予想屋の実績が本物か確かめるには

方法1: 終わり値の検証

方法 2: ワルド・ウォルフォビッツラン検定によるランダム性の検証

予想屋の実績が本物か確かめるには
すべての予想屋は、質の高い情報と高額な配当金を約束しています。しかし、予想屋を使うと決断したベッターは、自分のお金を注ぎ込む前に、ひとつの重要な問いに答えておかなくてはなりません。それは「この予想屋は運がいいだけなのか、実力があるのか?」ということ。今回の記事ではこの疑問の解消に役立つ2つの方法を、Joseph Buchdahlが紹介します。この記事を読んで、自分に合った方法を見極めましょう。

ピナクルでは 以前、予想屋の能力を評価する方法や、ベッティング成績を検証して、予想力が運を上回っている証拠を見つける方法を調査しました。しかし、一見信頼できそうな予想屋の実績を前にした時、そうしたうまい話が今も有効であり、資金を注ぎ込むに値するかどうかを知るには、どうしたらよいのでしょうか?検証していきましょう。

t検定、再び登場

以前、私はt検定について述べました。この検定は、一連のベットの利益が偶然の産物である可能性を調べて、予想力の証拠を探し当てるのに役立ちます。偶然性が少ないほど、技術といった運以外の要素から得られた結果である可能性が高いわけです。しかし、ベッティングの実績が「あり得ないほど素晴らしく」映ったなら、別の結論に帰結する場合もあります。記録のねつ造です。

オーバー/アンダーや勝ち負けのオッズ市場を専門とし、「上質な予想と高額なオッズ、巨額の配当」を顧客にもたらすと謳っている、あるサッカー予想サイトの過去の成績を検証していきましょう。2013年8月から2014年10月までの間、大手予想屋監視サービスの審査を受ける直前まで(不正行為の疑いによってサイトが中断されたため)の期間で、この予想サイト上には296個の予想が掲載され、平均的な勝利期待値は50%、平均オッズは2.04でした。そのうち220個の予想が的中し、的中率は74%。投資利益率は151%にのぼりました。利益をチャート化するとこのようになります。


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tスコアは9.3であり、これだけの収益性が記録される確率は約100万x1兆回に1回と推算されます。こうした事象のあり得なさ、そしてほぼ完ぺきに近く、不可能に等しいレベルの利益動向を考えれば、警報が鳴るのは当然のことでしょう。それでも、こうした結果だけでは、この予想屋がインチキをしている証拠にはならないのです。ひょっとすると、天才的な実力を有する予想屋なのかもしれませんから。だとしたら、その真偽を検証することはできないのでしょうか?

方法1: 終わり値の検証

Mirio Mellaが以前、市場動向の重要性について話していました。オッズは、ベッターがお金を添えて見解を表明するたびに変化し、チームやプレイヤーに関する新たな情報が入ってくればそれも反映されます。特定のチームやプレイヤーに関心が集まれば、それだけ彼らのオッズが下がりやすくなります。 Dafni Serdariもまた、なぜ終わり値(最終オッズ)が重要なのか説明しています。

「試合開始直前のオッズはクロージングラインと呼ばれ、このオッズにはあらゆるデータ、情報、ベッティング活動、市場感情が反映されています。クロージングラインはその市場の効率性の頂点であり、結果が生じる潜在的確率をもっとも正確に反映している数値なのです」

こうした終わり値を継続的に上回っているベッターは、明敏と考えられます。彼らは市場に情報をもたらし、そうやってオッズを下げる能力に長けています。彼らがマージン分以上に、継続的に終わり値を上回っているのなら、それはプラスの期待値の証と言えます。なので勝てるプレイヤーと負けるプレイヤー、計画的なベッターと無計画なベッターとを見分けるのに役立つでしょう。

私は以前、始め値と終わり値の大規模なサンプルを研究したことがあります。その結果、最終オッズを上回った場合の差分は、期待される利益の有力な予測因子となることがはっきり実証されました。例えば2.20のオッズであるチームに賭け、終わり値が2.00だった場合、10%(引くことのマージン分)の得をすることが予想されます。

我らが「優れた予想屋」は、継続的に終わり値を上回ることができているのでしょうか?51%の確率で利益が期待できる場合、2.00のオッズは51%にマージンを加えた分だけ、約1.30まで下降することが予想されます。この予想屋のピナクルに関する最後の20個の予想サンプルを調べたところ、以下のような結果が得られました。

  •        8回はオッズが下がった(平均6.7%、最大19.5%)
  •        7回はオッズが上がった(平均3.5%、最大7.1%)
  •        5回は変化なし
  •        平均動向では1.5%、オッズが下がった
  •        通常のマージンは2%

統計的には、この結果とランダム性との間に大きな差異は見られません。この予想屋は、体系的な手法ではピナクルの市場を動かせていないのです。実際のところ、マージン分すらカバーできていません。この予想屋の予想に対し、ピナクルが無反応だったことは明白です。

方法 2: ワルド・ウォルフォビッツラン検定によるランダム性の検証

予想屋のベッティング実績の信憑性を確かめる2つ目の手法は、ワルド・ウォルフォビッツラン検定によってランダム性を検証するというもの。Abraham Wald(生存者バイアスを発見した統計学者)とJacob Wolfowitzの名にちなむこの検定では、バイナリ的なデータシーケンスがランダムな過程から生じたか否かを判断できます。

