大数の法則は17世紀にヤコブ・ベルヌーイによって確立されたもので、コイン投げなどある事象のサンプル数が多ければ多いほど、真の確率が示される可能性が高くなると説明しています。ベッターにとって、この考えは400年経った今も悩まされるものであり、そのためギャンブラーの誤信として知られるようになりました。では、なぜこの誤解が高額な出費につながる可能性があるのか見てみましょう。
大数の法則
公平なコイン投げ(表または裏になる確率がそれぞれ50%)を例として使い、ベルヌーイはコイン投げの回数が多くなれば、表または裏になる確率は50%に近づくと算出しました。一方、表または裏になった実際の数の差も大きくなります。
「コイン投げの数が大きくなるにつれて、表または裏の分布は50%に近づいていきます」
ベルヌーイの定理の2番目の箇所を人々はよく誤解することから、「ギャンブラーの誤信」と名付けられました。コインを9回投げて、すべて表だったと誰かに伝えたら、次に投げたら裏になると、伝えられた人は予想する傾向にあります。
しかし、これは正しくありません。コインは記憶力はないので、投げられるたびに、表または裏になる確率は同じ0.5です(50%の確率)。
ベルヌーイの発見は、公平なコイン投げのサンプル数がとても多くなると(例、100万回)、表または裏の分布は約50%に近づいていきます。しかし、サンプル数がとても多いので、50/50の等分から予想される差異は、500ぐらいになる可能性があります。
標準偏差を計算する等式によって、どれくらいになるか予想できます。
0.5 × √ (1,000,000) = 500
これだけコイン投げをすれば予想される差異は観測可能ですが、前述した9回のコイン投げでは、これが適用されるにはサンプル数が十分ではありません。
したがって、9回のコイン投げは100万回のコイン投げから抽出したようなものですが、ベルヌーイの主張のように100万回のコイン投げを行った後に均等に近づくには、サンプル数が小さすぎます。むしろ単なる偶然で表か裏になるでしょう。
分布をベッティングに適用する
ベッティングに関して、予想される差異を明確に適用できることがあります。最も明らかな適用は、ルーレットのようなカジノゲームです。赤または黒、偶数または奇数の順番は、1回のプレイセッションで均等になるという間違った考えは、お金を失うことになります。また、それがギャンブラーの誤信がモンテカルロの誤信とも呼ばれる理由です。
1913年に、モンテカルロカジノのルーレットテーブルで26回連続して黒がでました。15回目の黒の後に、多くのベッターは赤に賭けはじめました。また黒がでる確率は天文学的な確率になると考えたからです。これは、1回のスピンが次のスピンに何らかの影響を与えているという不合理な確信を表しています。
「1913年に、モンテカルロカジノのルーレットテーブルで26回連続して黒がでました。このことから、ギャンブラーの誤信がモンテカルロの誤信とも呼ばれています。」
別の例を挙げると、本質的には設定された還元率を持つ乱数発生器であるスロットマシンです。スロットマシンに多額をお金をつぎこんだにも関わらず当たりがでず、他人を自分のスロットに近づけさせないようにしている人を見かけることがあります。彼らは負けが続いた後には、大きな勝利があると信じています。
もちろん、この戦術を実行可能にするには、ベッターは還元率に到達するために、現実的でない回数をプレイしなければなりません。
ヤコブ・ベルヌーイは大数の法則を確立した際、サンプル数が大きくなれば、観察している事象の真の確率により近づくということは、どんなに愚かな人間でも理解できると断言しました。これは少し手厳しい発言だったかもしれませんが、いったん大数の法則を理解して、平均の法則(または欠点)を忘れてしまえば、ベルヌーイの言う愚かな人の1人になることはありません。
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