コントロールの錯覚

コントロール欲求

個人の選択の影響

危険な情報とニアミス

コントロールの錯覚

人は、本質的にランダム性が高い状況や、コントロール不能な状況、または予測不能な状況をコントロールしているという誤った感覚を覚えがちです。このコントロールの錯覚は、ベッティングと特に関係があり、それゆえ、すべてのベッターはこの錯覚を理解し、避けるようにしなければなりません。方法が知りたい場合は、続きをお読みください。

コントロール欲求

私たちには因果関係を求める遺伝子が組み込まれているようで、関連性のないところに関連性を探してしまいます。このため、出来事の独立性を理解するのに苦労しています。昔の人々は厳しい環境のメカニズムをかなり部分的にしか理解していなかったので、ランダム性のある現象や単に複雑過ぎて理解できない現象が起こる原因や結果を必死に推測しようとしていました。迷信と儀式は、何とかコントロール感を得ようとする中で生まれたもので、こうした行動は今もなお見られます。

いくつかの面白い実験によって、この行動は動物界全体で成り立つことが例証されています。中でも最も有名な実験の1つが、ハーバード大学の心理学者B. F. Skinnerによるものです。

1948年、Skinnerはハトのケージに時間を空けて餌を出す給餌器を設置しました。ハトは餌の出る頻度に何の影響力も持っていませんでしたが、頭を振る、回るなど、たまたま餌が出たときにしていた行動が何であれ、それによって餌が出てくるという条件付けがなされました。それぞれのハトが、報酬をトリガーするものだと考えたユニークな儀式を開発しました。

同じことが、コントロール感とさまざまな儀式的習慣(黒猫を避ける、梯子の下を通らないなど)を結び付けている人間にも当てはまります。これは現在でも、目立たないところで生じています。たとえば、都市のトレーダーの研究では、トレーダーがランダムなシステムについてコントロール感を認識していることがわかっています。

Skinnerはこの結果から、オペラント条件付け(行動の強化、弱化、中立的な影響による反応)というものを定義するに至りました。個人の選択は強化に大きく関わるもので、カジノゲームではこの好例が見られます。

個人の選択の影響

カジノゲームの大半は完全にランダムですが、個人の選択を行使できる場面では、ベッターは結果をコントロールできるという非合理的な確信を見せます。

"私たちには因果関係を求める遺伝子が組み込まれているようで、関連性のないところに関連性を探してしまいます。このため、出来事の独立性を理解するのに苦労しています"

この傾向は、ギャンブラーが自分でクラップスにサイコロを投げ入れる場合、またはルーレット盤で球を転がす場合に、ベット金額が増えることで例証されています。どちらの例でも、ベッターはランダムな結果をコントロールできるという非合理的な確信を示しますが、これは、ベッターがゲームのプロセスで個人の選択を行っているためです。これは、誰かが代理になる場合、つまりベッターが、運が来ている誰かのベットに便乗するような場合にも当てはまります。その誰かがコントロールしていると捉えるわけです。

宝くじでは、コントロールの錯覚に関するまた別の例が見られます。プレイヤーは、機械で番号が生成されるよりも、自分で番号を決めてプレイする場合の方が、当たる可能性を強く信じているのです。結果が完全にランダムだと考えれば、当たる可能性はまったく同じです。

むしろ実際には、数字を選ぶときに誕生日がよく使われるため、ランダムに選んだ数字の方が勝ちやすくなることも多くあります。勝つチャンスは同じであっても、選ぶ数字が1から31に偏ることで、賞金を分け合うことになる確率が高くなり、結果、得られる総支払額が減少するのです。

カジノの例では、成功を呼ぶ行動(球の投げ方や儀式的習慣)が強化される一方、失敗を招く行動では弱化反応が生じやすくなり、その行動を繰り返す傾向は弱まります。

ただし、人生とベッティングを単純に、成功と失敗、そしてその原因という狭い定義に換算することはできませんから、非合理的に行動が強化される可能性は莫大です。

危険な情報とニアミス

「少ない情報は危険」という言い回しを聞いたことがあるかもしれません。これはベッティングで特に当てはまります。ベッティングでは、チーム、スポーツ、イベントについてある程度の知識があるとエンパワーメント感が生じ、理解と予想能力への過信が高まります。

結果が勝ちでも、必ずしも想定通りではない場合、ベッターはよく発生したことに合わせて選択のロジックを変え、先ほど説明した強化と、コントロールの錯覚を生じさせます。

ニアミスについても、これが同じように当てはまります。ベッターは、もう少しでうまくいくということから十分な希望を得て、行動を強化します。結果として、実際にはすべての可能性に有効な因果関係がない状況で、自分の考え方はアプローチとして有効だと認知します。

こうした影響を減らせるよう、覚えておくべきことがあります。結果がランダムな場合はコントロールできないと認めること。限られた、はっきり定義された仮説を1つずつ試すこと。そして、ベッティングのヒントをただ額面通りに受け取らないことです。また、可能な場合には、シグナルとノイズを分けてみる必要もあります。

迷信と同様、ベッティングの結果と特定の行動におかしな関連付けを行うことは、遺伝子的に刻まれた行動であるため、残念ながらこれに抵抗することは困難です。ベッターにとって重要なのは、過去のベッティングから結論を導き出す場合には、できるだけ規律的であるということです。「勝負パンツ」を持ち出すのは、クラブに出かけるときだけにしておきましょう。

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