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Twitterで@nishikoripicksという名前で活動し、成功を収めているプロのテニス予想屋は、予想屋のスーパーマーケットであるPyckioでサービスを販売しており、目覚ましい(そして統計的に非常に重要な)利益の記録を持っています。ただし、彼はクロージングプライスに勝つことはなく、サブスクリプションコストを考慮に入れた場合、少なくとも、彼の長期的予測がずっと顧客に利益をもたらすとみなすには不十分であるといえます。 

クロージングラインの値の仮説によれば、彼は大いに幸運だったと言えます。@nishikoripicksは、このような仮説が完全に正しいとは限らないと考えています。この記事を書くにあたって、どちらの考え方がより正確であるかを見極めるため、私はテニスの試合のベッティング市場の効率性を調査することにしました。 

これは、彼の収益性が計算どおりというより幸運によるものであると示唆するのではなく、単に、彼が助言を与えるピナクルのテニスの試合のベッティングプライスが、クロージングによる「真の」値に完全に到達しないことを意味します。

クロージングラインの値の仮説の中心にあるのは、あるイベントのクロージングラインまたはプライスが、「真の」プライスまたは結果が発生する確率を表すという考えです。なぜならば、それまでにわかっているそのイベントに関するほとんどの情報がそこに反映されているからです。 

以前の記事で、少なくともサッカーでは、クロージングプライスが結果の確率を非常に正確に示すものであり、ベッターの利益期待を予想するために使用でき、それに勝つことでベッティングスキルを確認する方法について検討しました。 

クロージングプライスは、@nishikoripicksのような予想屋が何千というベットで高レベルの利益性を維持している場合、そして少なくとも試合のサンプル数が少ない場合には、完全に効率的とは言えないという反論があります。少数の法則に騙され、少数のベットパターンから誤った一般化を行うことは簡単ですが、少なくとも@nishikoripicksのパフォーマンスが実際の予測スキルの証拠である可能性を検討してみる必要があります。 

クロージング市場がなぜ完全に効率的でないかについては、さまざまな説明が考えられます。私は、実際にどのように機能するかモデル化を試みました。市場は平均には効率的ですが、オッズのアンカリングなどの経験則に基づくバイアスのために、個々のプライスレベルでは非効率になる可能性があります。 

別の説明として、ブックメーカーが意図的に市場にバイアスをかけて、スクエア(またはスキルのない)ベッターを犠牲にして利益性を高めているかもしれません。私は以前、得点スプレッドベッティングマーケットでそれがどのように機能するか説明しました。

では、テニスのベッティング市場について詳しく見て、効率性の証拠を確認していきましょう。 

データの分析

テニスの予測スペシャリストであるWinnerOddsのMiguel Figueresは、親切にも2015年5月12日から2019年7月19日までの、ATP、WTA、ChallengerおよびITF Futureトーナメントのピナクルのオープニングおよびクロージングマッチベッティングオッズのデータセットを提供してくれました。不戦勝と最初のセットでの棄権を除去した後(ベッティング目的のためにピナクルによって無効化)、分析対象として、合計68,361の試合と136,722の個々のベッティングプライスのデータが残りました。 

私はまず、本命-大穴バイアス(相対的に高いプライスを体系的かつ不均衡に下げること)の証拠のためにクロージングプライスを検証しました。各選手の予想または暗黙の勝率を計算し(オッズを反転させることで)、データを1%の確率サブサンプルで分類し、各サンプルを試合結果に基づく実質勝率と比較しました。 

分析結果は以下のチャートに示されています。黄色の線は、完全な効率性、つまり10%/50%/90%の予想勝率の選手が10%/50%/90%の確率で勝利することを表しています。青色の点線と傾向線は、実際のデータを示しています。ベッティングマージンが適用されたブックメーカーのオッズの場合、青線は常に黄線の下にあるはずです。 

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高いプライス効率性にもかかわらず、オッズ傾向が長くなるにつれて青と黄の線が分岐することは、ピナクルが通常適用するマージンを考えるとかなり小さいものの、本命-大穴バイアスの明白な兆候です。例えば、暗示的結果の確率90%は約89%の勝率ですが、10%の暗示的確率は実際にはわずか6%の確率の勝利です。 

バイアスは、暗示的結果の確率と実際および暗示的パーセンテージの比率を比較した、次のチャートを見るとわかりやすいでしょう。89%を90%で割ると0.989となり、6%を10%で割るとわずか0.6です。 

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マージンを取り除くとどうなるでしょうか。

ベッティングオッズの効率性をよりよく分析するためには、ベッティングマージンを取り除く必要があります。本命-大穴バイアスの存在は、ピナクルを含むブックメーカーがすべての結果にマージンを均等に割り当てないことを示唆します。不均等が大きいほど、より高いプライスに適用されます。 

本命-大穴バイアスは、非常に多くのスポーツベッティング市場で確立されたバイアスで、マージンを取り除くと簡単にわかります。ブックメーカーはどのように適用しているか正確には明かしていませんが、可能性のあるいくつかの方法について推測してみました。 

この分析で、私は対数関数を使用しました。これは、すべての選手に均等賭けした場合、収支ゼロ(収益=0%)の期待に最も近い一致(収益=+0.47%)を得られるからです。対照的に、マージンがプライスに均等に適用されると仮定すると、サンプル利益は-2.73%で、除去される前は-7.18%です。 

