が30ヤードの距離からシュートを打ったときよりもチャンスがあるということが直感的に分かります。予想ゴール数は、私たちの直感を確率へと変換したものです。毎回のチャンスにはゴールになる確率が割り振られます。

予想ゴール数について説明した資料は多数ありますが、ここで私が強調しておきたいのは、このモデルで最も重要な点は間違いなく、シュートがどこから打たれるかということです。

下記の図で、ゴールから飛散しているバルーンを見てみてください。これらのバルーンは、バルーン内でチャンスが発生した場合の得点の可能性を示しています。場所が図に表示されているより遠い場合、チャンスは約3%です。

magic-formula-part-two-in-article-1.jpg

この情報を基にして、試合を見ながら自分のチームについて独自の予想ゴール数モデルを作ることができます。各バルーン内のチャンスを数えるだけでよいのです。

30%のバルーン内で2回、15%内で1回、7%のバルーン内で5回のチャンス、そしてバルーンの外側で10回のチャンスがあった場合、予想ゴール数は次のようになります。

2×0.30 + 1×0.15 + 5×0.07 + 10×0.03 = 0.855 xG

私が作成した予想ゴール数モデルは、これよりは少々複雑です。チャンスがカウンターアタックなのか、ヘディングシュートなのか、「ビッグチャンス」なのかなど、いくつかの因子が追加されています。シュートの場所に加えて、さらに情報を加えることでモデルは大幅に向上されますが、予想ゴール数のモデルを作成する場合、まずはシュートの場所から始めるのがよいということに変わりはありません。

予想ゴール数: サッカーのオッズに対抗できるか?

あらゆるベッティングモデルに問われるのは、そのモデルがオッズに対抗できるかどうかということです。パート1で述べたとおり、私はベッティングの魔法の方程式に疑いを抱いています。では、予想ゴール数はこの問題の解決になるでしょうか? 予想ゴール数によって、サッカーのオッズに対抗できるでしょうか?

この質問に答えるには、まずサッカーのオッズについて確認することから始めなければなりません。サッカーのオッズにバイアスが見つかった場合は必ず、私はロジスティック回帰という統計モデルを使うことから始めます。

magic-formula-part-two-in-article-2.jpg

回帰を使う理由は、そのサッカーのオッズが試合の結果をどの程度適切に予測しているかを確認するためです。ここでは、アウェイでの勝利の確率を確認してみるとしましょう。

そのためには、モデルをアウェイゲームでの勝利の確率に適合させます。aはアウェイでの勝利に対するブックメーカーのオッズ(少数オッズ形式であり、ブックメーカーのマージンを除去するために修正されています)であり、これは定数です。ロジスティック回帰のことがよく分からない場合は、多数あるオンラインのガイドで説明を参照できます。

ロジスティック回帰: 例

以下に示すのは、Premier Leagueの最近2シーズン(2015/16および2016/17)を対象にしたロジスティック回帰の例です。

magic-formula-part-two-in-article-3.jpg

ここで、ドットの大きさはオッズが提供された回数に比例しています。ドットが大きいほど、これらのオッズはより一般的だということです。

ここで主にお伝えしたいのは、このモデルが提案する結果ではなく、モデルの手法です。モデルを作成し、サッカーへのベッティングでお金を稼ぎたいというのであれば、開始点は常にオッズです。

これらの円が点線より下にある場合、アウェイでの勝利の確率は予想されたオッズより低くなります。これらの円が点線より上にある場合、アウェイでの勝利の確率は予想されたオッズより高くなります。

実線はこのデータに最も適合しています。この線からは、全体的なトレンドを読み取ることができます。オッズ10.0近辺に対応する予想確率0.1近辺のカーブを注意深く観察すると、このカーブが線よりわずかに上にありますが、予測されている確率は0.25を超えており、トレンドが逆転しています。

このことから、最近2シーズンはアンダードッグのチームがアウェイで勝っており、フェイバリットのチームがブックメーカーの予想オッズより頻繁にアウェイで負けていることが分かります。

