10 17, 2017
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パート1: ベッティングに魔法の方程式はあるか?

ベッティングマーケットで価値を見極める簡単な方法

過小評価されるドローのセオリーを検証する

ベッティングモデルを使って学べる教訓

パート1: ベッティングに魔法の方程式はあるか?

応用数学者のDavid Sumpterは自身の著書「Soccermatics」で、サッカーを分解して数字、パターン、形状に落とし込む方法を紹介しています。ベッティングモデルを作り上げた彼は今回、ピナクルに2本の記事を寄稿しました。魔法のベッティング方程式という概念について、またベッティングで優位に立つために数学がどう役立つかを考察しています。

サッカーの試合の数学的モデリングを確立することについては、ある都市伝説が存在します。数学の天才、いわばギャンブル界のEinsteinが、ブックメーカーを出し抜いてマネーを獲得するための方程式を編み出したという伝説です。この人物が教えるヒント、魔法の方程式の源を知ることさえできれば、途方もないお金持ちになれると言われています。 

去年「Soccermatics」を上梓した後、一部の人々は私が魔法の方程式を知っているのだと思ったようです。そうした人たちからツイッターや職場宛にメールが届き、何かヒントやアドバイスをもらえないかと尋ねられました。私は数学の教授であり、サッカーを研究してきました。そんな私なら秘密を知っているのではないか?と。

ベッティングマーケットで価値を見極める簡単な方法

確かに私は、著書のある章で、ブックメーカーを出し抜くことに成功しています。しかし、サッカーの試合でどちらか勝つかがわかる魔法の方程式を見つけたわけではないのです。 

私のモデルの基本は、少しも複雑ではありません。過去のパフォーマンスや、先進的なメトリクス、予想ゴール数といったものでチームの実力を測ろうとしたわけではないのです。

私のやり方は、もっとシンプルでした。オッズに注目すると、その設定のしかたにはわずかながらも重要なバイアスが含まれていることに私は気づきました。ブックメーカーやベッターは、サッカーのドローを予測するということに十分な注意を払ってきたとは言えません。 

それは、オーバー/アンダーマーケットの人気が高いせいかもしれません。ベッターがドローにベットすることを好まないせいかもしれません。真相がどうであれ、ともかくPremier Leagueのドローのオッズは適切に設定されていないことがわかったのです。

下記の図は、Premier Leagueの4シーズン(2011/12、2012/13、2013/14、2014/15)で実際にドローが起こった頻度と、ブックメーカーのオッズが示唆するドローの予測について表したものです。

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この図は大手ブックメーカー4社(ピナクルを含む)が提供するオッズをもとに作成しました。オッズを間接的な確率に変換し、ホームチームが勝利する確率とアウェーチームが勝利する確率の差に注目したのです。

実力が拮抗した2チームが対戦する場合(ホームチームが勝利する確率がアウェーチームが勝利する確率よりわずかに高い)、ドローは過小評価されます(赤いラインの上の丸)。実力差のあるチーム同士の対戦で、片方が本命となる場合(一方のチームが勝利する確率が、他方のチームが勝利する確率より大きい)、ドローは過大評価されます(赤いラインの下の丸)。 

もっとシンプルに説明しましょう。両チームがほぼ互角の場合、ドローは価値の高いベットとなる可能性があるのです。 一方のチームの実力が他方よりもはるかに上である場合は、ドローに賭けてはいけません(こういう場合はたいてい、本命にベットするのが最も賢い行動です)。

過小評価されるドローのセオリーを検証する

これは私がオッズのグラフを作成するうちに気づいたことです。この発見を活かして私はいくらかのマネーを稼ぐことができました。下記はこのモデルを使って2015/16シーズンに得た利益です。

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この1シーズンで、私の手元にあった資金は3倍になりました。実際は、シーズンを通して絶えずベットしていたわけではありません。それでも、クリスマス前には資金が2倍になっていました。

Soccermaticsを出版したのは2016年5月で、Premier Leagueが終盤に差し掛かっていた頃です。私はその後のシーズンも、自分のモデルが通用するかモニタリングを続けました。その結果がこちらです。

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あまり芳しくありません。最初の数週間はわずかながら利益が出ましたが、それ以降はシーズン終了まで横這いでした。ブックメーカーに都合が良いようにオッズが設定されている以上、マネーを失わないだけでも小さな成果だと言えます。しかし当然のことながら、ほとんどのベッターの目的はマネーを獲得することです。

ベッティングモデルを使って学べる教訓

私のモデルから学べる教訓は4つあります。

第1に、私はマネーを稼ぐ魔法の方程式を作り出したわけではありません。ベットの判断材料にするための方程式を一つ作りましたが(続きを読むか、本の第12章の脚注17をご覧ください)、この方程式はオッズを分析して導き出したものです。

私のモデルの基本は、少しも複雑ではありません。過去のパフォーマンスや、先進的なメトリクス、予想ゴール数といったものでチームの実力を測ろうとしたわけではないのです。基礎となったのは、オッズを設定する際に生まれる小さなエラーでした。

スポーツの結果を予測するために独自のモデルを作る場合、まずはオッズを元に考える必要があるのです。

第2に、私はただ運が良かったわけではありません。原型となったモデルは、その前の4年間にブックメーカーが出していたオッズと合致したものでした。私はOddsportalからオッズをダウンロードし、football-data.co.ukで自分のモデルと照らし合わせてダブルチェックしました。そこから予測を立て、翌年に応用しました。これが機能し続けたのです。

ベッティングは偶然性が高く、運の良さだけで長期間にわたって勝ち続けることも不可能ではありません。しかし、これは長期にわたって利益を出し続けられるやり方でした。

第3は、永遠に続くものなどないということです。私は自信過剰になっていた時期に、自分の本がマーケットを正すことにつながれば良いと考えていました。ひょっとするとピナクルや他のブックメーカーのトレーダーは私の本を読んで、こう思ったかもしれません。「自分たちはドローの価格を正しく設定していなかった。LiverpoolがホームでManchester Unitedと対戦する週末のオッズを見てみろ…ドローのオッズを0.1上げた方がいいな」と。せいぜいこんなところです。私のささやかなマージンは消滅したのでした。 

これは、あくまで一つに解釈にすぎません。他には、こうした互角のチーム同士によるビッグマッチでは勝ち点3を取りに行くべきだと監督たちが気付いたことです(これも私が本で言及したことでした)。こんな解釈もあります。事実を確認する術はありませんが、私が発見したバイアスはオッズから取り除かれました。 

第4の、そして最後の結論はこうです。 私がまったくの愚か者だということです。私はベッティングモデルを作成するために3か月を費やしました。勝利する方法を発見しました。しかし私は、使える手持ちの資金をすべてこのモデルに注ぎ込むことをせず、その秘訣を紹介する本を書き、結果として利益は消滅してしまったのです。

確かに、本を書いたことで報酬は得ました。サッカーについて語り、アナリストたちと交流する喜びも経験しました。しかし、マネーも得られたら良かったと思います。

サッカーの試合で結果を予測する秘密の方程式は存在しません。どんな場合であれ、オッズを考慮に入れずに成り立つ方程式はありません。スポーツの結果を予測するために独自のモデルを作る場合、まずはオッズを元に考える必要があるのです。

ベッティングマーケットに打ち勝つのは難しいというのが大多数の意見です。しかし、マーケットはちょっとしたミスを犯すこともあります。狙うべきは、そうしたミスなのです。

この記事のパート2では、得点数の予測モデルと最近のオッズに隠されたバイアスを組み合わせることで、そうした綻びの一つを見つけ出せるか検証していきます。

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