オープニングvs. クロージングプライス

2016年7月に、クロージングプライスに対するオープニングプライス(または事前クロージングプライス)の比率が、サッカーのベッティング市場においてベッティングパフォーマンスの優れた予想判断材料になることを示しました。プライスが2.1でオープンし、2.0でクローズしたとします。2.1を2.0で割ると1.05になるため、このようなプライスを長期間ベッティングすると、約105%のリターンになることがデータから示されます。クロージングプライスに対するベットプライスの比率が0.9だった場合、約90%のリターンが見込まれます。1.2であれば、リターンの期待は約120%になります。 

分析サンプルのすべてのサッカーチームに仮想的にベッティングした場合の実際のリターンは、ほとんど完全に期待値に相関していました。これが意味することは、これらのサッカーの試合のクロージングプライスが非常に効率的であったことです(マージンの影響を排除した後)。これはテニスにも当てはまるでしょうか。 

この記事の最後のチャートでは、期待収益を実際の収益と比較します。青の点線と傾向線の場合、期待収益は、クロージングオッズからマージンを除去した後、クロージングオッズに対するオープニングオッズの比率によって示されます。実際の収益はベッティングオープニングプライスから計算されます

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期待収益と実際の収益の完全な相関は、勾配1の傾向線を示します。実際、それより少ないです(0.825)。これは、公正なクロージングプライスに対するオープニングプライスの比率が収益性の完全な予測判断材料ではなく、したがってクロージングプライスが完全に効率的または正確ではないことを意味しています。 

勾配は1以下なので、オープニングプライスが完全にプライスの均衡に収束しないことも示唆しています。言い換えると、高すぎるプライスはクロージングプライスによって十分に低くならず、低すぎるプライスは十分に高くなりません。前述したブックメーカーのプライス操作を含む他の方法もあるでしょうが、私はこのような現象をオッズのアンカリングによって説明しようと試みました。 

この調査結果は、@nishikoripicksが予想額によってクロージングプライスに勝てなかったことと一致しています。ただし、これは、彼の収益性が計算どおりというより幸運によるものであると示唆するのではなく、単に、彼が助言を与えるピナクルのテニスの試合のベッティングプライスが、クロージングによる「真の」値に完全に到達しないことを意味します。 

赤の点線と傾向線については、期待収益は公正な(マージン除去後)オープニングプライスに対するクロージングプライスによって示され、実際の収益はベッティングクロージングプライスから計算されます。クロージングプライスが完全に効率的な場合、この線は勾配ゼロで水平になります。 

これが小さい正の値(理想的には青線と赤線の勾配は合計1)である事実は、クロージングプライスが効率的ではなく、さらに、オープニングプライスには実際の結果を予測する情報が残されていることを意味します。 

@nishikoripicksは熟練した予想屋でしょうか?

データによると、@nishikoripicksは平均で約3%クロージングプライスに勝っています。クロージングラインの値の仮説が正しい場合、ピナクルのマージンの影響を取り除いた後、彼はおおよそ収支ゼロが期待されることになります。しかし実際は、3,000件の予想から9%の収益を上げています。 

テニスのベッティング市場は完全に効率的ではない、少なくともサッカーほどではない可能性があることがわかりました。この理由を推測してみることができます。オッズのアンカリングやプライス操作に加えて、市場の流動性の低いことも理由に含まれるかもしれません。また、この分析ではChallengerやFuturesなど、ATPやWTAのメジャーな大会より参加選手に関する情報がはるかに少ない低ランクのトーナメントが含まれていることもあるでしょう。 

本命-大穴バイアスの存在は、ピナクルを含むブックメーカーがすべての結果にマージンを均等に割り当てないことを示唆します。不均等が大きいほど、より高いプライスに適用されます。

理由が何であれ、テニスではクロージングプライスを使用しても、予想屋またはベッターのパフォーマンスを予測できないと結論付けてよいでしょう。 

収支ゼロと9%の違いは大きく、この分析で観測されるプライスの効率性からのわずかな偏差によってのみ説明するには大きすぎます。他の説明が必要になります。 

1つは、単にピナクルは@nishikoripicksの活動を認識していないからかもしれません。もう1つは、彼とピナクルが、スクエアベッターのバイアスと無知を利用する、非常に似通ったプライス付けモデルを持っているのかもしれません。 

ピナクルの観点からすると、スクエアベッターが非効率線の間違った側にベットし続ける限り、「真の」クロージングプライスに移行する誘惑に抵抗する方が有益です。@nishikoripicksの観点からすると、クロージングラインの値の仮説の信奉者に、彼が単純に幸運だったという誤解を与えるように思えるでしょう。 

運は、ベッティングから完全に排除することができないものです。ただし、@nishikoripicksがクロージングラインの値の仮説によって予測されるものを超えてパフォーマンスを維持するために管理期間が長くなるほど、「真の」予測判断材料としてのクロージングラインの使用を再評価しなければならないことを認める必要があります。少なくともテニスのような小規模なスポーツ市場では認めなければなりません。 

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テニスのベッティング市場の効率性を検証する
「熟練した」予想屋の記録を検証する方法
優れた予想屋を見分ける方法とは?
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