評価が低すぎるアンダードッグ、評価が高すぎるフェイバリット

この2シーズンのバリューを見いだすとすれば、どのアンダードッグがアウェイで勝つかという予測、そしてどのフェイバリットがアウェイで負けるかという予測です。ここで、予想ゴール数を使用します。次のような形式で、新しいロジスティック回帰を実行しました。

magic-formula-part-two-in-article-4.jpg

xGDiffという新しい変数が追加されています。この変数は2つのチーム間における予想ゴール数の差異で、次のように、最近5試合におけるチームの予想ゴールの平均を使用して計算されています。 

magic-formula-part-two-in-article-5.jpg

このロジスティック回帰を実行した結果、アウェイで試合を行い、xGDiff差異が有利なチームが、提案されたオッズより多く勝つ可能性が高いことが分かりました。

したがって、アウェイでプレーし、xGが強いアンダードッグが、支持するべきアンダードッグだということが分かります。アウェイで試合し、xGが弱いフェイバリットには賭けない方がよいでしょう。 

ロジスティック回帰: 予想ゴール数の使用

下記は現在のシーズン(2017/18)の11週時点での予想ゴール数を示した表です。 

2017/18のPremier Leagueの予測表(11週時点)

チーム

x勝利

xドロー

x負け

x味方側ゴール

x敵側ゴール

xポイント

Manchester City

8

2

1

25.9

6

26

Liverpool

6.2

2

2.8

20.3

11.6

20.6

Tottenham Hotspur

5.7

3

2.2

15.2

7.6

20.1

Manchester United

5.8

2.3

2.9

19.4

10.7

19.7

Arsenal

5.8

2.1

3.2

18.9

12.5

19.5

Leicester City

5.5

2.5

3

17.3

12.3

19

Chelsea

4.2

3.2

3.6

11.9

10.9

15.8

Southampton

4.2

2.9

3.9

13.1

12.4

15.5

Watford

3.9

2.9

4.3

14.8

16.3

14.6

Crystal Palace

4

2.5

4.4

12.3

15.1

14.5

Everton

3.5

3.1

4.4

11.9

14.5

13.6

Newcastle

3.5

2.7

3.8

11

11.4

13.2

Brighton and Hove Albion

3.2

3

4.9

9.1

13

12.6

WBA

2.8

3.6

4.6

8.3

12.7

12

Swansea City

2.7

3

5.2

8.6

14.8

11.1

Stoke City

2.7

2.9

5.4

11

17.6

11

West Ham United

2.5

3.1

5.3

8.6

14.9

10.6

Huddersfield Town

2.3

3.6

5.1

6.5

13

10.5

Bournemouth

2.3

2.8

5.9

7.6

15.5

9.7

Burnley

1.9

2.9

5.2

5.5

14.3

8.6

ここで、モデルをテストするためにWBA対Chelseaの試合を使用します。これらのチームのxGDiffは次のとおりです。 

(8.3+11.9 - 12.7-11.9)/2 = -2.7

試合ごとでは、これは-0.25です。この記事の執筆時点では、Chelseaがa=1.62*のオッズでフェイバリットでした。xGDiff方程式(2)にこれらのオッズとxGDiffを代入すると、結果はP(アウェイでの勝利)=42%(前シーズンのデータを使用して調整したパラメーターb0=-0.49  b=0.75およびb2=0.73を使用)になります。 

したがってオッズではChelseaの勝率が62%と提案されている一方、このモデルでは勝率はもっと低くなります。Chelseaに対するベストベットは勝たないです。

予想ゴール数は、私たちの直感を確率へと変換したものです。毎回のチャンスにはゴールになる確率が割り振られます。

上記の表で目立っているもう1つの組み合わせは、Liverpoolとアウェイで戦うSouthamptonです。これらのチームのxGDiffは0.36でLiverpoolの勝ちであり、Liverpoolがフェイバリットだということです。しかしSouthamptonが勝つオッズは8.3で、12%の確率を示唆しています。 

私のモデルでは、勝つチャンスは15%です。このことから、Southamptonの勝ちにベットする価値はありますが、モデルが適切だとしても、現時点では勝つ可能性は15%のみであることを念頭に置いておく必要があります。

このモデルから分かること 

ここで主にお伝えしたいのは、このモデルが提案する結果(WBAとSouthamptonが両方とも負ける)ではなく、モデルの手法です。モデルを作成し、サッカーへのベッティングでお金を稼ぎたいというのであれば、開始点は常にオッズです。

まず、ロジスティック回帰でオッズにある不整合を見つけ、次に変数(予想ゴール数など)を取り入れてエッジを得ることができるかどうかを確認します。このエッジは小さいのですが、長期間では利益を得られる可能性があります。

David Sumpterの仕事についてさらに詳しく知りたい場合は、Twitterで@Soccermaticsをフォローしてください。

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