予想屋が示す技量とは関係なく、各ベットが直前の結果には影響されないことを考えれば、過去の一連の勝ち負けは、潜在的なランダム性というノイズを反映していて然るべきです。予想技術を何も持たずに五分の勝算のベッティングを提案する予想屋は、連続してコイントスを行っているのと変わりません。予想屋の的中率が74%なら、74対26の確率で表が出るように細工したコインを使っている疑いがあります。表のほうが裏の約3倍出るケースもあり得ますが、それでもシーケンスの分散はランダムでなければならないのです。

以下の一連の勝ち(W)負け(L)について考えてみましょう。

W W L L W L W W W W L W W L L L L L W W

勝ちが11回、負けが9回あり、9回のラン(Ro)を測定しました。「ラン」とは、勝ち負けが連続して起きる(勝ち負けが1度だけの場合も、1回のランと扱われます)ことを意味します。このシーケンスのランダム性を判断するには、11勝9敗の成績から予想されるラン数を計算し、実際の測定値と比較する必要があります。その差が大きいほど、シーケンスがランダムである可能性は減ります。このシーケンスがランダムであるという帰無仮説の下、予想されるラン数(Re)は以下の式で求められます。

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WとLはそれぞれ、勝ち負けの数を示します。可能性のあるランの分散は ほぼ正規分布での標準偏差(σ)内に収まり、以下の式によって求められます:

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次に検定統計量 (Z) を以下の式によって計算します。

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最後に、この数字を、ランの測定値と予測値の差が偶然によって生じた確率(p値)に変換します。これはExcelでは、私も自分のラン検定計算表でやっているように、NORMSDIST関数を使って計算できます。p値が小さいほど、一連の勝ち負けシーケンスがランダムであり、統計的に独立しているという仮説が棄却される可能性が高まります。これは一般的には、p値 = 5% (Z = 1.96) か、時には1% (Z = 2.58)の場合に起こります。

Re = 10.9、Z = 0.88、 p値 = 38%以上のシーケンスの場合、これらの数値から、そのシーケンスはランダムであると結論づけられるでしょう。

ラン検定の成功は、各ベットの結果が生じる可能性は(コイントスと同じく)均一であるという仮定にかかっています。予想されるオッズが異なる場合は一般的に当てはまりませんが、オッズがおおむね似通っている状況なら、たいていはこの仮定を立てられるはずです。

オッズが約2.00倍前後の狭いレンジ内で上下する、アジアンハンディキャップやポイントスプレッドであれば、通常は当てはまると言えるでしょう。今回分析する予想屋の場合、その予想の96%は40%から60%の確率で、78%は45%から55%の確率で的中する可能性がありました。では、ラン検定はこの実績をどのように判断するでしょうか?

  •        予想の数 (n) = 296
  •        勝ち (W) = 220
  •        負け (L) = 76
  •        測定ラン数 (Ro) = 135
  •        予測ラン数 (Re) = 114
  •        Z = 3.21
  •        P値 = 0.1%

これらの結果から、一連の勝ち負けはランダムであるという仮説を、自信を持って棄却することができます。平均オッズが2.00に近く、74%の的中率を誇る予想屋にしては、予測されるラン数と比較して、単純にラン数が多すぎます。細かく見ていくと、検定によってランダム性が認められなかった原因が明らかになります。短いランが多すぎ、長いランが少なすぎるのです。 

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[x回以上の勝ちを含む、予測されるラン数は、p = 期待勝率 (74%) で q = 1 – p (26%) である場合のnqpxによって近似されています]。 

例えば2連勝以上を含むランは予測値の56回に比べて、67回ありました。対照的に8連勝以上のランは予測値の7回と比べて、2回しかありませんでした。 

ランダム性による錯誤 

これらの予想実績がランダムでないとすれば、何なのでしょうか?簡単に言えば、ねつ造されていたということです。短い連勝のラン数が過剰に多いことを考えると、この予想屋は、長い連勝シーケンスを断ち切るために、必要以上の負けを挿し込んでいた可能性があります。なぜでしょうか? 

人は「クラスターの錯覚」と呼ばれる認知バイアスを受けます。これはランダムな分散から必然的に生じる連続的またはまとまった事象の発生を、重要な事象であると誤って解釈してしまう傾向です。その結果、ランダムな2値シーケンスの作成を求められた場合、大半の人は、勝ちか負けのどちらかの数が多すぎるように感じたら、勝ちと負けを入れ替えてしまうわけです。

この予想屋が、実際にはそのほうが正解でありながら、長すぎる連勝は不自然に映ると認識したのは明らかでしょう。事実、勝率74%を誇る、296回の予想シーケンスにおいては通常、少なくとも1回の15連勝を見かけるのが当然なのです。この予想屋の場合、11連勝がもっとも長く、他に9連勝が1回、7連勝が2回ありました。 

話がうますぎやしませんか?

予想屋の実績が「あり得ないほど優秀」だと感じたなら、おそらくその直感は正解です。その触れ込みを信じる前に検証を行い、最終オッズを上回っている証拠と、そのシーケンスがランダムである証拠を探しましょう。そのどちらも見つからない場合は、お金を財布へ戻して立ち去りましょう。

今回の「優れた予想屋」に関して言えば、最近の予想の最終オッズをあらためて分析した結果、ピナクルの市場には相変わらず、何の影響も及ぼしていないことが分かりました。それに加えて、今では過去の予想履歴をねつ造している形跡も見られます。おそらく実績を本物らしく見せようと、一連の外れ予想を盛り込んでいるのでしょう。ワルド・ウォルフォビッツラン検定を再度行えば、この予想屋が今もランダム性に騙されているか判断できるはずです。もしそうだったなら、あなたはランダム性の罠に陥らないようにしてください。

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